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モバイルマーケティング最先端-第三回:アプリマーケティングのためのデータクリーンルーム「AppsFlyer Privacy Cloud」

 

前回の記事ではデータクリーンルームが注目されている背景や、様々な企業が提供するデータクリーンルームについて整理しました。
今回は、AppsFlyerが提供するデータクリーンルームである Privacy Cloudの仕組みやその活用事例やメリットついて、少し掘り下げてお伝えします。

(Sponsored by AppsFlyer)

 

AppsFlyerが持つアトリビューションデータにはすでにアドネットワークからの広告接触のデータが含まれまれため、広告主のデータを投入すれば、複数のステークホルダーのデータを組み合わせて分析できるソリューションとなります。

 

 

データフロー

AppsFlyer Privacy Cloudをお使いいただく場合、まずは広告主がユーザーレベルデータを加工・投入する必要があります。このユーザーレベルデータにはそのユーザーのセグメントを示す「ディメンジョン」の情報と加工対象としたい「指標」のデータを含めます。またユーザーのキーとしては、AppsFlyer SDKをご利用の中で採番されているAppsFlyer IDを付与します。このデータはAWSのS3もしくはGoogle Cloud Strageのバケット経由でPrivacy Cloudに連携します。

Privacy Cloudは、すでに収集しているアトリビューションデータやアプリ内イベントデータを組み合わせてデータクリーンルーム内で分析・加工します。このとき、どのように分析・加工するかは、事前に設定された方法次第になります。この出力結果はユーザープライバシー侵害の懸念がない集計データに限られます。

 

データクリーンルーム内の処理イメージ

図のように、広告主が入力データ内の定義したディメンジョンと、AppsFlyerのアトリビューションによるグルーピングが一致するユーザーの指標をまとめて、足したり、カウントするなどで集計します。この時、AppsFlyer IDのようなユーザーを個別に特定してしまう情報は削除されます。

また、該当のグルーピングに1人しかユーザーがいない場合にはデータをマスクするなどといった処理も行われ、出力結果である集計レポートから、個々のユーザーの指標値を類推することができないようになっています。

当然のことながら、広告主がAppsFlyerからアトリビューションを含めたユーザーレベルのローデータが完全に取得し、分析環境に持ち出せるのであれば、同様の分析は可能です。しかし、すでに広告主へのユーザーレベルデータ共有を制限しているアドネットワークが出てきているため、これが不可能になってきています。このような状況下でも、データクリーンルームを使えば、広告主が入力データ内の定義したディメンジョンと、AppsFlyerのアトリビューションをユーザーレベルで掛け合わせた分析結果が得られるのです。

活用事例

より具体的なイメージを持っていただくために、実際にAppsFlyer Privacy Cloudがどのように使われているのかを簡単な例で示します。何をディメンジョン/指標として扱うかが鍵となりますが、これは広告主のビジネス内容やマーケティング戦略によって異なってきます。

ゲームアプリを多数抱える広告主は、ユーザータイプ毎のセグメントの指定(新規ユーザー、復帰ユーザー)と、 独自ロジックでユーザーのランクをグループ化したもの(ゴールド、シルバー、ブロンズ等)をディメンジョンとし、リテンションおよび広告収益を指標として利用しています。

また、フードデリバリーアプリを運営されている広告主は、ユーザーの年齢層や初回注文からの期間によるセグメントをディメンジョンとし、注文頻度やメニューを開いた回数を指標として計測しています。

このように、各広告キャンペーンが意図していたセグメントのユーザーに対してどれだけ成果があったのかということを、それぞれのビジネスにあった指標で計測し、その後のキャンペーンの最適化にお使いいただいています。

 

導入のメリットとは?

直接的なメリットとしては、すでに広告主へのユーザーレベルデータ共有を制限しているアドネットワークの広告キャンペーンの評価に使えるということです。具体的にはMetaやBytedanceの一部のデータ等になりますが、こういったメディアへの広告配信ボリュームが多い広告主ほど、その効果計測を必要としています。この場合には、他に有用な計測手段がないため、AppsFlyer Privacy Cloudを利用いただくメリットは大きいです。

中・長期的に見ると、広告主へのユーザーレベルデータ提供を制限を制限するアドネットワークは増えてくるものと予想されます。またエンドユーザーもプライバシーに対してますます敏感になり、ユーザープライバシーを重視しないサービスへの風当たりが強くなることが予想されます。このような更なるデータ制限のリスクに備えるという点も利用いただくモチベーションとして挙げらています。

また、一度そのデータフローを構築してしまえば集計レポートの生成の自動化できることや、ビジネスのニーズに合わせてディメンジョン・指標を定義することで、出力結果となる集計レポートを柔軟にカスタマイズできること自体も大きな価値です。

AppsFlyer Privacy Cloudは他のデータクリーンルームと比較し使い始めるハードルは低いと言えるものの、それでも入力データの加工などの準備はありますし、実際にビジネス上の成果につながる集計レポートを得られるようになるためには試行錯誤も必要かもしれません。このようなことを見越した先見的なお客様から利用いただいている印象です。是非、もっと多くのお客様に導入いただき、ユーザープライバシー重視の新たな時代でも成功を掴んでいただきたいと考えています。

ABOUT 田口 真言

田口 真言

AppsFlyer Japan株式会社
ソリューション・アーキテクト
日本アイ・ビー・エムにて金融系のアプリケーション開発エンジニア、データベースエンジニア、データ基盤・AI製品導入のプロジェクトマネージャーを経て、2020年にAppsFlyer Japanに入社。カスタマー・サクセス・マネージャーとして、さまざまな業種のお客様のアプリマーケティング活動を多角的にサポート。MMP移行のニーズが高まりに応えるため、2022年4月より現職に異動し、初めてAppsFlyerをご利用いただくお客様への技術的な導入支援や、移行支援を行なっている。また、エンジニアとしての大規模システムの開発やデータ処理・分析の経験をもとに、日本市場におけるAppsFlyerデータクリーンルームの活用支援にも取り組んでいる。