クッキーレス時代を見据えて-セプテーニがお薦めするCDPの上手な使いはじめ方-[インタビュー]
by ニュース
on 2022年6月13日 in個人情報の取扱いに対する社会の関心が高まりクッキーへの規制が強化される中で、ファーストパーティデータ活用の重要性は増している。それに伴い、企業においてCDPの導入を検討する機運が高まりつつあるも、その導入に至るには依然として高いハードルが待ち構えているのも事実である。
そのような企業の課題を見据え、セプテーニでは今から3年ほど前に Google Cloud が提供する BigQuery を基盤とした CDP サービスの提供を開始した。
「課題解決型のソリューション」という本サービスは企業をどのようにサポートするのか。
データマーケティングに不安を抱える企業がスモールスタートを踏み出すためのTipsや業界を取り巻く現状、CDPサービスの概要について、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社パートナー営業本部 パートナー ディベロップメント マネージャー データアナリティクス担当 小澤 真由子氏、Septeni Japan株式会社 データ事業本部 データインテグレーション部 コンサルタント 青木 洋氏に話を伺った。
(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)
(ライター:同 渡辺 龍)
(Sponsored by Septeni Japan)
CDPをサポートするパートナーに求められる、深いビジネス理解
―自己紹介をお願いします
小澤氏:グーグル・クラウド・ジャパン合同会社の小澤真由子と申します。Google で Google アナリティクス 360、Google マーケティング プラットフォームの営業部門でデータのマーケティング活用を支援していました。その後 Google Cloud に異動し、現在は BigQuery を中心としたデータアナリティクス領域のソリューションをパートナー様と一緒にお客様に展開しています。
青木氏:Septeni Japan株式会社の青木洋と申します。入社後、3年間ほど広告計測関連のサポート業務に従事していました。現在はデータ事業本部に所属し、MAやCDPなどを活用した企業様のデータドリブンマーケティング支援に注力しています。
―CDP構築サービスの展開が業界全体で進んでいますが、その背景についてお聞かせください
小澤氏:昨今、個人情報保護に関する法律が変わったこともあり、企業がデータを取り扱うにあたってよりプライバシーへの配慮が求められています。それに伴い、企業自身がユーザーから利用許諾を明確に取っているデータ、いわゆるファーストパーティデータを活用して、お客様のニーズにアプローチをしていく必要に迫られています。これらを実現するには様々な選択肢がありますが、その中の1つとしてセプテーニさんが提供されているような CDP ソリューションのニーズが高まっているのではないでしょうか。
青木氏:クッキーレスへの流れやIDFAの取得制限などから、企業で活用できるサードパーティデータは少なくなってきており、広告効果計測などの部分に影響が出始めています。クッキーに変わるファーストパーティデータを今後活用していくにあたり、その基盤としてCDPの必要性を再認識し、当社でも3年ほど前からCDP構築サービスを展開してきました。
―現状どの程度CDPは企業に広まっているのでしょうか
小澤氏:最初はオンラインでビジネスを展開していて、かつエンジニアをある程度抱えている、デジタルマーケティングに元々強いお客様から利用が始まりました。直近では規模や業界を問わず小売、消費財、金融、不動産といった、オンラインがメインではないお客様も取り組みを始めています。
― BigQuery を活用したCDPを提供するパートナーにはどういったことが求められていると思われますか
小澤氏:マーケティングアナリティクス領域でお客様とスムーズに連携できるパートナーさんというのは、基幹系のシステムをご支援する場合とは求められることが異なると思っています。通常のシステム構築では IT 部門が中心になって進められますが、CDP領域ではマーケティング部門がプロジェクトの中心となります。マーケティング部門のニーズや求めている成果、広告ビジネスへの理解など、全体を俯瞰したトータルでの支援が必要になります。それに加えて、どのようなデータを用意する必要があるか、そのためにどうユーザー接点を増やすか、などのよりお客様のビジネスプランにまで踏み込んだアドバイスまで踏み込めるコンサル的な役割も求められることもあります。
―セプテーニさんは Google Cloud の Premier Partner 認定を受けていますが、マーケティングアナリティクス領域におけるセプテーニさんの強みについてどのようにお考えですか?
