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MadTech Sketch:グーグルが企業分割をしたなら、業界構造はどう変化するか

今回のMadTech Sketchでは、もしグーグルが規制対策としてアドテク事業を分離したら、どのような変化が起きるかをキアラン・オケーンが想像する。

 

グーグルが規制当局の怒りを鎮めるため、アドテク事業を切り離す可能性があるとWall Street Journal(WSJ)が報じて以来、グーグルの次の一手について、さまざまな臆測が飛び交っている。

 

筆者は何年も前からグーグルの解体を予測していたが、実際、グーグル自身が分割の可能性を認めたところを見ると、何かもっと大きなことが起こることが示唆されているようだ。

 

今回のMadTech Sketchでは、この巨大企業がどうすれば規制という窮地を脱し、そのアドテク資産の巨大な価値を解き放てるかを考察したい。

 

まずグーグルが、そのアドテク資産をアルファベットの傘下に置くことはないだろう。規制当局に受け入れられないことを知っているからだ。

 

グーグルはその代わりに、(後述の)主要な資産をスピンアウトし、独立した会社を立ち上げる可能性がある。そして、その新会社は2024年、評価額1000億ドル(約13兆6800億円)超で上場するだろう。

 

その後の展開はさておき、新会社が存続するには、Adwords(現Google広告)への需要という「強力な後押し」が必要であることは間違いない。

 

グーグルはスピンアウトの一環として、Google広告への需要をAdsense、Admob、そして、アドエクスチェンジに流し込み続けるのではないかと筆者は疑っている。

 

率直に言うと、Google広告(特にグーグル検索、ユーチューブ等)への広告需要が回ってこなければ、スピンアウトしたアドテクスタックの価値はかなり低くなるだろう。この新会社とグーグルの商業上の関係は、Microsoft広告とMedia.netのようなものになる可能性がある。

 

新会社には何が含まれるのか

  • Googleアド・マネージャー:アドエクスチェンジ事業を含むパブリッシャー向け広告スタック
  • DV360:最大の市場シェアを持つDSP
  • Adsense:ミッドテールからロングテールの数百万サイトに配信されるサードパーティ広告ネットワーク
  • Admob:グーグルのアプリエコシステムの大部分を対象とするサードパーティ広告ネットワーク

 

独立系アドテク企業にとって、これが重要な理由

  • グーグルにひも付けされない広告スタックは、衰退する運命にある
  • Adwords(現Google広告)への需要が回ってこなければ、新会社はアドテクを無償提供できなくなり、アドサーバーやメディア向けソリューションの競争が激化する
  • 独立系アドテク企業にとっては市場シェアを拡大するチャンスなので、やはり競争が激化する
  • アドテクへの支配力が弱まれば、グーグルが指標を支配するのが難しくなり、業界はようやくラストクリックアトリビューションのようなグーグル的発想から脱却できる

 

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社CARTA HOLDINGS

2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。