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2021年のアドテクとマーテックに関する6つの予測と傾向

著:オラクル・コーポレーション Oracle Advertising and Oracle Marketing、 SVP and Chief Revenue Officer(最高収益責任者) モリー・スピルマン

 

Verizon Mediaの調査によると、デジタル広告を利用する広告主の57%が、2021年上半期の広告支出を増加する予定であることが明らかになりました。米国では、大半のストリーミングTV番組が配信されるコネクテッドTVに対する今年の広告投資は約80億ドルであり、この額は2023年までに150億6千万ドルに達することが見込まれています。

そこで本ブログ記事では、マーケターがデジタル広告投資から最大限の価値を引き出し、新たな機会を獲得できるように、今年のアドテク業界の動向の見通しと、その理由をご紹介します。ぜひ最後までお読みください。

 

1.広告主にとってはアドベリフィケーションが引き続き最優先課題となるが、アテンション・メトリクスの採用がマーケティング・キャンペーンの高度化を牽引する

広告主とパブリッシャー間における透明性や信頼の欠如は、キャンペーンの成功に大きく影響します。そのため、アテンションのスパンがますます短くなり、選択肢が増え続ける一方の消費者と効果的にエンゲージするには、キャンペーンの効果を測定するパートナーとの連携が重要になります。ブランディング・キャンペーンにおいてはアテンションが重要なカギとなりますが、アテンションを正しく測定/判定できなければ信頼性や運用上の障害となり、収益化の機会を逃すことにもなりかねません。Moat by Oracleのテクノロジーは、購買担当者とブランドを統合し、両者のコラボレーションと測定に対する積極的な投資に基づくアプローチにより、シームレスなストーリーラインを生み出します。

「ブランディング・キャンペーンの成功は、目的とするオーディエンスのアテンションを獲得できたかどうかで判断すべきです。Moat by Oracleは、アテンションを単なるクリックや表示の域を超えたものとして捉え、エンゲージメントやインタラクションのほか、可視性、時間の長さ、環境も判断の基準としています」– 参照:「アドベリフィケーション」を超えた広告効果検証―キャンペーンを成功させるために、どんな指標を見るべきか

 

 

2.コネクテッドTV (CTV) の継続的な成長がインベントリ (配信在庫) の不正対策を促す

Innovid社が発表した米国における2020年秋のビデオ・ベンチマーク・レポートによれば、コネクテッドTV (CTV) は広告インプレッションに大きなうねりをもたらしており、第3四半期は2019年比で55%の成長を記録。2020年のシェアは41%で、23%増となりました。また、モバイル動画が前年比27%増となり、これを牽引する形となりました。

Innovid社の測定・分析担当ゼネラル・マネージャーのJessica Hogue氏は、次のように説明します。「新型コロナウイルス感染症のパンデミックをきかっけに、消費者の間でケーブルTVの契約を解約する動きが拡がり、多くの広告主もこれに追随しました。こうして動画全体のインプレッションが14%も減少し、マーケターが予算の削減やクリエイティブの変更に奮闘していた4月でさえも、CTVの広告インプレッションは前年比で22%増加しています。この成長はその後も続き、9月には前年比58%増を記録しました」

こうした状況において、広告主はストリーミングTV向けの広告配信テクノロジーや、すでに知られているサプライ・チェーンの欠陥を狙った広告詐欺に注意が必要です。デバイスやアプリに実際に表示されない広告に出資してしまうことになるからです。最近、ストリーミング配信を装った詐欺による深刻な被害が発生しています。StreamScamにて詳細をご確認ください。

CTVは力強い成長を示しており、アドテク業界は測定やID、インタラクティブ・フォーマット、プログラマティック・バイイングに投資することで、さまざまな恩恵を得ることができるでしょう。

 

 

3.クロス・プラットフォームやオムニチャネルでの広告キャンペーンが新たなスタンダードとなり、消費者のアテンションが分散する

2021年上半期の広告支出の計画について、152社のデジタル広告主を対象に調査したVerizon Mediaのアンケートによると、彼らの半数以上がキャンペーン支出を増加する可能性が高いと考えていることが明らかになりました。日々の生活の多くをオンライン上で過ごす人の割合が増加していますが、この傾向は今後も高まっていくことが予想されます。当然ながら、広告主もこの動きに後れを取らないように、CTV/OTT (オーバー・ザ・トップ) への投資を増やすことで、マーケティング手法のバリエーションを広げる機会を利用しています。

 

 

4.新たなIDテクノロジーによるソリューションがユニバーサル識別子の座を奪う

ユニバーサル識別子を失うことがわかっている以上、マーケターはスケーラブルで透明性に優れた新たなソリューションを見つけなくてはなりません。また、このソリューションは顧客を中心に据え、プライバシーに配慮したエコシステムで運用できる必要もあります。

