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ブロックチェーン、メタバース、NFT:2023年のWeb3技術を展望

Alkimi Exchangeとの提携による記事

 

Web3時代の到来が目前に迫っている一方で(私たちのところにはまだ来ていないとしても)、このインターネットの新たな段階における諸要素の価値は、依然として不確かなままだ。ブロックチェーン、NFT、仮想通貨、メタバースといった技術への反応はまちまちで、賛成派はその革命的な可能性をうたい、反対派は疑念を表明し、多くの人はまだ様子見をしている。

 

それでも、Web3がアドテク業界を完全に再構築すると強く信じている。メタバースの価値は2030年までに5兆ドル(約674兆円)に達すると見込まれ、仮想通貨の規制も多少緩和されてきており、それぞれの技術には将来性があると思われている。本記事では、Web3の各主要技術について、真に機能する可能性があるのか、それとも結局は夢物語なのかを分析する。

 

 

ブロックチェーン

Web3のインフラとなる技術として、まずブロックチェーンから始めるのは理にかなっている。ブロックチェーンとは分散型台帳技術(DLT)の一種で、取引の永久的な記録として機能する暗号化されたデジタルデータベースのことだ。情報はネットワーク上のすべての参加者が同時に見ることができる。更新は過半数が変更に同意した場合のみ可能で、その変更は既存の情報に追加され、決して上書きされることはない。

 

ブロックチェーンが備える安全性や民主性、透明性等の特性は、ビジネスシーンにおいては、すべての関係者にオープンに情報が提供されることで、事務プロセスのスピードアップが図れることを意味している。その一例が、スマートコントラクトだ。これはブロックチェーンネットワーク上のプロトコルで、事前に設定された特定の条件が満たされると自動的に実行されるというものだ。スマートコントラクトはすでに、これまで手作業に頼らざるを得なかったビジネス上の決済に利用されている。米国の小売業者ホーム・デポも、すでにこの技術を利用しており、サプライチェーン内で発生した問題をリアルタイムで特定、是正し、サプライヤーとのあいだで信頼関係と効率性を高めている。

 

Women of Web3のニーアム・リネハン氏は、「スマートコントラクトにとって、今年はビッグイヤーになる」と予想しており、各企業においてもブロックチェーンの価値がさらに高まると確信している。MadTech Podcastに出演したリネハン氏は、「金融関係や広告関連、Eコマースとそのサプライチェーンなど、より伝統的な業界」が、ブロックチェーン技術を採用し始めたことで、「効率が高まり、世界市場が開拓されることになるだろう」と語っている

 

 

仮想通貨

Web3技術の中でも、とりわけ賛否が分かれる仮想通貨は、大手取引業者FTXが2022年11月に経営破綻したことで(他に起きた複数の問題も含めて)再び関心が集まっている。この技術の実用化を警戒する声も多く、ビットコインやイーサリアムなどの通貨の盛り上がりを、(17世紀のオランダで起きた)チューリップバブルのようなものだとし、不安定でほとんど規制されていない資産へ投資することに警鐘を鳴らしている

 

一方、仮想通貨推進派は、この技術には、より高度な通貨システムを提供するポテンシャルがあると主張している。仮想通貨は、ブロックチェーンネットワーク上で管理され、個人は適正な認証情報によってのみブロックチェーンにアクセスできる仕様のため、参加者間の取引は、現在よりも安全なものになる。分散型金融(DeFi)システムの通貨である仮想通貨の価値は、銀行によって決定されるわけではなく、それを使用する人々の同意によってのみ決定される。この点で、仮想通貨は不換紙幣システムよりも民主的だとする議論もある。Web3企業Defactor LabsのCEOを務めるアレハンドロ・グティエレス氏は、DeFiこそが金融の進むべき道だと主張している。「DeFiは金融インフラの未来だ。DeFiが金融システムにもたらす利点は、透明性、投資の民主化、効率性、包括性といった特性であり、それはFTXやセルシウスの破綻の原因となった問題の解決策ともなりうる。なぜなら、両社の破綻の主な原因は、中央集権的な運営と透明性の欠如だったのだからだ」

 

