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LINEマーケットプレイスが進めるLINE公式アカウントのバリューアップと民主化[インタビュー]

LINEは昨年10月にLINE公式アカウントを活用してマーケティング活動を行う広告主向けに、LINE APIと接続できるアプリケーションをオンラインで提供するLINEマーケットプレイスを開始した。

この取り組みの背景や狙いについて、同社マーケティングソリューションカンパニー 広告・法人事業本部 プラットフォーム事業開発室 室長 高木 祥吾氏にお話を伺った。

 

※LINEマーケットプレイスはこちら

 

聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之

 

 

-貴社広告ビジネス全体の現状をお聞かせください。どのようなところに注力されていますか?

現在LINEの広告ビジネスにおいては、大きく3つの柱があります。一つは現在成長エンジンになっている運用型広告のLINE広告。そして二つ目はLINEならではのものとしてLINE公式アカウントがあります。三つ目は、販促領域における広告商品です。この領域では店舗施策と絡めた様々なキャンペーンを実施できるソリューションの提供をしています。

そしてこれらの三つの領域の中で、それぞれのプロダクトをつなげて掛け合わせることで相乗効果を出そうとしているのがここ数年の取り組みです。

例えばLINE広告を使ってLINE公式アカウントの友だち数を増やすことが出来るというような、プロダクト同士の融合を開発の注力領域に据えています。

今後は、広告主がLINEのプラットフォーム上でマーケティングにおける認知から理解を促進でき、さらにはそのまま予約や購買などのコンバージョンまでを完結することが出来るような世界観を作っていくのが大きな方向性です。

 

LINE公式アカウントのコアバリューとLINEマーケットプレイスの役割

-LINE公式アカウントについて、詳しくお聞かせください。貴社広告ビジネスにおいてどのような位置づけにありますか?

LINE公式アカウントはマーケティングファネルで言うと比較的深い部分を担っているところに価値があると私たちは認識しております。LINE広告等でユーザーに広告主のサービスを幅広く認知させて、LINE公式アカウントで友だち登録をしてもらい、その後ユーザーとLINE公式アカウント上で広告主はコミュニケーションを取ることができます。LINE公式アカウントのコアバリューは、企業とユーザーとがOne to Oneでつながり、LINE公式アカウント上でやりとりをしながら、企業のサービスを届けることが出来るという点です。

LINE公式アカウントのビジネスモデルは、数年前に大きく変わりました。それまでは大手広告主向けのプランとLINE@という店舗向けプランとに分かれていましたが、それらを統合し、料金プランも3つにシンプル化させました。

この時のプラットフォームのリデザインが基盤となり、LINE公式アカウントと、広告、販促の領域との掛け合わせにより新しい媒体価値を出しやすくなりました。

現在、LINE公式アカウントのアクティブアカウント数は27万アカウント(2021年3月時点)です。コロナ禍で飲食店様などのお申込も増え高い水準で伸び続けています。

※アクティブアカウント:認証済みアカウントのうち、月に1度以上機能を利用しているアカウント数

 

-LINEマーケットプレイスについてお聞かせください。概要からサービスの開始の経緯も含めてお聞かせください。

 LINEマーケットプレイスは、2020年10月にローンチした、LINE公式アカウントとAPI連携が可能なアプリケーションを、LINE上でマーケティング活動を行う主に中小企業の広告主に対して提供するプラットフォームです。

広告主は、LINE上でより便利にマーケティング活動をするためのアプリをLINEマーケットプレイス上で購入し、独自開発不要でオンラインからこれを活用することが出来ます。

これまで広告主は、LINE公式アカウントを当社が管理画面上で提供していた以上の機能を求める場合、API接続をして機能を自社開発するか、関連するツールやソリューションを提供している企業に導入の依頼をするなどの対応を取る必要がありました。大企業であれば予算を獲得してMAツール等と接続して活用することが出来ていましたが、予算が限られる中小企業の広告主の場合、なかなかそこまでの対応をすることが難しい状況でした。

また、これまで外部のツールを活用する場合、広告主は要件定義を行って見積もりを取り、契約書を交わしてAPI接続を行うなど、意思決定から利用開始まで一定のリードタイムを要していました。

このような手間を省くとともに、これまで届いていなかった主に中小企業の広告主に対して、より便利にLINE公式アカウントを使ったマーケティング活動をしていただきたいという想いが、LINEマーケットプレイス開発の背景です。

シンプルで簡易な機能を低コストで求めているような、中小規模の広告主をターゲットとしています。

 

 

-LINEを活用するマーケター向けに、既にどのくらいのアプリケーションが提供されているのでしょうか?

