コロナ禍で店舗はいかにマーケティングすべきか-LINEが中小企業・店舗向けセミナーを開催
LINE株式会社は、10月15日、中堅及び中小企業や店舗オーナー向けにマーケティング支援サービスを紹介する「LINE SMB DAY」と題したオンラインイベントを開催した。
店舗向けサービスを一気に拡充
同社執行役員 広告ビジネス事業担当の池端由基氏は、日本企業全体の90%以上を占めると言われる中小企業の多くが、コロナ禍による甚大な影響を受けたと指摘。同社では、有店舗事業者に対し、LINE公式アカウントを通じて、営業時間の変更やテイクアウトメニューの案内などを配信する仕組みを無償で提供したと報告した。
またLINE公式アカウントを通じてのオンライン予約を可能にする新規サービス「LINEで予約」を11月16日より提供開始。加えて様々なカテゴリごとにまとめられた店舗コレクションの中から、ユーザーが希望の店舗を検索できる「LINEプレイス」を2021年3月頃から開始予定と発表した。
その他にも、来店ユーザーに対してクーポン配布を可能にする「LINE POP Media」、キャンペーン告知プラットフォームとなる「LINEで応募」、自社開発なしでLINE APIと接続できるアプリケーションを提供する「LINEマーケットプレイス」などを用意。コロナ禍の影響で見直しを余儀なくされた従来の販促手法を代替または補足するマーケティング関連ソリューションを引き続き拡充していく方針を示した。
また広告事業本部 マーケットグロース事業部 事業部長の川代宣雄氏は、2019年11月よりLINE広告がオンライン申し込みに対応し、1万円からの出稿が可能になったと説明。さらにLINE公式アカウントから固定電話への転送機能や、支払い用URLを発行する支払いリンク機能などを紹介した。
店舗事業はどう変化したのか
株式会社ぐるなび 飲食店支援事業部 メディアサービス企画部 部長の小笠原和哉氏は、コロナ禍で最も大きな影響を受けた業種の一つとされる飲食店の現状を解説。これまでは大人数の予約を取ることに注力してきたが、宴会などの開催が難しくなった結果、テイクアウトやデリバリーなどを含めた販売チャンネルの多角化を迫られていると述べた。
資料: ぐるなび
また消費者は各店舗の感染症対策に対して高い関心を持っているため、飲食店はこれまで以上に消費者とのコミュニケーションを強化することが求められている。そこで同社では、提携する飲食店に対して、LINE公式アカウントの開設を推奨。同アカウント運用サポートを合わせて提供している。
ウエルシア薬局株式会社 商品本部 販促企画部長の清田明信氏は、今期からアナログ販促費をデジタル販促費が抜いたと報告。とりわけ手渡しを通じたチラシ配布作業においては各店舗に追加負担をかけるため、LINEチラシを合わせて活用しているという。ただ現時点では競合するチラシ配布アプリと比較して料金が割高であるとの印象も吐露。プッシュ通知などLINE独特の特徴を生かすことで、LINEチラシの有効性が今後一層高まるはずとの期待を述べた。
敬遠されるビラ配りの代替機能
ストレッチ専門店のDr.stretchを展開する株式会社フュービック クリエイティブディビジョン PR&MC戦略室の影山大輔氏は、外出自粛が続いたことで、「ストレッチ」という単語の検索数が増えたことに注目。一方で店舗前の通行量は減少しており、また最近ではビラ配りという行為自体が敬遠される傾向にあるため、新規店舗の認知獲得においては細かく配信エリアを区切った上でLINE広告を配信している。また現状ではオンライン施策は認知獲得、店舗で優良顧客の醸成という住み分けを行っていると伝えた。
資料: フュービック
産地直送ECサイトの食べチョクを運営する株式会社ビビッドガーデン マーケティング本部の松浦悠介氏は、自社アプリを有していないため、ユーザーのストックを目的としてLINE公式アカウントを活用している。一般的なメールマガジンの開封率が30%であるのに対して、LINEのプッシュ通知の開封率は9割。またターゲットの含有率が高いことを高く評価しているという。
高機能ランニングシューズなどを販売するオン・ジャパン株式会社 Digital事業部の角田侑実子氏は、日本独自のツールであるLINEの活用に際して、スイスにある本社からの理解を得ることに多少の苦労があったことを示唆。ただ実際に利用を開始すると、コンバージョン率が他の広告の2倍といった成果が出たという。
さらにLINE社 広告事業本部 マーケットグロース事業部 副事業部長の寺山健太郎氏は、国内における各地域の店舗事業におけるLINEの活用事例を紹介。月2~3万円の予算で友達数を500名から3700名へと劇的に増加させた熊本県のラーメン店や、「営業時間」「駐車場」といったキーワードに対応した自動応答メッセージを利用することで施術時間を確保した茨城県の個人エステなどの事例を共有した。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。