小澤氏:CDPは基盤を作ればそれで終わりではなく、その後のお客様サポートが非常に重要になってきます。どういったCDPが成果に繋がるのかを理解し、結果の計測からまた改善に繋げていくというPDCAを回すまでをお客様と一緒に作っていくことが不可欠です。セプテーニさんは広告を中心としたマーケティング施策の実行に強みを持ち、データ活用をビジネスの成果に結びつける部分まで深く入り込んで伴走されるスタイルですので、マーケティングアナリティクス領域で非常に重要で信頼しているパートナー様です。
CDPは、スモールスタートが可能
―セプテーニさんのCDPサービスの特徴を教えてください
青木氏:当社ではCDPを「課題解決型のソリューション」としてお客様にご案内しています。
昨今、CDPやDXといった言葉だけが先行し、CDP自体が効率的に活用できていないケースがあります。その要因の1つとしては、解決すべき課題を明確にしてからCDPを導入する、という業務設計が出来ていないことが考えられます。課題が設定されないまま手段先行で進むと、CDPを導入した目的が不明瞭になってしまいます。そこを当社ではお客様と伴走する形で全体設計から入り、導入・構築を進め、さらにデータ分析や施策実行まで一気通貫で行える体制を整えています。CDPにも様々な特性があるので、目的から逆算して課題を浮き彫りにした上で、最適なCDPを選定して施策実行まで繋げていくというソリューションを提供しています。
―CDPはこれまでデータ活用に取り組んでこなかった企業にとってはハードルが高いソリューションだと思います。その辺りについてはどのようにお考えでしょうか
青木氏:確かにCDPは全体設計、構築作業、そこからの施策実行と全体フローを見渡すと非常に大掛かりなプロジェクトになり、工数と費用もかかります。そこで当社ではCDPをスタートする最初の一歩として「Precog(プリコグ)」というサービスを展開しています。このサービスは環境を当社側で用意しているので、一からCDPを開発して用意するより圧倒的に費用が抑えられ、また当社側で実装作業をするので工数も抑えられます。サービス概要としては、企業のファーストパーティデータを用いて機械学習をかけ、特定の目的に対して予測確率を算出します。例えばECサービスを展開している企業であれば、2回目購入をしやすいユーザなど企業がエンゲージメントを高めたい顧客に対してスコアリングをはじき出し、そのセグメント分けに基づき広告を配信することが可能です。
―「Precog」を利用するコストはどのくらいかかるのでしょうか
青木氏:一概には言えないのですが、通常のCDPの100分の1程度です。一般的に従来のCDPにかかる費用は1,000~2,000万円ほどですが、Precogだと10~20万円でご提供できます。まずはPrecogでCDPの価値を体感していただき、より豊富なデータ連携が必要になった際に、本格的にCDPを活用していくというステップを踏むことができます。
企業のフェーズに合わせた BigQuery の活用を
―セプテーニさんから見て Google Cloud の BigQuery は数ある CDPの中でどのように位置づけておられるのでしょうか
青木氏:CDPにも様々なタイプがあります。当社では大きく「パッケージ型CDP」と「カスタマイズ型CDP」に分類しています。パッケージ型CDPは、価格は少し高めですが、CDPに関する機能が全て内包されており、ユーザー側での開発が不要です。一方、カスタマイズ型CDPはCDPとしての機能を果たすためにユーザー側での開発が必要になります。その代わりに従量課金制となっているので、スモールスタートを切りやすいという特長があります。BigQuery はカスタマイズ型CDPに該当します。明確な課題や要望が顕在化していない企業様は、まずはスモールスタートから、となることも多いので、そういった観点から BigQuery は非常に有用であり、かつ当社としても推奨しています。
小澤氏:BigQuery には大きなメリットがあります。それが Google アナリティクスとの連携です。
Google アナリティクス には BigQuery にデータを出力をする機能が最初から備わっているので、新たにデータをエクスポートするための開発の必要がありません。ウェブサイトやアプリでのユーザー行動を他のデータと統合して様々なマーケティング施策に活用したいというお客様が多い中で、これは大きなメリットだと思います。Google アナリティクスは既に多くのお客様に利用されているため、Google アナリティクスと BigQuery の組み合わせで CDP としての活用を始めようというお客様は多く、セプテーニさんにもご提案いただいています。また、既存のツールでは利用していく中でデータ量が増え、その重さに耐えきれずレスポンスが悪化し、環境を再構築しなくてはならない場面もあります。BigQuery は自動的にデータ量に応じてスケールするため、運用に工数を取られることがなく、その分データの分析、施策への活用に時間を使うことができます。スモールスタートに適しており、かつ将来的なデータの増大にも対応できるので、お客様のフェーズに合わせて柔軟に使っていただけるのも強みの1つです。
―これからCDPの導入を考えている企業に対してメッセージはありますか
小澤氏:これまではお客様側でのデータ活用は難度が高く、高額な費用がかかることも多かったのですが、今は BigQuery のような低価格で手軽に始められる製品もあり、データの活用がしやすい環境が整ってきていると思います。セプテーニさんのようなマーケティングを理解し伴走してくれるパートナー様もいるので、まずは一部のデータ活用からでも取り組んでいただければと思います。
青木氏:昨今、ユーザーと企業の接点が多くなってきています。昔はテレビCMから店舗への誘導というのが代表的な施策の1つでしたが、今ではLINEやSNS、アプリのプッシュ通知など形態は様々です。今後は多くのタッチポイントから得られるファーストパーティデータをいかに活用していくかが、データマーケティングでの鍵になります。BigQuery やPrecogを活用していただくことでスモールスタートが可能になっていますので、データマーケティング周りに不安を抱いている企業様がいれば、当社にお問い合わせいただければ幸いです。
ai_sep@septeni.co.jp
【ホワイトペーパー】
【ウェビナーアーカイブ動画】
ABOUT 渡辺 龍
ExchangeWireJAPAN 編集担当
立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。