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運用型テレビCM市場に集まるスゴい人材たちとその理由[インタビュー]

 

設立から約1年半、運用型テレビCMの市場で急速に事業拡大を続けているCARTA HOLDINGSのテレシー。今同社には広告業界の優秀な若手経営者幹部クラスの人材が集まってきている。

2022年7月に同社に入社した、ストラテジックプランニング本部 本部長 貴志和也氏もその一人である。
今回テレシーに入社した背景や今後の役割について、同社代表取締役CEO 土井 健氏が語る今後の同社の事業構想と合わせて、お話を伺った。

 

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)


始めはたったの2パーセント、揺れる想いと決めた理由

-簡単に自己紹介をお願いします

貴志氏:私は2011年にD2Cに入社し、メディアレップの立ち位置で2年間広告代理店営業をしておりました。2013年にD2CRという広告代理店の立ち上げに参画し、営業その後はストラテジックプランニングチームの立ち上げ、クリエイティブやコミュニケーションプランニング機能を合流させた統合プランニング本部の組成を行うなど、マーケティング領域の組織整備を進めて拡大させてきました。2021年には取締役に就任し、統合プランニング本部とデータマーケティング本部の二領域で100名ほどの組織を管掌しておりました。

 

-テレシーさんはなぜ貴志さんを迎えられたのでしょうか?

土井氏:お蔭様でテレシーはこの2年ほどで垂直で立ち上がり、成長を遂げてまいりました。

何を強みにして成長してきたかといいますと、自社の統合的なマーケティング、トップダウン、そしてチームとしてのインサイド、フィールド双方の営業力、強いメディアバイイング力、限られた予算でベターなものをつくるクリエイティブ力、放映後の効果分析をおこなう分析力などが挙げられます。これらの強みによってお客様の満足度を上げることでこれまで伸びてきました。

事業を開始してからの約2年で、タクシー広告やエレベーター広告、さらにはテレビCMを展開した当社独自のマーケティング効果で認知度が想定以上に上がり、最近ではナショナルクライアントの超大型案件のコンペにもお呼びいただくことが増えてまいりました。

事業立ち上げ時に想定していた、スタートアップ企業を主なターゲット層としていたことから、状況が大きく変わってきたのです。対峙する顧客企業や事業の規模がどんどんと大きくなり、そういったクライアントさんに対して自社だけでなく、社外のパートナーの協力を得ながら取り組んできたものの、現状のリソースで対応することに限界がきたのです。

貴志とは、イベントで一緒に登壇する機会があり、そこで初めて会ったのですが、すぐに「この人はとんでもなく優秀だな」と感じました。いわゆるストラテジックプランニングをしている優秀な人材というのは、独立してしまっている人が多く、なかなか確保することが困難です。

テレシーのチームの作り方として、これまでの実績もそうなのですが、パーソナリティーの部分でテレシーが掲げている4spirits。「真摯」、「早くて速い」、「ブルドーザーシップ」、「必然をつくる」を仲間を探すときにはとても大切にしています。テレシーで働く人は人こうあってほしいというものなのですが、貴志は、この4つを高いレベルで持ち合わせているなと感じたのです。

当初の「テレシーに行く確率は2パーセントです」(貴志氏)というところからはじまり、ずっと口説き続けて、テレシージョインまで粘りに粘りました。

 

-貴志さんはなぜ確率2%の状態から、テレシーに参画することを決めたのでしょうか?

貴志氏:最初は土井からFacebookのメッセンジャーで、とても軽く誘われました。そのとき私はその誘いを受ける気は全くなく、「これは、あちこちに声をかけているんだな」と思っていました。私は前職の会社や仕事が大好きでしたし、土井からの誘いを受けるまでは転職はまったく頭にありませんでした。また、取締役に任命いただいた1年目でもあり、そこでやりたいことも沢山ありました。ですので、有難いお話とは思いつつも、お断りしていたのです。

その後土井から「一度くらい食事しましょう」と言われて、お会いした時に「当社に来てください」と改めて強く誘いを受けました。この日の土井との会話で、自分の中で大きく気持ちが動きました。

テレシーはもちろんプロダクトとして素晴らしいものを持っていますが、私としてはマーケティングの統合的なプランニングをやっていきたいというところがありましたので、当初はテレシーへの参画はないと考えていました。ですが、先ほど土井が申していたように、社内でプランニング機能を持つようにしていくという今後の方針を聞いて、魅力的な仕事であるという認識をしました。

ですが最終的にテレシーに参画することにした一番の理由は、土井の面白さです。

その後も何回か土井と話す機会をもらい、その度にとても面白い、興味深い人だなと感じました。夢があるし、推進力もあるし、それでいて鼻につくところが全くないし、人望もあり、この人と一緒に働くのはとても面白そうだなと感じたのです。ですので、土井で決めたというのが最大の理由です。

 