データ戦略の策定においては、機械学習が極めて重要な役割を果たす新たな手法が登場するでしょう。ここではオーディエンス、コンテキスト、測定に重点を置き、データ使用のパターンの把握や最小限のデータソースの特定によって、洗練されたアプローチが実現するはずです。さらに、新たな産業向けの標準IDシステムや、登録ベースの統合が今後も拡大し続けることが予想されます。

 

 

5.コンテクスチュアル・ターゲティング・ソリューションの再興

ウェブページの内容を明らかにするのは、コンテキストであることを忘れてはなりません。キーワード・ブロックやURLブロックリストは、極めて基本的な言語解釈を用いてコンテンツのセーフティ対応、つまりターゲティングの適合性 (スータビリティ) を判定しています。しかし、私たちが期待しているのは、より大きなスケールでコンテンツの内容を明らかにし、それと同時にオーディエンスの喪失や規模の収縮を最小限に抑え、広告主を確実に保護できるソリューションです。

コンテクスチュアル・インテリジェンスを活用すれば、特定のコンテンツに人々がインタラクションする方法や、オンライン上でトレンドになっているトピック、そして最終的にそのトレンドがどのように広告キャンペーンに役立つのかなど、奥深いインサイトが得られます。

オラクルのデジタルマーケターズガイド: コンテクスチュアル・インサイトとトレンドの活用では、以下のヒントをご紹介しています。

  • キャンペーンを開始する最適なタイミングや、特定のトピックに対する消費者の興味・関心が最も高まるタイミングを見極める。
  • キャンペーン・マネージャーが特定の曜日に合わせて入札戦略を調整しやすくする。
  • 年間を通じて、あるイベントや市場のどのような要因がオンラインのエンゲージメントに影響をもたらすかについての傾向を把握し、消費者のマインドセットに合わせてインサイトを最適化する。
  • あるイベントの開催期間中または12カ月間を通じて、コンテンツのトレンドを追いかけ、オンラインコンテンツの変動や予測不能性の測定に利用する。
  • 特定のページに対するさまざまな観点からの解釈を把握し、類似したオーディエンスやコンテキストを対象に新たなターゲティング機会を見いだす。

 

 

6.アドテクとマーテックのさらなる戦略的な統合を見据える

Oracle Advertising and Customer Experience エグゼクティブ・バイスプレジデントであるロブ・ターコフ(Rob Tarkoff)によると、ブランドと消費者が互いにつながる傾向はすでに始まっており、ターゲットとなる多くの消費者にデータに基づいてパーソナライズされた、ハイパーコンテクスチュアルな体験が提供されるようになっています。ユニバーサル識別子の次に来るものや、ファースト・パーティ・リソースへの移行を踏まえると、イノベーションを実現するカギはマーテックとアドテクの乖離を防ぐことにあると言えます。

「今こそ、アドテクとマーテックの販売・サービスワークフローの自動化を推し進め、フロントオフィスにバックオフィスと同様の機能を備える必要があります」—Oracle Advertising and Customer Experience エグゼクティブ・バイスプレジデントであるロブ・ターコフ(Rob Tarkoff)、AdExchanger Talksポッドキャスト

 

2021年を迎えるにあたって

今年は消費者のトレンドに加え、広告活動やその推進力となっている重要なテクノロジーへの理解を深める絶好の機会です。また、多様化する消費者のデバイスとアテンションへの柔軟な対応や、ユニバーサル識別子の次の段階に対応できるツールへの需要が高まりつつあることを認識しておかなければなりません。そして忘れてはならないのが、広告主が投資する先には詐欺に注意する必要があるということです。最新の測定手法を用いたベストプラクティスを採用することで、投資を保護しながらも優れた消費者体験を提供できるようになるはずです。

ABOUT モリー・ スピルマン

モリー・ スピルマン

Oracle Advertising and Oracle Marketing

SVP and Chief Revenue Officer

Oracle Advertising and Oracle MarketingのSVP and Chief Revenue Officer。Millennial Media、Yahoo、Advertising.com、Discovery、Time Warnerなど多くの企業で活躍し、2014年よりCriteo社でChief Operating Officerとして全世界のコマーシャル部門の営業、パブリッシャー・デベロップメント、オペレーション、マーケティング、ビジネス推進を統括。20億ドル以上のビジネス貢献、90%の顧客の定着率といった功績を残す。スピルマンはInteractive Advertising BureauによるService Excellence Award、Silver Stevie Award for “Best Female Executive”、 Advertising Week New Yorkにおける “Working Mother of the Year” など様々なアワードを受賞しており、Business Insider社による調査では、モバイル広告業界における最も影響力のある5人の女性に選出されている。2019年7月Oracle入社。