認知型広告の効果可視化を行う「因果推論とMMM」
by ニュース
on 2022年10月24日 in(Sponsored by Septeni Japan)
○広告様式の変化
2021年、日本国内で初めてインターネット広告の出稿費用がマスコミ四媒体広告費を上回りました。
2022年のインターネット広告媒体費も継続的に伸長し、前年比115.0%の2兆4,811億円まで拡大すると予想されています。
その背景には消費者の生活様式の変化が挙げられます。テレビや新聞以外に多様なコンテンツと接触するようになったため、企業がプロモーションとして情報を発信するチャネルも、適切なメディアに最適化された形で発信する必要性が増しています。
デジタル広告に求められる役割も幅が広がっており、以前は成果が計測できる範囲の施策に用いられることが多かったものの、昨今はユーザーの心理変容を促す認知型施策をデジタル広告で実施しようと検討しているマーケターの方も多いのではないでしょうか。
本稿では、そういった認知型施策をデジタル広告(SNSやアドネットワーク)で実行する上での課題と、課題を解決するためのソリューションの一部をお話しいたします。
〇認知型広告の課題
認知型広告実施へのステップとして、一般的に以下の順で検討します。
1.実施目的の定義の策定
2.コミュニケーション戦略の策定
3.クリエイティブプランの策定
4.メディアプランの策定
5.運用戦術の策定
6.効果の可視化と計測環境の整備
※今回の認知型広告は、消費者の心理変容を起こすために、サービス側で設定したメッセージを込めた動画もしくはディスプレイ広告を配信するものと定義します。
デジタル広告が台頭して、認知型としても使われるようになったことで、効果の可視化や、そのための計測環境の整備手法にもアップデートが生じています。
デジタル広告は、テレビや新聞の広告と異なり、インプレッション数や視聴数、サイト訪問数や購入数まで計測することができます。
ただし、心理変容やサービス名を認知させる事を目的とした施策は、サイト訪問や購入といった行動に直結しづらいため、獲得目的の施策と比較して効率が劣るように見えることがあります。
何故なら認知型広告は事業のKPIへの成果が間接的なので、成果が出るまで一定以上の時間がかかるからです。そのため施策を評価するには中間的な指標を設定する必要があります。
中間的指標は施策の目的やプランに紐づいているものを選択すべきであり、例として以下のようなものが挙げられます。
・サービス名の認知向上:アンケートベースでの認知率や第一想起率
・サービスの機能理解促進:アンケートベースでの理解度
・行動変容:広告視聴ベースでのサイト訪問数
・口コミや拡散の誘発:SOV(Share of Voice)数
しかし、どれも事業KPIへの成果として評価する事は難しく、中でもアンケートの回答をベースにした指標は回答者によるバイアスがかかりブレが生じるため、中間指標として定めるのは難易度が高いかもしれません。
一方で、こうした認知型広告の効果が可視化できたらどうでしょうか。
認知型広告を実施した結果、コンバージョン数が何件増加し、売上がいくら上がったのかが定量評価できたならば、認知型広告をデジタル上で実施する意義や、効果的なメディア、有効な訴求、必要予算が分かり、最適な施策の立案に直結するのではないでしょうか。
○認知型広告の効果を定量化する
セプテーニでは、認知型広告を評価するためのソリューションとして「因果推論(Causal Impact)」と「Marketing Mix Modeling」(以降「MMM」)という2つの統計的手法をご提案しております。
また、これら2つの統計的手法を組み合わせた、「XYhai(サイハイ)」というソリューションを独自で開発し、広告主様に代理店の価値を提供しております。
詳しくは、こちらをご参照ください。
この「因果推論」と「MMM」には異なる特徴がありますので、今回はその特徴についてご紹介いたします。
- 因果推論
因果推論とは、統計学的アプローチによって施策実施時に発生するバイアスの影響を取り除いた形で施策介入効果を可視化するソリューションです。
施策の効果として、施策を実施しなかった際のKPI推移を統計的に算出し、実際のKPI推移との差分で算出する方法を取ります。(イメージ図1)
