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Twitterが語る、コロナ禍の動画プロモーションで大切なこと[インタビュー]

コロナ禍で広告主の動画広告の活用はどのように変わったのか。

大きく変化した2020年の動画広告市場の動向や、Twitter広告の最新アップデートと合わせて、Twitter Japan株式会社 執行役員 広告事業本部長 松山 歩 氏にお話を伺った。

 

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

 

 

2020年の動画プロモーション需要の変化

-2020年1年を振り返って、動画広告の需要の動向をお聞かせください

新型コロナウイルス感染拡大により、ユーザーはこれまでよりも迅速な情報収集に対する欲求が高まったと分析しています。Twitterのような即時性の高いコンテンツの利用頻度は上がり、その結果ユーザー数も非常に伸び、7-9月期の日別のアクティブユーザー数(mDAU)は1億8700万人、前年対比で29%増。

滞在時間も伸びるなか、Twitter広告の価値もまた非常に高まったと感じています。

当社の広告ビジネスは、緊急事態宣言が出たときには影響が出たものの、回復は非常に早く、7-9月期は動画広告も前年比ベースを回復しました。

 

4-6月に広告出稿が減少または停止したのは、緊急事態宣言によりビジネスが停止してしまった映画館や飲食店、百貨店の関連商材、またオフィスが閉鎖されて売上に影響が出たコンビニ商材を提供する飲料メーカーなどです。逆に、広告出稿が伸びたのはゲームやVODなどのエンタメコンテンツ、家庭向け食材を提供する食品メーカーなどがあげられます。

この時期、自宅で料理をする人が増えたことから、料理に関するツイートがとても増えました。これにより調味料メーカーさんなどの広告出稿が大きく伸びたんですね。

 

振り返ってみると、やはり外で消費される商品やサービスを提供する広告主の出稿は減少しましたが、自宅で消費されるものを提供する広告主の出稿への影響はほとんどありませんでした。

 

当社の事業を通して広告主の出稿動向を見る限りにおいては、2020年年間を通して、動画広告市場全体が前年を下回ることはないのではないかとみています。

 

 

動画プロモーション、進む実施サイクルの短期化と目的の多様化

-コロナ禍で広告主の動きに印象的な変化はありましたか?

まず、コロナ禍でユーザーのツイートにおいて印象的な変化がみられました。ツイートにおいて「いつ」という言葉がとても増えたのです。これは例えば「いつになったら旅行に行けるのか」、「いつになったら飲み会をしていいのか」というようなものです。

このような、生活者の心の変化としてのユーザーの声を、広告主はいち早くキャッチして広告クリエイティブに対応するなど、PDCAを回すサイクルが速くなりました。これはコロナ禍における広告主の広告の使い方にみられた大きな変化です。

 

また、最近広告主の皆様がおっしゃるのが、広告コミュニケーションのタイムラインが短くなってきていることです。このコロナ禍では2カ月で世の中が変わってしまいます。生活者がどのような気持ちなのか、世の中がどのような空気なのかということにしっかりと合わせたキャンペーンを行っていく必要があります。だからこそ、Twitterでしっかりとユーザーの声を聴いて、世の中の空気を把握しながら、そこに合わせたクリエイティブやコピーを考えて、それをできるだけ短い期間で制作して短い期間で掲載をしていくことが求められます。

 

-Twitter広告の売り上げに占める動画広告の比率は今年も昨年と比べて上昇していますか?