土井氏:貴志から返事をもらう予定の日というのが、たまたまテレビ番組の収録日だったのですが、貴志からの返事のことが気になりすぎて、収録中も3分ごとにスマホをチェックしていました。笑

無理かなと思ったら、「行くことに決めました」という連絡をいただき、嬉しすぎて立ち寄ったファミリーマートで泣いてしまうほどでした。

私の人柄は置いておいて、有難いことに、テレシーの今後のビジネス拡張に高いポテンシャルを感じてもらえたからこそジョインを決めてくれたと思っています。
デジタル広告市場は成長を続けているといえども、そこにはGAFAがいて多くを持って行きます。しかしテレシーがビジネスをしている1.7兆円規模のテレビCM市場には、そこまで大きな巨人 はいません。実際に今大手総合代理店とコンペになっても勝つこともできるからです。

1.7兆円市場の1%のシェアで170億円、2%のシェアを取るだけで340億円です。また、僕らは周辺の領域もやっているので、それを考えたら勝負できる市場はとても広く大きいなという実感があります。

それを実現するためには、まだスタートアップで少数のタイミングでは、個で多くの役割を担えるスーパースターを集めてくる必要があります。ですので、自分自身がこの人だと確信したとびっきりの人に本気で声をかけているのです。

そうやって人を集め、今の時代にあった組織と事業を作っていけば、大きなところを目指すことが出来るという手ごたえがあります。テレシーは、代理店商流に頼ることなく、まったくの新規の顧客だけを対象に事業をして、2年経たずに、四半期で15億円の売上を超える規模に急成長しました。

おかげさまで、テレビCM以外にも、タクシー広告やエレベーター広告は広告代理の立ち位置で売上日本1位になることができ、自社媒体として世界初のヘリコプターサイネージを開発するなど、テレビCMだけでなく、広告代理店事業の枠を超えて事業拡張できています。自社で完結する事業だけでなく、外部の企業と色々なパートナーシップを組んでいくことで、売上を数百億円規模に拡大していくことは現実的であると考えております。

 

 

テレシーが目指すところと、求める力たち

―今テレシーが総合代理店とコンペで競合している案件というのは、マスとデジタルの統合プランニングに関わる案件が多いのでしょうか?

土井氏:最近コンペのお話をいただくのは、統合プランニングに関するものが多いです。ですので、テレビは当社、デジタルはCARTA HOLDINGSのグループ会社や知り合いの会社と一緒に組んで提案をしていますが、今後社内の体制も整備していく必要があると考えています。

 

―そうすると今後はデジタル広告も含めたエージェンシー機能を強化していく予定ということでしょうか?

土井氏:売上が数百億円規模になるまでは、あくまでテレビCMを主軸に取り扱っていきたいと思っていますが、近い未来にテレシー内でデジタル広告のエージェンシー機能をもつことになると思います。

 

―貴志さんはご自身の強みをテレシーのどこで発揮していきたいと感じておられますか?

貴志氏:私は何かにものすごくとがったタイプというよりは、どちらかというとバランスタイプであることが強みだと、ここ10年ほど働いてみて感じています。
最前列の折衝と、後列の戦略/戦術のプランニングを担え、また現場感覚とともに組織感覚もあるというような、「バランス力」で力になることが出来ると考えております。

一組織を立ち上げ、走り出すまでは自分がプレイヤーとして全てを担える。組織が拡大してくればキレキレのストラテジックプランナーや、折衝とプランニング双方を担えるようなマルチプレイヤーを採る側に回るというように、会社の成長ステージに応じて自身の役割をシフトさせることが出来ることができる。そのような意味でもバランスを取ることが出来ると考えています。

また、これまでの経験上、外部パートナーとのアライアンスでも貢献できると思っています。前職では国内の様々なパートナー企業に加え、中国のパートナーとの交渉事をまとめるなどの経験もしてきました。今後テレシーがテレビCMだけではなく幅広くサービス領域を広げていくときに必要となるパートナーとの外交的な役割も担えるかと思います。

 

土井氏:貴志が謙遜しているので私が補足しますが、貴志が言う「バランス」の一つ一つのパラメーターの水準がとても高いです。笑
普通の人の場合、そのうちの一つを持っていて「すごいね」といわれるものを、貴志は沢山持っています。

ストラテジックプランニング、組織づくり、アライアンスも秀でていますし、しゃべるのもとても上手ですし、営業も然りです。全てにおいて一級品です。

広告業界ではここ数年、大手コンサルティング会社が存在感を高めており、事業業績や時価総額が伸びてきています。彼らは企業の課題を整理して、戦略を再構築してその実行を支援するというサービスを提供しています。テレシーという会社は将来、大手コンサルティング会社が競争を繰り広げている領域に部分的に参入していきたいと、考えております。テレシーはまだまだ小さい会社だからこそ、市場の趨勢を見極めながら、自由に将来を作っていくことが出来る、可能性が無限大の会社です。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。