GoogleがサードパーティCookie廃止を延期しても時計の針は戻せない
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on 2022年11月09日 inCookieless時代はもう始まっている
Googleは7月下旬になって、ChromeブラウザにおけるサードパーティCookieのサポート完全終了を2024年後半にまで延期すると発表しました。同社によるサードパーティCookie廃止の延期は今回が2度目です。この発表を受けて「今後しばらくはまだCookieを活用できる」と胸をなでおろした方もいるのではないでしょうか。
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しかしながら、Safari、Firefox、Edgeといったその他の主要ブラウザは既にサードパーティCookieのサポートを終了しています。現時点で世界中のオンラインユーザーの4割はもはやCookieでは識別できません。
つまり、Googleの決断を待たずとも、我々は既にCookieless時代の真っ只中を生きているのです。言い換えれば、Cookieを用いない代替ソリューションは今すぐにでも有効性を発揮します。代替ソリューションを活用する企業は直ちに競争優位に立つことができるでしょう。
Cookieが抱える本質的な課題
そもそもCookieはユーザーのプライバシーを十分に保護できず、またユーザー識別の効率性においても課題を抱えていました。本来であれば媒体社だけが取得できるデータの漏洩につながるだけでなく、ページの読み込み速度が遅れ、さらには異なる事業者がそれぞれ発行したCookieを連携させる度に10~20%のユーザーを失います。またCookieは頻繁に更新・削除されるので、安定性にも欠けます。主要ブラウザが次々とサードパーティCookieのサポートを終了させるずっと以前から、プライバシーを保護した上でより効果的な代替ソリューションの開発が求められていたのです。
GoogleはなぜCookie廃止を先延ばしにしたのか
Cookieを用いたターゲティングやアトリビューション計測は、20年以上にわたり行われてきた結果として業界標準となりました。全く異なる仕組みへと移行するとなれば、実装し、運用されるまでには多大な時間を要します。特定の企業による取り組みだけで完結するわけでもなく、業界全体で歩調を合わせる必要もあります。ただし、現在のように代替ソリューションが乱立すれば、共同的な取り組みは取りづらくなります。「もうしばらくの間はCookieを有効活用しよう」という考えになるのも無理はないでしょう。
Googleは、サードパーティ Cookie の代替となる、新しいプライバシー保護技術を構築するための共同イニシアチブとして「プライバシーサンドボックス」の開発を続けていますが、この取り組みは2020年に開始されてからほとんど進展していません。またプライバシーサンドボックスのAPIであり、共通の興味・関心を持つユーザー群を構成する「FLoC」は欧州の規制当局からの反対を受けて計画は頓挫しました。Googleは、英国の競争・市場庁が指摘した独占禁止法の観点からの課題が解決するまでは、サードパーティCookieのサポートを廃止しないとの姿勢を示しています。しかしながら、オンラインユーザーの約半数には機能せず、本質的な欠陥を抱えるCookieに執着する必要はありません。
デマンド、サプライそれぞれの現状と今から取り組むべきこと
デマンドサイドの現状
今日、ほとんどの広告主は広告予算を無駄にしています。誰もが同じChrome上の限られたオーディエンスのために競い、Safariのようなブラウザで提供されるものに見向きもしないのです。これは、広告主が(少なくとも当面は)Chromeだけがターゲティング、リターゲティング、最適化、測定を行える唯一のアドレッサブルなブラウザだと今なお考えているからです。
繰り返しになりますが、米国では現在SafariやFirefoxなどのCookielessブラウザからのウェブトラフィックが全体の約4割を占めており、これは無視できない割合です。そしてこれらのブラウザ上で効果的な広告キャンペーンが行われているケースは、実はそれほど多くないというのが現状です。先進的な企業は、各種Cookielessソリューションを評価するためにそれらのトラフィックを試験的に使用していますが、たとえこれらの概念実証(POC)キャンペーンが肯定的な結果を示していたとしても、果たしてそれが競争力を担保できる規模で実施されているかと言えば、必ずしもそうではありません。SafariやFirefoxで実行されている効果的なキャンペーンはまだ少ないのです。
基本的にバイサイドのプラットフォームは、広告主が望むことを行います。しかし、IDソリューションに関しては、広告主自身が、まだ自分たちが何を望んでいるのか分かっていません。つまり、ほとんどのマーケティング担当者がIDソリューションなどのテクノロジーをよく知らないことは問題とみなすべきでしょう。実際、サードパーティCookieの利用制限が話題となる以前に、Cookieを用いたユーザー識別の仕組みについて十分に理解する広告主は決して多くありませんでした。Cookielessソリューションが普及し始めた今、広告主はCookieによる識別手法が新しいソリューションやシステムにどのように取って代わられるのかをよりよく理解することが求められています。広告主が強い関心を示さなければ、広告プラットフォームの対応は遅れがちになります。広告主側から、エージェンシーやプラットフォームなどのビジネスパートナーに働きかけることで、Cookielessの現在と未来をサポートできるようにしていくことが必要だと考えます。
サプライサイドの対応
一方、サプライサイドについても、前述のようにChrome以外の主要ブラウザは既にサードパーティCookieをブロックしているため、Cookielessへの対応に早すぎるということはありません。自社サイトでより多くのユーザーを識別可能(アドレッサブル)な状態にしておくことで、オーディエンスリーチが担保され、結果的により効率的に収益化を図ることができるようになります。そしてあらゆるブラウザ、デバイスにおいて自社在庫の価値を維持していくためには、アドテクプラットフォームとの親和性が高く、クロスデバイスなどの包括的なアプローチを提供するIDソリューションの実装を進めておくことが重要だと考えます。
特に、ID5 IDはメディアがPrebidやAmazonなどのヘッダービディングを既に導入済みの場合、容易に実装することが可能です。また、今年に入りGoogle Ad ManagerにおいてもESP(Encrypted Signals for Publishers)プログラムを通じてID5 IDをバイヤーに受け渡すことが可能になりました。
様々なCookielessソリューションが登場してくる中で、まずどのサービスへの対応を優先させるかを考える必要がありますが、最近になってどのプロバイダがより高い導入率を持っているかを把握するための分析ツールや、IDソリューションの有効性を示すケーススタディ も出てきました。このような情報を活用し、優先度付けをして対応を進めていくことが鍵となるでしょう。
このグラフにあるとおり、現在、我々が提供する「ID5 ID」はIDソリューションとして世界一パブッシャーに支持されています。ありがたいことに、その勢いはどんどん増しています。
IDソリューションは広告主と媒体社の双方が恩恵を受けることができる稀有な仕組みです。ユーザーのプライバシーを保護し、より正確にユーザーを識別できる効果的なIDソリューションが既に存在している以上、すぐにでもそして最大限にそのソリューションを活用すべきであると私は考えます。
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ID5についての過去記事
・ID5が日本での事業拡大に向けてglobaliveとの事業提携を締結
・「Cookieの代替技術ではない。凌駕する技術だ」―IDソリューションのID5がglobaliveとの提携で日本展開を本格化
ABOUT マシュー ・ロシェ
ID5、共同創業者兼最高責任経営者
複数のアドテク企業で計10年以上の経験を積んだ後、2017年にID5を創業。10万サイトとの提携を通じて、月に60億ユーザーへとリーチするIDソリューションを提供している。