■イメージ図1
後述するMMMよりも精度が高いため、評価が困難な個別施策の費用対効果を定量化したい際に活用します。
計測に必要な項目と条件として、以下が挙げられます。
必要データ
・KPIの地域別進捗
・実施施策データ
必要条件
・一部配信地域を除外
- MMM
MMMとは、複数の施策がマーケティング目標にそれぞれどの程度影響しているかを数値化し、定量的に分析する手法全般を指します。
過去の実績を活用することで、各チャネルの投下予算やその他外部要素から成果を説明するモデルを作成し、各施策の影響度合いを算出する方法です。(イメージ図2)
■イメージ図2
データが取得できていれば施策の内容に関わらず分析が可能です。そのため、複数の施策を俯瞰した分析を行いたい場合に活用します。
計測に必要な項目と条件として、以下の3点が挙げられます。
必要データ
・KPIの進捗データ
・その他KPIに関連するデータ(精度向上のため利用推奨)
・施策ごとの配信実績データ(コスト、リーチなど)
○因果推論とMMMの有効な活用方法
因果推論とMMMはそれぞれ以下のようなケースで有効活用が期待できます。
Case.1 因果推論:デジタル上での動画広告効果検証
獲得型広告の施策において、最適化の機能によりリーチが飽和する中で、改善策として認知型動画広告をリーチ拡大施策として実施し、CV計測は不可だがCPAで評価したいと考えている。
本Caseでご紹介する広告主様は、獲得型広告の最適化によるユーザー集客にアッパーを感じたため、効果が間接的な認知型広告を、獲得目的のために活用する方針でした。
このような場合は、地域を一部除外し、因果推論を活用する事で認知型広告の施策効果の定量化が可能になります。
このケースでは、分析結果から、認知型動画広告が獲得型広告ほどではないものの一定以上のCVに寄与している事が分かります。これにより今後も定期的に実施する意思決定ができます。
Case.2 MMM:テレビCMの時期に合わせてデジタル上でもCM素材の広告を配信
サービスの繁忙期につき、テレビCMの実施を検討しており、制作費をかけて作成したテレビCM素材を配信するチャネルを増やすため、デジタル上でも配信を行いたい。
しかし、テレビCM期間に上がった成果がテレビとデジタルそれぞれでどの程度寄与しているのか分からないので、今後継続するべき施策なのか判断しづらい。
このような場合は、MMMを活用する事で、各チャネルの施策効果の寄与度を可視化し、優劣を判断します。これにより施策継続や次回実施時の予算配分のための示唆を得る事が可能になります。
このケースでは、分析結果より、テレビCMと比較して予算が少ないにも関わらず、デジタル広告も一定以上の成果が出ている事が分かります。
この後の施策実施時にデジタルの予算を強化する事で、全体の売上の改善が図れます。
○最後に
生活様式がデジタルシフトすることでプロモーションの主戦場が大きく変わり、デジタル上での認知型広告の重要度が増しています。それを正しく評価し、PDCAを効率的に機能させるのは簡単な事ではありません。
当社ではデジタル広告の運用だけではなく、今回ご紹介した「因果推論」・「MMM」の統計的手法やデータを活用したソリューション提供にも強みを持っており、プロモーションの目的の整理から施策の立案、そして効果計測までを一気通貫でご支援しております。
当ソリューションにご興味をお持ちの方や、本稿でご紹介した内容について詳しく知りたいという方は、是非、下記よりお問い合わせいただければと思います。
セプテーニへのお問い合わせはこちら
https://ln.septeni.jp/XenG7B5
コラム執筆者
成見太輝
Septeni Japan株式会社
ビジネスプロデュース部 エキスパート
2016年4月入社以降、営業職に従事。
中長期的なプロモーション戦略の設計から計測環境・成果の評価設計を踏まえた上でメディアの運用方法まで、幅広いサポートを担当。現在は、オンオフを統合したマーケティング支援に注力。
ABOUT 渡辺 龍
ExchangeWireJAPAN 編集担当
立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。