「自身をコモディティ商品としてはならない」―「MCA 道場 マスタークラス」オリエンテーションを開催
一般社団法人マーケターキャリア協会(MCA)は、9月5日、「MCA 道場 マスタークラス」のオリエンテーションをオンラインにて実施した。
和やかな雰囲気の中で
MCA理事で株式会社ニューバランスジャパン マーケティング部ディレクターの鈴木健氏が主宰する本クラスのオリエンテーションには、デジタル広告運用やデータ分析関連業務などに携わるマーケティング関係者が参加。これまでに就職、転職、起業など多様な経験を積んできた30~40代が多く集まった。
オリエンテーションの冒頭には、マスタークラス運営担当者を含む全員による約3分間の自己紹介を実施。各参加者は、各々の職歴や生い立ちまたは家族構成や趣味といった個人的な情報までを含めてパワーポイント資料を用いて発表した。これまでに取り組んできた業務の概要の説明だけに留まらず、趣味に対して強烈な思い入れがあることをうかがわせる発言が出たりする度に笑いが起きるなど、和やかな雰囲気に包まれながら進行した。
重要なのは目的意識
続いて、講師を担当する鈴木氏が、「汝自身を知れ」という言葉とともに、本クラスの目的や趣旨について改めて説明した。鈴木氏が強調したのは、「今までやってきたこと」だけではなく、「それらの物事に取り組んできた動機」をしっかりと考えるということ。そのような検討作業は「マーケターになることであなたの人生に何をもたらすか」という問いへの答えを見つけ出すことにもつながるという。
本クラスの受講者のように、社会人経験として既に一定年数を費やした者であれば、「今までやってきたこと」を並び立てた履歴書を用意するのはそれほど難しくはない。より重要なのは、どのような目的の下で取り組んできたかということ。またアップル社の共同創業者である故スティーブ・ジョブス氏の「Connecting the dots(点と点をつなげる)」という名言を引用した上で、これまでの実績と目的意識のつながりをある程度まで一貫して説明できるようになるためには、本クラスなどの機会を別途設けて自身のキャリアを振り返り、そして整理する必要があるとの考えを示した。
自己分析のあり方については、マーケティングを題材とした比喩を用いて説明。「自分の良い要素を上手に伝えることで他者にその価値を見出してもらう」という点においては両者には共通点があると指摘した。また「自分自身をコモディティ商品としてはならない」とも発言。自動化作業的に人生を送るのではなく、目的意識を持つことの重要性を訴えた。
自身のオリジンを振り返る
続いて鈴木氏は、自身の例を示した上で、参加者に対して「自身のオリジン」「自分の得意なこと、好きなこと」「自分の人生で当たり前だと思ったことVS変えたいと思ったこと」について記述することを求めた。
鈴木氏が示した自己分析例
このワークシートの記述後には、参加者全員がそれぞれの記載内容を発表。それらの発表内容一つひとつに対して鈴木氏がフィードバックや質問を返すことで、ワークショップを展開していった。
参加者からは「これまで個人として試行錯誤を繰り返してきたが、このままでいいのか腹落ちしない」、「同年代で活躍している著名マーケターたちの存在に刺激を受けるが、果たして彼らと同じようなキャリアを目指せばいいのか疑問に感じている」「これまで影響力のある上司の参謀的な役割を務めることで与えられた機会を生かしてきたので、自身のオリジンについて改めて考え直したい」といった課題意識が見られた。各参加者は、9月末に2日間にわたり実施されるセッションを通じて、自身の考えをさらに整理していくことになる。
「MCA 道場 マスタークラス」は、9月26日(土)と27日(日)に東京都渋谷区の会場にて新型コロナウィルス感染拡大防止措置を取った上で実施予定。講義とワークショップで構成された半日ずつのセッションを行う。1日目は「自分を振り返る」をテーマに戦略シートの完成に向けて議論やワークショップを実施し、2日目は「実践と訓練」と題して「企画書を10分で作成」「アイデア100本勝負」「自由課題に対する3分のプレゼンテーション」などの取り組みを行う予定となっている。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。