コンテクスチュアル広告市場を牽引する存在に―GumGumがポストCookie動向調査結果を発表
コンテクスチュアル広告を提供するGumGum Japan株式会社は7月28日、日本の広告業界従事者や生活者を対象とした、ポストCookie対応の取り組みに関する調査発表会を開催した。
Cookieレス対応としてのコンテクスチュアル広告
2007年に米国のカリフォルニア州で設立された同社は、テキスト、画像、音声、動画といったウェブページ内の各要素を総合的に解析する「コンテクスチュアル解析技術」を開発。Cookieを活用したリターゲティング広告に代表される従来のターゲティング技術が、過去の閲覧履歴から興味・関心を推測していたのとは対照的に、ユーザーがリアルタイムで接する情報に基づくターゲティング技術を有している。
GumGum Japanの若栗直和代表は、大手広告プラットフォームがサードパーティーCookieの廃止に向けた取り組みを進める中で、コンテクスチュアル解析技術の有用性が今後より高まるとの見通しを発表。ファーストパーティーデータの活用、プライバシーサンドボックス、共通IDソリューションと並ぶCookieレス対応技術の主軸となるだけでなく、コンテクスチュアル広告は2027年までに世界のデジタル広告市場の半数近くを占めるとする調査結果についても言及した。
ただし、日本国内のコンテクスチュアル広告市場はいまだ発展途上の段階にある。そこで今後は同社が本分野を牽引し、国内の広告業界従事者に対して運用及び評価方法の提唱及び普及活動に従事していくと宣言。スワイプすることでアニメーション広告が拡大される「スワイプユニット」や、SNS 広告素材を活用しながらSNS外のサイトにコンテクスチュアル広告を配信する「ソーシャルユニット」といった新規の広告プロダクトの紹介も行った。
効率至上主義を乗り越える
続いて同社の営業責任者を務める松本亮氏が、ポストCookie対応に関する動向・意識調査結果を発表した。同社が広告主及び広告会社所属の200名を対象に実施した調査によると、コンテクスチュアル広告を使う目的として、Cookieレス対応に加えて、「ブランド認知への貢献」や「良質なユーザー体験の創出」が多く挙がった。
一方で、生活者を対象とした意識調査では、デジタル広告全般に対して「邪魔である」「しつこい」「不快である」といった意見が目立つ。このような状況下では、リアルタイムでユーザーが閲覧するコンテンツに関連した広告を配信する精度の高いコンテクスチュアル広告の機能がより高く評価されると分析した上で、「デジタル広告が抱える効率至上主義の課題」を乗り越える手段の一つとしての期待を述べた。
資料: GumGum Japan
また質疑応答の場面では、日本語環境における同社技術の精度についての説明が行われた。画像や動画情報などについてはグローバル規模で収集するデータを活用し、テキストに関しても米国本社に日本語専門部署を立ち上げて機械学習を進めていると報告。日本国内では既に精緻なターゲティングに基づく実績が多数あると伝えた。
さらに現段階の日本市場においては、コンテクス広告に活用できるデータを保持する事業者が希少であるとの見解を提示。Cookieや端末データを豊富に持つ国内の広告プラットフォームとは競合しないとの考えを述べた。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。