セプテーニが考える、動画配信サービスにおける「広告プランニングで重要なポイント」
by ニュース
on 2022年12月27日 in(Sponsored by Septeni Japan)
2022年のデジタル広告業界の一つの大きなトレンドとして、インターネット回線を通じてコンテンツを配信するOTT(Over The Top)によるストリーミングサービスやVOD(Video On Demand)内での動画広告の伸長があげられます。
本稿ではこのトレンドの背景と最新の状況に加えて、今後出てくる広告出稿時やプランニング時の課題、その課題に対するアプローチの考え方について述べていきます。
動画配信サービス躍進の一年
2022年はこれまで地上波が中心だった放映コンテンツの提供方法に大きな変化が起きた年と言えます。
OTTによる動画配信サービスに関しては、非常にトピックが多い1年でした。主要サービスで例を挙げてみると、「TVer」に関しては2022年10月に初の2,300万MUB(Monthly Unique Browsers)を突破し、前年同月比140%を超える伸長となっており、「Amazon Prime Video」では独占スポーツLIVE中継が多くの反響を呼び、この動画配信サービスでしか見ることができないコンテンツも増えています。
また、「ABEMA」が「FIFA ワールドカップ カタール 2022」の全64試合無料生中継を行い、大きな話題となったことも記憶に新しいかと思います。日本対ドイツ戦が行われた日に1日の視聴者数が1,000万を突破したことを皮切りに、日本対スペイン戦が行われた日には1,700万を突破し、開局史上最高数値となったことが発表されています。さらに、11月21日からの1週間の視聴者数も3,000万人を突破し、開局史上最高数値となっています。この数字は2022年10月26日に発表されたサイバーエージェント社の決算資料内で示されているWAU(Weekly Active Users)の過去最高数字1,896万を(定義は若干異なるものの)大きく上回っており、それだけ今回のABEMAのワールドカップの放映は、コンテンツの力を大いに示した結果となっています。
また、今回の放映では、カメラを切り替えるマルチアングル映像での観戦や、リアルタイムでは見られなかった試合のフルマッチ映像を好きな時に見ることができる「見逃しフルマッチ配信」等、地上波では簡単に行えない手法も注目を浴びており、ユーザーにとって新しい視聴体験となっています。
「FIFA ワールドカップ カタール 2022」を全64試合無料生中継する「ABEMA」、 日本代表初戦が放送された11月23日(祝・水)の1日の「ABEMA」視聴者数が1,000万を突破し、開局史上最高を記録
日本代表が決勝トーナメント進出を決めた試合が放送された 12月2日(金)の1日の「ABEMA」視聴者数が1,700万を突破し、開局史上最高を記録
「FIFA ワールドカップ カタール 2022」 「ABEMA」の1週間視聴者数が3,000万を突破し、開局史上最高を記録
サイバーエージェント2022年通期決算説明会資料
これら例をあげた動画サービスの躍進はさらなるユーザーへの浸透につながり、今後の放映コンテンツの主戦場として注目が集まってくるでしょう。デジタル広告業界においてもこの新しいユーザーの動きには注目をしていく必要があります。
視聴デバイス、動画広告市場の変化とポイント
動画配信サービスユーザーの増加に加え、視聴デバイスの変化も注目すべきポイントです。
動画配信サービスの視聴デバイスに関しては、従来のスマートフォンを中心としたデバイスから、ネット接続されているテレビデバイスであるコネクテッドテレビの普及により、テレビ画面での視聴へとシフトしています。
これらの動画配信サービスの一層の普及とコネクテッドテレビという視聴デバイスの変化に関しては、デジタル広告の分野でも非常に注目が集まっており、今後さらなる拡大が見込まれる領域と考えております。
動画配信サービスは、都度コンテンツを購入するPPV(Pay Per View)や定額動画配信サービスを意味するSVOD(Subscription Video On Demand)の形態もありますが、デジタル広告の文脈では、広告を掲載することにより無料で動画が視聴できるAVOD(Advertising Video On Demand)が中心です。
