IAS、日本デジタル広告業界の 2023 年トレンド予測を発表[ニュース]
デジタルメディア品質分野のグローバルリーダーである Integral Ad Science(IAS)は毎年恒例となる「Industry Pulse レポート 日本版」を発表した。
(Sponsored by IAS)
調査レポートはこちらから入手することが可能。
2023 年を方向付ける業界のトレンドとテクノロジーを深く堀り下げた同レポートは、デジタル広告専門家 192 名に対するアンケート調査を実施した結果をもとに取りまとめられている。
今回の調査からは、2023 年の最優先メディアが、モバイル、デジタルオーディオ、デジタル動画であることが明らかになった。
専門家は今年、モバイルのような既存フォーマットでの成果拡大を考える一方で、ゲームや 3D 広告のような新しいフォーマットによる、世界観を一新するイノベーションにも大きな期待を寄せており、デジタル広告の効果検証に対する需要は未だかつてないほどに高まると考えられている。
● メディア優先順位の変化、モバイル優先の状況は継続
2023 年の最優先メディアランキングは、1 位:モバイル、2 位:デジタルオーディオ、3 位:デジタル動画となった。日本では国民の 71%がパソコンと同じ頻度でスマートフォンからインターネットにアクセスしており、専門家らは、消費者の高いスマートフォン依存を背景に、今年もモバイル優先の状態は継続すると見ている。しかしモバイルはその脆弱性も広く認識されており、広告フォーマットに関係なくモバイル環境で発生する「アドフラウド」が大きな懸念になることを 68%が指摘している。
● 日本でも勢いを増すオーディオ
広告付きのデジタルオーディオ配信は今年も消費者の間で人気が高まり(76%)、それに伴い広告投資も拡大する(63%)ことが予測されている。日本のデジタルオーディオ広告市場は、2027 年には約 480 億円の規模に成長する予想で、広告在庫の急増や加速するイノベーションに伴って、メディア品質へのリスクも懸念され始めている。65%がデジタルオーディオで発生するアドフラウドを、62%がブランドリスクを懸念しています。その結果、専門家の 67%は、デジタルオーディオ広告の品質を確保するために、第三者による検証が重要になると考えている。
● 2023 年最大の課題は、 広告の売り手・買い手ともに「消費者データへのアクセス減少」
2023 年にデジタル広告業界が直面する課題として、広告の買い手側(広告主・ブランド)、売り手側(媒体・パブリッシャー)ともに「消費者データへのアクセスの減少」を挙げている。第三者クッキーの廃止、消費者によるアプリ内データトラッキングのオプトアウト、プライバシーに関する法律などがその要因となっています。また、「リスクの高いコンテンツやフェイクニュースに隣接する広告枠への配信」も上位に挙げられており、ブランドリスクへの対処が広告の買い手/売り手の両サイドにとって、今年も大きな課題となる。
● 消費者からの信頼と透明性への疑問が ソーシャルメディアへの投下予算を揺るがす
新型コロナウィルスの大流行は、オンライン上での消費者行動に大きな影響を与え続けている。ソーシャルメディアは消費者にとって今や必要不可欠の存在になり、国内のアクティブアカウント数は 1 億 200 万以上、一人平均 4 つのプラットフォームを毎月利用している。その背景から、専門家の約 9 割が 2023 年も「ソーシャルメディアでの広告出稿を計画している」と回答。一方で、閉ざされた空間に対する消費者の信頼低下も指摘しており、ソーシャルメディアの品質指標が依然として不透明な場合、専門家の 76%は今年の広告費を調整するという意見に同意している。
● ブランドリスク削減に向けた、広告主のアカウンタビリティの向上
専門家らは、ブランドリスク削減に向けた取り組みは、サプライチェーン全体で行うべきだと認識しながらも、特に「広告主・ブランド」が果たすべき役割が最も大きい(42%)と考えており、広告代理店(33%)と広告効果検証ベンダー(31%)がそれに続いています。広告主は、新興メディアも視界に入れながら、既存メディアでの成果拡大を求められており、その結果、広告主側の当事者意識が高まっていることが考えられる。
IAS の APAC 担当シニア・バイス・プレジデントである Laura Quigley(ローラ・キグリー)氏は、「業界関係者は 2023 年に起こりうるマクロ経済の逆風を予測して、誰もがメディア戦略を慎重に策定しています。この不確実な時代において、日本のマーケティング担当者は、プライバシーに配慮し、拡張性があり、成果に繋がる信頼性の高いソリューションを求めています。ブランドは、質の高いインプレッションとブランドセーフな環境を重要視するようになっており、その結果、安全と透明性の確保を実現する広告検証パートナーの役割が際立ってきています。日本の広告主が、あらゆるチャネルで正確な計測と強力なメディア品質の管理を求めていることは、Industry Pulse レポートからも明らかです」と述べている。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。