はい、引き続き比率は高くなっています。アプリインストールの促進やトラフィックの流入、エンゲージメントの拡大などあらゆる目的において、クリエイティブの素材は動画が増えています。

動画素材は、キャンペーン認知を高めるという目的で使われることが多いです。ですがその活用の幅は広がっています。私たちがキャンペーン型と呼んでいる「フォロー&リツイートキャンペーン」での活用、またコンバージョンレートや会話量を増やすための「カルーセル広告」「カンバセーショナルカード」というプロダクトでの活用などです。ユーザーの反応率を上げていくために、動画素材の利用がさらに進んでいます。

 

-エージェンシー側の取り組みとして何か変化はありますか

エージェンシーさんとは様々な領域で取り組みが深まった1年です。今年は広告代理店のクリエイターの方々に対して、Twitterの使い方や、どうキャンペーン全体のクリエイティブとTwitterを組み合わせるべきかという観点でご提案をさせていただく機会が増えました。

Twitterでいかにユーザーや生活者を巻き込んでどう話題化するべきかという観点で、クリエイターの方とお話する機会が非常に増えたんです。

 

 

Twitter広告プロダクトの3つのアップデート

-Twitterの広告プロダクト周りのアップデートについてお聞かせください

今年のアップデートは、大きくは3つあります。

一つ目は、Twitterの新たなメインプロダクトとして、プロモトレンドスポットライトという、従来のプロモトレンドを増強させた、新しいプロダクトを提供開始したことです。具体的にはリーチ速度×インパクトを最大化させるソリューションです。従来のプロモトレンド枠の上の画像枠を、1日1社限定で使用できるというものです。フリークエンシーが1日1ユーザー当たり2回となります。新しい商品やキャンペーンの短期間での認知獲得に対して最強のプロダクトです。

当社としては、今後はプロモトレンドスポットライトを、当社の数ある広告プロダクトの中でも最も定番として位置付けたいと考えています。

もう一つ、幅広いリーチを獲得するプロダクトとして、ファーストビューがあります。両広告商品とも、2千万円規模の価格帯のものですが、お陰様でこのコロナ禍においてもほぼ滿稿状態が続いています。いずれの商品とも、広告素材はほぼ動画をお使いいただいています。

二つ目は、今年の後半から動画広告の課金形態を多様化したことです。これまで2秒50%(広告表示時間2秒、画面表示が全体の50%以上)に対して課金をしてきましたが、6秒50%課金を導入しました。目的に応じて課金タイプをうまく使い分けていただきたいと考えたのです。リーチの最大化を図るのであれば、2秒(50%)課金、視聴完了数の最大化を目指すのであれば6秒(50%)課金とするなど、それぞれをうまく使い分けていただきたいと考えています。

三つ目は、カルーセル広告をお使いいただけるようになったことです。広告ツイートに2~6つまで複数の画像や動画を設定していただくことが出来るようになりました。カルーセルの導入により、クリック率やインストール率が大きく上昇するという調査結果も出ています。カルーセル広告をお使いいただき、ブランドのストーリーをよりリッチに訴求したり、パフォーマンスの改善に活用していただいています。

 

 

大きく変わる市場、2021年を見据えて

-IDFAの利用規制についてどのように見ておられますか?

ユーザーのプライバシーを守っていくということは大変重要なことです。その前提でAppleさんが提唱する新しい方向性に私たちも準拠していくことになります。IDFAの制限に伴いSKAdNetworkの利用を促していくというのがAppleさんの方針であると認識していますが、当社としてもここへの対応をいち早く行っています。

今後はこれまでよりもデバイスごとへのターゲティングの精度に影響は出てくるかもしれませんが、当社としては可能な限り、広告主の皆様からTwitter広告のパフォーマンスの評価をしていただけるように務めてまいりたいと考えております。

 

-2021年の動画広告市場をどのように見ておられますか?

2020年は非常に大きな変化がありましたが、2021年は動画広告市場も当社もまた大きな成長軌道を描く1年になると思っております。

広告主の皆さまも、このような社会状況においてどのように対応すべきかということについてのノウハウや知見を蓄積されています。当社としては、どのようなときでもユーザーのためにコミュニケーションを継続すべきであるということをお伝えしつつ、その時々のユーザーの気持ちに寄り添ったコミュニケーションをご提案していきたいと考えています。

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。