“広告主ドコモ”で感じた課題解決策を広告商品に[インタビュー]
広告業界において、NTTドコモといえば、日本で一二の規模を争う広告主最大手と、媒体社大手。この二つの顔を持つ。
今年4月に同社がリリースした「ドコモ広告 セールスプロモーションPKG(パッケージ)」という広告商品は、この商品の担当者がかつて広告主の立場にいた頃、課題に感じていたことの解決策となり得るようなものであるという。
いったいどのような商品であるのだろうか。その特徴や、開発の背景について、同社広告ビジネス担当加藤 翔氏にお話を伺った。
(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)
-この広告商品の概要についてお聞かせください。
ドコモ広告セールスプロモーションPKG(パッケージ)は、8,000万人を超えるdポイントクラブ会員様の実購買データを活用して、ドコモ広告やFacebook、Twitterなどへの広告出稿と、出稿したターゲットの実購買の効果検証ができるサービスです。
従来のデモグラ情報や位置情報などを活用した広告配信に加えて、「dポイント」および「d払い®」加盟店が保有する購買データを活用した配信やドコモデータを活用して購入しやすいユーザーを類推拡張した広告配信も可能となります。
また、広告配信から来店、購入までをドコモのIDで分析ができるため、広告効果の可視化による効率的なマーケティングが実現可能となります。
-商品提供開始の背景についてお聞かせください
「広告が本当に購買に結びついているのか?」、「どういったユーザーが購入をしてくれているのか、キャンペーンで反応をしてくれたのか?」、「今回の結果を踏まえて次回のキャンペーン設計はどうしたらいいのか?」といった広告主がもつ従来からの課題を解決したいという想いが商品開発のスタートでした。
私自身、ドコモでお客様向けサービスのプロモーションに携わる機会があり、広告のインプレッションやクリック数、新規会員の増加数などを見ることはできるものの、実際にどんなユーザーが獲得できているのか、実際の購入までつながっているのか、次回キャンペーン設計はどうしたらいいのかと苦慮した広告主としての経験も思いに至った要因の1つです。
このような想いからドコモのIDを基に、広告から来店、購買までID単位で効果を可視化する本商品の提供に至りました。
-配信先の特徴についてお聞かせください
1つ目はドコモが運営するポータルサイト「dメニュー®」をはじめ、ニュースアプリ、メールアプリなどブランドセーフティな面に加えて、新たにdポイントクラブというdポイントとの親和性が高い面での配信が可能です。
2つ目は店舗への送客の最後の一押しを支援するためにLIVE BOARD社のDOOH(デジタル屋外広告)やユーザーのリアルタイムな位置情報データを活用して「いま、その場にいる方に」情報をお届けすることができるメール型広告媒体の「メッセージS®」があり、オンオフ統合でのアプローチが可能となります。
3つ目はFacebook、Twitterなどドコモメディア以外へドコモデータを活用した配信が可能となっています。
-想定する顧客ターゲット層についてお聞かせ下さい
メインはコンビニやドラッグストア、スーパーで商品を展開されているメーカー様です。
「自社商品を購買されているお客様像が分からない」、「施策が単発で終わってしまい次回施策につながる示唆が得られない」など自社で会員の属性データや購入者データを持っておらず日頃のマーケティングに課題感を持っているメーカー様を想定しております。
-広告会社が広告主に提案する上での押さえておくべきポイントをお聞かせください。
これまでご紹介したユーザーボリューム数や配信面、広告から購買まで分析できるという点に加えてさらに3つのポイントがあります。
1つ目は広告主様が加盟店を介さずに消費者に対して直接dポイントを進呈するインセンティブ施策を実施することが可能になり、ターゲットやタイミングを任意に設定して効率的な販促支援が可能です。
2つ目はドコモのIDはサードパーティcookie規制やITP規制を受けないIDであるため、今後も継続してPDCAサイクルを回して、マーケティングの効率化をご支援することが可能です。
3つ目はドコモのデータはしっかりとユーザー様から許諾を頂いたゼロパーティーデータであるため、広告主様や広告会社様にも安心してご利用いただけるデータとなっています。
-今後、どのように商品を展開させていかれる予定でしょうか?展望をお聞かせください。
オンラインからオフラインまでトータルでご支援をさせて頂くために、配信先メディアの拡大はもちろんのこと店頭での最後の一押しのために店頭の棚やサイネージまで連動した商品の検討をしています。
これによりお客様の購買活動にあわせて、最適なタイミングで最適なご提案をさせて頂き、お客様にとっても広告主様にとっても、加盟店様にとっても喜ばれる商品にしていきたいと思っております。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。