無料動画の視聴前や視聴中、または視聴後に動画広告が掲載される形をとるケースが多く、その代表例はYouTubeやTVer、ABEMAです。
これらの広告は「インストリーム広告」と呼ばれるものであり、2021年に1,847億円、前年比160%(※1)と非常に市場を牽引している広告フォーマットです。また、四マス媒体由来のデジタル広告費のうち、TVerを筆頭に各放送局の見逃し配信プラットフォームが大半を占めるテレビ由来のデジタル広告に関しては、2021年に254億円、前年比147%(※2)とこちらも非常に高い成長率となっています。
さらに動画広告の中でもコネクテッドテレビ広告に関しては2021年に344億円、前年比337%(※3)となっており、動画広告全体/テレビ由来のデジタル広告/コネクテッドテレビ広告はすべて、2022年以降も継続的な成長が見込まれている領域として注目されています。
※1 サイバーエージェント、2021年国内動画広告の市場調査を発表
※2 2021年 日本の広告費
※3 AJA、国内コネクテッドテレビ広告市場調査を発表 2021年のコネクテッドテレビ広告市場は前年比約3.4倍の344億円、2025年は1,695億円に成長
これら動画広告配信サービスや動画広告に関しては、AVODやSVODの境界があいまいになっていることも理解したいポイントです。
YouTubeはAVODの筆頭格ですが、YouTube Premiumという月額課金サービスもあります。ABEMAに関しても月額課金サービスを行っています。これらはユーザーが課金することで広告なしで動画を視聴できるという特徴があるため、AVODとSVODのハイブリッドな展開がみられます。
さらにSVODであるNetflixにおいては11月4日より広告付きで月額料金を低くする視聴プランを開始しており、これらの各動画サービスの特徴や形態は、広告の出稿プランニングをする上で加味をしていく必要があり、今後の動向を見るうえでも押さえておきたいポイントです。
いずれにせよ広告主や広告代理店にとっては、今後注力すべき広告出稿先であるという結論は変わりません。
また、動画配信サービスでの広告出稿はTVCMのように認知獲得や想起率向上等のアッパーファネル向けの目的で行われることも多く、TVCMのリーチの補完やよりターゲティングを明確にしてユーザーへアプローチする方法がとられるケースが多くあります。現状の広告市場の中では依然TVCMの存在感は大きく、TVCM前のテストという観点で動画配信サービスが選ばれるケースも存在します。
TVCM施策と動画配信サービスでのデジタル広告施策に関しては非常に近しい関係にあり、コネクテッドテレビ広告の普及もあるため、しっかりと連携させる必要があります。
動画配信サービスを活用した広告プランニングの3つの課題
前述のように動画配信サービスはユーザー数の伸長、コネクテッドテレビの普及というデバイスの変化が大きな機会である一方、広告出稿に関わる各種プランニングを考えるときには課題も存在します。
- 1.計測環境の課題
デジタル広告を実施するときの一つのメリットとして、広告効果計測ができることがあげられます。しかしながら、昨今では「3rd Party Cookieの規制」や「IDFA利用制限」もあり、従来の手法では広告効果計測がしづらい環境になっています。そこに加え、動画配信サービスをクロスデバイスで視聴するといった環境の変化も、横断的な計測や直接的な成果貢献の可視化をしていくことの難しさにつながっています。
もちろん、各プラットフォーマーが独自で提供しているアンケート調査をベースにした「Brand Lift Survey」等があるものの、さらなる広告効果計測へのアプローチの多様化は今後期待したい点です。
- 2.フリークエンシーコントロールの課題
1の計測環境の課題にもつながりますが、各動画配信サービスが伸長してくると複数の広告媒体を利用することも多くなってきます。その際、個別媒体でのプランニングに終始し、媒体を横断したリーチとフリークエンシー、重複リーチを見ていないケースが多く見られます。それぞれの媒体での広告視聴単価はしっかりと把握管理していたものの、重複を見るとユニークリーチ単価が上がってしまうというケースです。