現在掲載アプリ数は19アプリ(2021年5月時点)です。アプリを提供する企業は、スタートアップ企業や、元々中小企業の広告主をターゲットに比較的低価格でマーケティングソリューションを提供していた企業などが多いです。広告主がLINE公式アカウント上で利用する用途に応じていくつかカテゴリーを設けており、「イベントで利用する」、「注文を受付する」、「予約を受付する」というようにアプリが並んでいます。

 

LINEマーケットプレイスが目指すこと果たす役割

-LINEマーケットプレイスは貴社のビジネスにどのように寄与していくのでしょうか?

LINE公式アカウント自体はLINEの広告ビジネスにおける強みとして位置付けられます。

LINEマーケットプレイスの開設で、広告主にとってのLINE公式アカウントの可能性を広げるためのツールを提供し、LINE公式アカウントの利用用途が増えれば、広告主のLINE公式アカウントのビジネス活用がますます高まります。これにより広告主による広告も含めたLINEプラットフォームの活用機会が高まることを期待しております。

あくまでメインの目的はLINE公式アカウントの活性化への寄与ですが、プラットフォームのエコシステムとして、パートナー様にLINEマーケットプレイスにツールを掲載していただくだけではなく、私たちとしてはLINEマーケットプレイス自体での収益も得ています。パートナー様のアプリ販売額に応じたレベニューシェアや、掲載費用をいただくというようなビジネスモデルによるものです。

 

-ビジネス面で既にインパクトはありますか?

収益の面ではまだ限定的です。私たちが今重視しているのは、LINEマーケットプレイスに出品していただいているパートナー様のアプリがしっかりと使われるような世界観になるということです。

ですので、LINEマーケットプレイスのアプリを活用しているLINE公式アカウントの数を増やすことはもちろんですが、まずはLINEマーケットプレイス自体の認知を高めていきたいと考えています。

 

-貴社のLINEマーケットプレイスの取り組みは、広告会社になんらかの影響をしてくるのでしょうか?

LINEマーケットプレイスでは、LINE公式アカウントの運用サポートパックというものを提供しています。

LINE公式アカウントは、開設後の運用がとても大切です。そのためのパッケージを広告会社様に準備していただき、これをLINEマーケットプレイス上に出品していただいています。

飲食店の店舗や美容室が、「LINE公式アカウントを使い始めたが、何からやればいいのかわからない。」というような課題を持つときに、LINEマーケットプレイスを通して広告会社のサポートを受けることが出来るようになっています。

このような広告代理店のサポートパックがLINEマーケットプレイス上で提供開始されたのは2021年1月です。参画していただいているのは現在、比較的大手企業向けにサービスを展開されている代理店に限定されていますが、今後より広くご参画いただきたいと思っています。

中小企業の広告主のマーケットでは、自社でツールを持っていて、自社のツールでLINE公式アカウントの運用支援を行っている広告会社が数多くいらっしゃいます。今後はそのような広告会社が増えてくるでしょう。

 

-貴社としてどのような方にLINEマーケットプレイスをプロモーションされていかれたいのでしょうか?

LINE公式アカウントを既に使っていただいている広告主や、これから使おうとしている広告主の方にLINEマーケットプレイスを認知していただき、使い方をご理解いただけるように努めています。

またLINEマーケットプレイスとしては、掲載するアプリのバリエーションを増やしていきたいです。そのために新たにアプリを提供していただける企業への認知も広めたいと考えています。

既にお使いいただいている広告主様も多数いらっしゃり、業種も飲食店や美容室、教室などと幅広くなっております。

 

-LINEマーケットプレイス上でどのようなアプリの人気があるでしょうか?

業種を問わず汎用性のある予約アプリが今一番人気であると感じております。あとはモバイルオーダーです。

アプリの利用料は、最も安いもので現在月額3000円からとしています。

  

-今回のお取組みについて、最後に何かメッセージがありましたらお聞かせください。

私が個人的に思っているのは、これらの取り組みはLINEというプラットフォーム自体のDXであるということです。これまで広告主がLINEでより高度なマーケティングや追加のサービス機能提供を行うにあたって必要だったコストの削減とプロセスの簡略化を実現し、かつ民主化したというようなプラットフォームであるともいえます。

LINEマーケットプレイスのコンセプトは「LINE公式アカウントをもっと便利にもっと手軽に」というものを掲げております。

今まで手が届かなかった広告主の方にもアプリを使っていただけるような環境をご用意することが出来ましたが、これを今後も伸ばしていきたいと思っています。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。