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Twitter、ブランドセーフティに関するセッションを開催

Twitterは2021年11月16日、日本を含むアジア太平洋地域のメディアを対象にTwitterのブランドセーフティに関するセッションを開催した。

 

人々の会話とブランドに安全をもたらすために

冒頭、Twitterのケイトリン・ラッシュ氏(Head of Global Brand Safety Strategy)は、Twitterの基本理念を述べた。Twitterの目的は、人々の会話に奉仕することである。同時に、人々やブランドが広告に触れる、あるいは出稿するにあたり安全な環境を促進するために、Twitter上で起きていることを観察し対処することが必要となる。Twitterを健全な空間に保つことで、「広告費を使い、悪意に満ちた表現や誤った情報などを支援している」といった風評被害からブランドを守ることができるという。

そして、これらを可能にするための最新事例をポリシー、プロダクト、パートナーシップの3つの観点から紹介した。

 

安全を導くポリシー、利用者を保護するプロダクト、業界の変化を促すパートナーシップ

 

ポリシー

・透明性センター(Transparency Center)の導入

Twitterは、これまでにも透明性に関するレポートとして、「国家による情報操作を排除するための取り組み」などを公開していた。それらはシンプルなPDF文書で提供されていたが、2020年8月にはより包括的な透明性データを利用者へ提供するために、WEBページとして「透明性センター」を導入した。

 

・COVID19ワクチンに関する誤情報

COVID 19のパンデミックを受け、2021年3月にはワクチンに関して、誤解を招く情報を含むツイートに対処する機能を追加している。これにより、対象となるツイートには「誤解を招くツイートです」といったラベル付けがなされる。また、有害な情報を削除するための継続的な取り組みも行っており、2021年7月時点で、1,170万アカウントに異議申し立て、43,010のコンテンツに削除がなされている。

 

・未成年者へ有害な広告の禁止

2021年8月には未成年者に対する広告ポリシーを更新した。特定の種類の広告が、未成年者の心身に影響することを懸念しているという。現在は、健康サプリや減量を促すコンテンツ等、特に未成年者を対象としたこの種の広告を禁止している。

 

プロダクト

・悪意に満ちたツイートの抑制

Twitter上での会話は、時に激しくなることがある。そこで英語設定のTwitterでは、攻撃的な言葉を検出した際、ツイート前に再考を促す機能が導入された。これにより、34%の利用者が返信を修正、または削除したという結果が出ている。

 

・バードウォッチ(テスト)

2021年1月には「バードウォッチ」という機能も発表している。これは、誤解を招く可能性があると思われるツイートに対して、他者がそのツイートに注釈を加えることができるものになる。

 

パートナーシップ

ブランドセーフティを高めるため、業界全体での取り組みの必要性を訴えているTwitterが昨年パートナーシップを結んだのがDouble VerifyとIntegral Ad Scienceである。広告の表示に関するソリューションとなり、広告主は、Twitter上の広告に隣接して表示されるコンテンツの種類をより深く理解できるようになるという。

 

様々な取り組みを紹介したケイトリン氏は、「健全な会話とブランドセーフティは、終わりのない課題である。私たちは、ポリシーでリードし、プロダクトで守り、パートナーシップで業界全体の変化を促しながら行動し続けることを約束する」と述べた。

 

近年、ブランドセーフティが注目される理由

セッション中盤では、GroupMのジョン・ミスケリー氏(APAC Investment Director)を招き、ブランドセーフティに関する座談会が行われた。

 

「ブランドセーフティがこれほど注目され、重要になっているのはなぜか」という議題の中で、ジョン氏は以下のように述べた。

「デジタル広告の黎明期と異なり、現在の広告主はただクリック数だけを求めればいいというわけではない。今や、社会的に責任のある、道義的な広告主かという尺度で判断されるようになってきている。そこで広告主やクライアントは、自分たちが責任あるメディアに投資しているのかということを明確にしたいという意識が強くなっている」。

また、「それに伴い、エージェンシーにも変化が表れている」とし、「クライアントからの予算を預かった際には、クリック数やパフォーマンス指標のみならず、プレースメントの質に関する指標も取り入れなくてはならない。環境、社会、コーポレート・ガバナンスの観点から、プラットフォームやパブリッシャーが、正しいことをしているかの証明が求められている。」と語った。

 

なぜいまブランドセーフティなのか

終盤では各メディアからの質疑応答が行われた。オーストラリアのメディアからは「なぜTwitterはこのタイミングでブランドセーフティの話題を提供するのか」という質問が飛び、これにケイトリン氏は、座談会の内容に重ねる形で答えた。

 

「インターネットが登場する以前から、ブランドや広告主は自分たちの広告が掲載される環境を意識してはいただろうという。しかし、新しいプラットフォームやデジタル領域のメディアが台頭する中で、今までにないリスクも生まれてきている。今や広告主は、自分の広告の隣に表示されているコンテンツを気にするだけでは足りなくなっている。

これからは、自分たちの広告費は何をサポートしているのか、自分たちが広告を出すメディアやプラットフォームは何を語っているのかを考える時期が来ているという。業界ではこのような意識の変化が見られ、メディアへの投資決定の要因となっている」。

 

そして、「私たちは、広告主の良きパートナーとして、広告主のフィードバックに耳を傾け、人々やブランドにとってより安全でより良いプラットフォームとなるために、ブランドセーフティに関する活動を共有している」と結んだ。

ABOUT 渡辺 龍

渡辺 龍

ExchangeWireJAPAN 編集担当

立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。