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2021年予測:広告費とブランド広告

ブランドは、業界が経験している劇的なインフラの変化の中心ではないかもしれないが、けっして変化を免れているわけではない。消費者がかつてないほどプライバシーに対する権利を意識するようになり、消費者の信頼を維持したい企業にとって、ブランドセーフティとブランド適合性に注意をはらうことが極めて重要になっている。この状況と、前代未聞の危機と社会的混乱の時代における感受性が必要なことを考え合わせれば、2020年はブランドにとって少なくとも長い綱渡りの1年だったことは明らかだ。

それでも、多くの企業はこの2020年の難局に適応した。それに不可欠なのは、最大のリターンを得るためにはどこに直接支出すべきかを把握することだった。2021年予測シリーズの最新記事として、2021年のブランド広告と広告費の見通しについて、業界関係者に話を聞いた。

 

絶好の機会だが、機会をつかむ意欲が必要

パンデミック後に成長を取り戻したいブランドは2021年、インパクトが大きいプログラマティック広告について、もっと大胆になることが必要となるでしょう。

eコマース売上の急増によってデジタル広告費の増加が続くため、2021年の広告費は増えると予測されます。英国のプログラマティックディスプレイ広告への支出総額は2021年まで増え続け、60億ポンド(約8,850億円)に達するだろうという予測がすでに出されています。加えて、ポッドキャスト広告、プログラマティックオーディオ広告、プログラマティックTV広告はいずれも2021年に売り上げを伸ばす見込みで、プログラマティック広告はポッドキャスト広告全体を上回るスピードで成長すると見られています。

コロナ禍が収まった後の成長を後押しするために、これまでと違う広告チャネルを探しているブランドには、絶好の機会です。

Adnami CEO、Simon Kvist Gaulshøj氏

 

成功には消費者との対話と新たなチャネルの探究が欠かせない

このパンデミックのなか、我々は業界として、消費者との対話やビジネス支援のあり方を進化させなければなりませんでした。2020年を教訓として、2021年は新しいつながりの手段を試す1年になるでしょう。プライバシーに配慮したパーソナライズのツールを開発し、新たなオーディエンスにリーチすることを通じて、成功が見えてくることでしょう。まもなくCookieが利用できなくなることから、広告ターゲティングに潜在する将来の障壁を乗り越えるため、広告主はいま行動しなければなりません。

また、動画コンテンツなど、消費者のトレンドに沿った新しいフォーマットを検討することも重要です。たとえば、イーマーケターの調査によると、英国ではコネクテッドTVのユーザー数が11%増加する見通しです。大きな数字には聞こえないかもしれませんが、ユーザー数が4,090万人になる計算であり、人口の60.9%にあたります。これは企業がリーチできていないオーディエンスも多く含まれるということです。このことが安定した成長を支え、2024年までにユーザー数は4,440万人に到達し、英国の人口の3分の2をカバーすると予測されています。

クリテオ(Criteo) 英国担当カントリーマネージャー、マルコ・ファーイ(Marc Ó Fathaigh)氏

 

ショッパブル動画がマーケットリーダーになる

昨今のeコマースブームと現在の「スクロールしながら買い物する」文化のおかげで、2021年はショッパブル動画(ショッピング機能がついた動画)がデジタル広告業界で重要な地位を占めるでしょう。ゆくゆくは、インフルエンサーマーケティングなどの分野で利用が拡大し、より魅力的な消費者体験を提供しながらコンテンツをマネタイズするよりシームレスな方法をブランドにもたらすでしょう。また、ブランドは新たな収益源を探しており、ライブストリームイベントにはショッパブルな要素がますます組み込まれていくでしょう。

しかし、この急速に進化するフォーマットに対応していくためには、基本的なインタラクティブ機能を超えるもの、例えば視聴中に直接カートに入れる機能や視聴行動をリアルタイムに分析する機能を提供する必要があります。ショッパブル動画には今やこの2つが欠かせません。別のサイトにリダイレクトすることなく、関心から購入に直結するルートと、今この瞬間にコンテンツを視聴しているオーディエンスに関するインサイトを、ブランドと消費者に提供できるプレイヤーが、2021年に成功を収めることになるでしょう。

ワンダッシュ(OneDash)創業者でCEO、ライアン・ペレラ(Rayhan Perera)氏

 

インフルエンサーマーケティングの隆盛で、管理側の適応が必要になる

AI(人工知能)と機械学習によって、広告主のあいだにインフルエンサーマーケティングキャンペーンに関するデータ主導型の意思決定が広がっており、2021年はファーストパーティデータの普及が進むとみられます。2021年は、インフルエンサーとのあいだでパフォーマンスベースの契約が増加し、販売数やクリックの数のみに基づく契約が増えるでしょう。

パフォーマンスに基づくインフルエンサーマーケティングの考え方は比較的新しいもので、ブランドにはパートナーシップのコントロール強化をもたらします。ブランドは、単一プラットフォームですべてのインフルエンサーを管理することでキャンペーン活動の一貫性を高められるということを理解しており、2021年はパートナーシッププログラムの実施がより重要になるでしょう。もしかすると、最も重要な2021年のトレンドとして、人気上昇が止まらないTikTok(ティックトック)が主要ソーシャルメディアパブリッシャーのひとつになるかもしれません。

TikTok Creator Marketplace(TCM)の開設によって、ブランドはTikTokの独占的なファーストパーティインサイトを活用し、提携に最もふさわしいインフルエンサーを選べるようになります。2021年、広告主はインフルエンサーマーケティングを強化し、効果的なパートナーシップ管理で成長を加速させるために、弊社インパクトをはじめとする各プラットフォームに目を向けるようになるでしょう。

インパクト EMEA(欧州/中東/アフリカ)地域担当マーケティングディレクター、オーウェン・ハンコック(Owen Hancock)氏

 

ブランドは支出を合理化するとともに、引き続き詐欺に警戒しなければならない

広告予算について言えば、ブランドはこれまで以上に結果を重視するようになるでしょう。広告主は実感できる成果を優先するため、贅沢な認知向上キャンペーンよりも広告費の合理化が優先されます。2020年という不確実性の高い年に多くのブランドが予算を絞りましたが、これが、大量のトラフィックとデジタル「ノイズ」は必ずしも収益の増加をもたらしてくれないとの認識につながりました。

 

実際に、アドフラウドとボットアクティビティの問題により、オンライントラフィックの価値は歪められています。調査によると、フェイクユーザーとボットはアドフラウドでよく使われる手口であり、EMEA(47%)、米国(68.7%)、中国(65.6%)では今でも最も多いことがわかっています。ブランドは今後、ブランドセーフティが保たれ、アドフラウドがなく、広告売上に最大の効果をもたらすデジタルキャンペーンを展開するべく、予算の使い方と広告パートナーの賢い選び方にいっそう気をつけるようになるでしょう。

MGID 最高マーケティング責任者(CMO)、ニコラス・レケダ(Nickolas Rekeda)氏

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社CARTA HOLDINGS

2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。