例えば、下記の表のとおり、予算は1媒体の時と同じで、配信先を2媒体に増やしたときに、個別のレポートで見たときにはリーチ単価が変わらなくても、重複リーチで見てみると、重複率次第ではユニークリーチ単価が大きく変動してしまいます。
これらに関しては今後より課題が顕在化する可能性もあり、重複リーチや横断したフリークエンシーコントロールに対してのニーズは増えてくると考えています。
- 3.TVCMとの連携体制の課題
TVCMと動画配信サービスを中心としたデジタル広告を連携してプランニングをする上で、
「クリエイティブはTVCM素材を流用するだけでよいのか」
「統合したコミュニケーション戦略は考えられているのか」
「TVCMと連携した指標設計は行われているのか」
「TVCM施策と連動できる広告主側/代理店側の体制になっているのか」
「それぞれの効果計測はどうなっているのか」
などの様々な課題が生じます。これに対して、多くの広告主から、円滑に連動する体制を構築することは難しいという声を聞きます。課題自体は顕在化しているので、今後どのように実行していくかがポイントです。
セプテーニでのアプローチ方法
セプテーニでは前述の課題に対して、広告主やプロモーションの与件に合わせて様々なアプローチを採用しています。
1つ目の「計測環境の課題」に対しては、各プラットフォーマーが用意している調査や計測スキームは利用しながらも、何パターンかの施策を追加してご提供しています。
例えば、以下の施策です。
ここで重要になってくるのは、計測したい目的を整理し、各計測方法のできること・できないことをしっかりと把握したうえで、適切な手段を選ぶことです。
また、2つ目の「フリークエンシーコントロールの課題」に関しては、媒体横断管理ができるプラットフォームを利用します。媒体横断で管理することで、フリークエンシーコントロールや1つ目の課題にもつながる横断的な効果計測にも対応することができます。対応している媒体数やできることが限られるケースはあるものの、今後のプラットフォーム側のアップデートを含め、非常に有効なアプローチ方法として位置づけています。意図したリーチやフリークエンシーの設計ができれば、より効率的に広告配信計画を立てることができるようになります。
最後に3つ目の「TVCMとの連携体制の課題」に対してです。
セプテーニではTVCMを筆頭にしたオフライン施策とデジタル広告施策を連動することは非常に重要だと考え、「オンオフ統合」と銘打ち、広告主へのサービス提供を強化しています。様々な課題に対して、グループ会社との多くの協業案件を通じて得た知見や実績を踏まえた施策ラインナップを用意しており、しっかりと実践できる型づくりを行っています。
オンオフを統合した「戦略・配信・指標の連携」「組織的な共創体制」「統合コミュニケーション設計」「適切な予算配分の最適化」「データ統合」のカテゴリに合わせて、具体的な施策やアクション項目を設計しています。それらの型に合わせて、マーケティングの現在地として今どこにいるのかを把握するチェックリストも用意しており、広告主に合わせた段階でのサービス提供もできるようになっています。
これまで説明してきたように、動画配信サービスに関しては急成長していることもあり、広告プランニング上乗り越えなければいけない課題は多くあります。まだまだ業界内でも発展途上の領域であるものの、各プラットフォーマーの進化に加え、代理店側が打てる施策においても様々なバリエーションが出てきています。
セプテーニでは、今回ご紹介したアプローチ方法以外にも、広告主に合わせたサービスやソリューションを用意しています。
是非一度当社にお問い合わせください。
【セプテーニへのお問い合わせ】
コラム執筆者
本間 崇司
Septeni Japan株式会社
マーケティング戦略本部 メディア/プラットフォーマー領域担当
2007年に株式会社セプテーニ入社。
入社後Search・Google領域を中心としたコンサルタントとして、様々な業種のコンサルティング業務に従事。その後、全媒体のコンサルティング領域を管掌。
合わせてメディア/プラットフォーマー折衝、広告ソリューション、アフィリエイト広告の組織も管掌。
運用広告・広告ソリューション・獲得/認知型広告と幅広く知見を有している。
現在はマーケティング戦略本部内でメディア/プラットフォーマー領域を管掌。
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