日本オラクル「ユーモアを取り入れたマーケティング」調査を発表[ニュース]
日本オラクル株式会社は、6月20日、「ユーモアを取り入れたマーケティングに関する意識調査」の日本における調査結果を公表した。本調査は、オラクルのOracle Fusion Cloud Customer Experience(CX)部門と、ニューヨーク・タイムズのベストセラー作家兼ポッドキャスターであるグレッチェン・ルービン氏によって世界14カ国、約12,000人を対象に行われ、日本は約1,000名が対象となった。
昨今、日本でも幸福と訳されることが多いウェルビーイングがビジネスの場でも注目されている。今回の調査結果によれば、人々は、笑顔になり幸福感を得られる新しい体験を求めており、ユーモアを取り入れたブランドに対してはロイヤリティが高まる一方、そうでないブランドからは離れる傾向にある事が判明した。
ここ数年で変化した環境下で、人々は、コストを惜しむことなく、再び幸福感を得られる方法を探している。
•45%の人が2年以上、幸福感を得られていないと回答。
•84%の人が、笑顔になり、幸福感を得られる新しい体験を求めている。人々は幸福感を得るため、健康(84%)、個人的な付き合い(82%)を優先している。
•半数近く(48%)が、お金で幸福感が買えたらよいと考えており、79%が真の幸福感のためには割高でもいいと回答している。
•87%がコロナ禍においてオンライン・ショッピングで幸福感を得ようと試み、42%が荷物を受け取る瞬間に幸福感を得られたと回答している。
消費者がブランドに微笑ませてくれるような新しい体験を求めている一方で、ビジネス・リーダーは、ブランドがユーモアを用いたマーケティング施策をあまり活用していないと認識している。やり取りにユーモアを用いることによる顧客との関係を懸念しているからである。
•56%の人が、ブランドは顧客に幸福感を届けるためにもっとできることがあると考えている。また、89%の人が、ブランドは面白い方が良いと回答し、この数値は、Z世代(92%)とミレニアル世代(89%)において高い傾向にある。
•84%の人が、面白い広告の方が記憶に残る可能性が高いと回答しているにもかかわらず、自社ブランドのオフライン広告(テレビや広告看板)やオンライン広告におけるユーモアの積極的な活用は、ビジネス・リーダーの回答によると、それぞれ32%に留まっている。
•52%の人が、微笑ませてくれるような販売または営業担当から購入する可能性が高いと回答しているのに対し、自社のブランドの販売においてユーモアを活用していると答えたビジネス・リーダーはわずか20%であった。
•56%の人が、ソーシャル・メディアのチャネルでユーモアのあるブランドをフォローすると回答しているが、自社ブランドがソーシャル上でユーモアがあると回答したビジネス・リーダーはわずか30%に留まりまった。
•48%の人が、メールの件名が面白ければそのブランドからのメールを開封すると回答している。メールのマーケティング・キャンペーンにユーモアを積極的に活用していると回答したビジネス・リーダーは45%であった。
ユーモアを取り入れたブランドは支持され、ロイヤルティが高まり、顧客が再び購入したいという気持ちにさせる一方で、そうでないブランドからは離れていく。
•62%の人は、ブランドから普段、幸福感を得られる体験がない場合、そのブランドから離れるだろうと回答している。この数値は、グローバル平均41%に対して、日本は調査対象国の中で最上位になっており、この傾向が強いことが明らかになった。
•ビジネス・リーダーの83%が、ユーモアを用いることでカスタマー・エクスペリエンス(CX)を向上でき、顧客を笑顔にできると考えている。
•ユーモアのあるブランドにおいて、再購入する可能性が高まり(79%)、競合他社よりもそのブランドを好む(79%)、家族や友人にそのブランドを勧め(74%)、そのブランドに対してよりお金を使う(61%)といった傾向にある。
•一方で、85%のビジネス・リーダーが、顧客とのやり取りでユーモアを用いることに躊躇している。
•ビジネス・リーダーの84%は、ユーモアをうまく伝えるために必要なデータやインサイト、ツールがないと回答している。顧客とのエンゲージメントにおいて、顧客を把握でき(47%)、人工知能などの先進技術にアクセスできれば(28%)、ビジネス・リーダーは自信を持ってユーモアを用いることができる。
また6月17日に開催された記者会見では、日本オラクル株式会社の理事クラウド・アプリケーション事業統括 CXソリューション・エンジニアリング事業本部 竹内尚志氏が、本調査結果に対する質疑に応じた。
竹内氏は、ユーモアを用いたコミュニケーションを創出するための必要条件として深い顧客理解を強調した上で、日本オラクルとしては、CDP機能を含む同社の「Advertising and Customer Experience(CX)」などのソリューションがユーザー理解を促進すると説明。こうしたソリューションの提供を通じて、広告主や広告代理店などがユーモアを用いたコミュニケーションを設計する際の支援を行っていきたいとの方針を述べた。
また会見では「ユーモアを用いたコミュニケーション」に伴う炎上リスクが指摘された。これに対して、竹内氏は有効なソリューションを用いることでユーザーを適切に理解し、さらにはA/Bテストを行うことで、炎上リスクは軽減できるのではないかとの考えを述べた。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。