最近の一連の出来事で、仮想通貨への懐疑心がよりいっそう高まった可能性もあるが、致命的な打撃を受けたわけではない。これに対してもグティエレス氏は楽観的で、過去1年間のスキャンダルが長期的には仮想通貨にメリットをもたらすのではないかと予想する。「2022年は、FTXやセルシウスのスキャンダル、数々の仮想通貨のハッキング事件、そして、それに伴う投資家の信頼喪失などの影響もあり、仮想通貨にとってはかなり厳しい一年だったことは間違いない。しかし、私見だが、これらの一連の事件によって、悪質なプレイヤーは、ほぼ淘汰されたのではないかと思う。2023年には、現実世界の問題を正しく解決できるエコシステムとして、その真価を発揮することになるだろう」

 

 

NFT

仮想通貨と同様、非代替性トークン(NFT)についても、批判する声は大きく、現実世界に適用することに対して疑問視する向きも多い。一部の論者は、NFTは、単なるバーチャル画像でしかないのに、消費者は、それを(いわば)独り占めするだけのために、最大数百万ドルも資金を投じているのだと考えているようだ。

 

しかし、NFTは単なる高価なコレクターアイテムではないとする意見もある。NFTは、ロイヤルティやエンゲージメントに応じて特別なリワードを提供することで、消費者とブランドとの交流に、新たな道を切り開く可能性も秘めているというのだ。例えば、マクドナルドは、Twitter上のキャンペーンの一環として、マックファンに「マックリブNFT」を10人限定でプレゼントした。一方、スキンケアブランドのクリニークが「Smart Rewards」プログラムの会員に展開したキャンペーンでは、インスタグラムにショート動画や写真をアップロードして同社をタグ付けすると、抽選でNFTがもらえるという仕掛けが施されていた。

 

NFTのもうひとつの側面として、分散型自律組織(DAO)のメンバーであることを証明するという使い道がある。DAOではメンバーにトークンを発行することができ、トークンはグループへの関与を証明し、一種の投票権として使われる。Women of Web3のリネハン氏は、大手ブランドが、ビジネスの一部に関する大きな発言権を、自社のファンに与える手段にもなり得ると示唆している。「例えば、フットボールチームの熱狂的なファンが集うDAOが考えられる(中略)ここで行われるファン投票は、役員会決議よりも重要な意味を持つかもしれない」

 

 

メタバース

NFTと同様に、メタバースも一部の人から嘲笑を浴びている。特にメタのCEOを務めるマーク・ザッカーバーグ氏は、メタバースを大衆に広めようとしているが、この技術が本当に先進的なのかどうか、少なからぬ疑問の声が上がっている。メタ傘下のリアリティ・ラボが資金を浪費するばかりで利益を出していないとの報道は、同社に対する投資家の信頼をより一層揺るがした。メタバースへの情熱の低下は、米国以外にも及んでいるようで、欧州連合(EU)が数百万ユーロを投じて開催したメタバースの発足パーティーに、わずか6人しか参加しなかったという報道が、当惑を呼ぶ失敗例の一つとして話題になっている。

 

しかし、これらの厳しい報道の数々にもかかわらず、今もメタバースは世界規模で普及が進んでいる。たとえばAPAC(アジア太平洋地域)では、Roblox、Decentraland、Zepetoなどのバーチャルプラットフォームに何百万人もの人々が参加しており、メタバースがアジアのGDPに与える影響は2035年までに1兆4000億ドル(約189兆円)に達するという予測もある。米国では多くの大企業や政府部門が、メタの「Horizon Workrooms」の試用を始めており、例えばNASAのジェット推進研究所では、職員の10%以上が「Quest 2」ヘッドセットを使用しているなどと報じられている。

 

この新たなバーチャル空間は大企業の興味をそそり、いくつかの有名ブランドは、すでにメタバース上でさまざまな実験を行っている。例えば、ハイファッションブランドのドルチェ&ガッバーナとエスティ ローダーは、2022年に初めて開催された「メタバースファッションウィーク」に参加し、技術的な不具合があったにもかかわらず、10万8000人もの人々を集客した。エンターテインメント大手のディズニーも仮想現実への野望に突き進み、メタバースを使って世界中の顧客に没入型の体験を提供しようとしている。Web3が総じて初期段階であるように、メタバースも確かに初期段階ではあるが、ブランドと仮想世界の関わりについての予測は概ね有望だ。アナリストらは、メタバースにおける広告費が2030年までに1440億ドル~2060億ドル(約19兆4200億円~27兆7800億円)に達すると予測している。ブランドはメタバースの将来性を、私たちが考えるよりもはるかに間近に感じているのだ。

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社CARTA HOLDINGS

2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。