先週のアドテクシーン:Facebook、Apple iOS14のIDFA利用制限への対応とビジネスへの影響を公表
広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。
【トップニュース】
Facebook、Apple iOS14のIDFA利用制限への対応とビジネスへの影響を公表
Facebookは、AppleがiOS14以降で予定している事実上のIDFA利用制限への対応策として、iOS14のIDFAデータを収集しないことを表明した。
ただしこの決定は、Appleが今後より詳細なガイダンスを提供する場合には、再検討の可能性もあるとしている。
また、今後iOS14に対応した新たなFacebook SDK のリリースを予定しており、パートナーへの対応を呼びかけた。
また、この問題によりFacebookは、同社アドネットワークのFacebook Audience Networkビジネスへの影響についても言及。
iOS14上では広告主は精度の高いターゲティングとトラッキングができなくなり、アプリデベロッパーやパブリッシャーが得られる広告収益のCPMが低下することを予想している。
ビジネスへの影響について、Facebookは、「まだ不明なことが多く定量化が困難」としているが、同社がアプリインストールキャンペーンで、広告をパーソナライズ化をせずに配信をする実験をしたところ、Facebook Audience Networkがパブリッシャーに還元するの広告収益は50%以上の減少となったとのこと。実際にはこれ以上のマイナスインパックがある可能性があるとのことだ。
【新サービス・新機能】
BTP、デジタル広告のアドベリフィケーション対応を「目視」で検証するセーフティリスト作成支援サービスを開始
CARTA HOLDINGSのグループ会社サイバー・コミュニケーションズとイー・ガンディアンとの合弁会社であるビズテーラー・パートナーズは、デジタル広告のアドベリフィケーション対応を「目視」で検証するセーフティリスト作成支援サービス「目視で検証するセーフティリストテーラー」と、ブロックリスト作成支援サービス「目視で検証するブロックリストテーラー」の提供を開始した。
広告主の個別基準でAIにより選別された配信先をさらに「目視」で確認することで、検知漏れがなく、安全な配信先リストの作成が可能になる他、配信先の誤検知による除外をなくし、配信可能なドメインを正しく見極めることで、最大限のリーチを獲得することが可能となる。
電通デジタル、アジャイル型のUXデザインアプローチでDX推進に向けた新規事業開発を支援
電通デジタルは、企業のDX推進に向けた新規事業開発において、アジャイル型のUX(ユーザー体験)デザインアプローチで支援するサービス「AGILE EXPERIENCE DESIGN LAB™」を提供開始した。
同サービスは、企業のDX推進人材育成も踏まえ電通デジタルとクライアント企業とで協働チームを組み、スキルトランスファーも進めながら、顧客価値探索から体験設計、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)創出までの一連のアジャイル型開発プロセスを、全てオンライン上にて一気通貫で実行する。
IAS、デジタル広告掲載面の文脈や感情を分析し最適な広告配信を実現するブランド適合性ターゲティング機能を含む「Context Control」をリリース
Integral Ad Scienceは、業界トップレベルの自然言語解析と機械学習によるブランドセーフティ&適合性ソリューション スイート「Context Control(コンテキスト コントロール)」を発表した。
同ソリューション スイートは、Webページなどのオンラインコンテンツの文脈や感情、情緒を分析し、ブランドイメージにそぐわないコンテンツを避け、適合性の高いコンテンツにのみ広告配信が行えるブランド適合性ターゲティング機能を含む、ブランドセーフティと適合性の総合ソリューションとなる。
【サービス連携・業務提携】
ジオロジック、民放ラジオ局共同アプリ「radiko」上でのエリア指定ラジオ広告を開始
ジオロジックは、民放ラジオ放送局による共同サービス「radiko」のアプリ上で、配信エリアを細かく指定してデジタル音声広告を配信できる「GeoLogic音声広告(radiko)」を開始した。
従来の「GeoLogic音声広告」はSpotify等の若年層の多いメディアが中心の配信先でしたが、40代から50代のラジオ世代の多いradikoが加わることによって、全年代に渡って幅広くリーチすることが可能となった。
電通デジタル、Arm Treasure Dataとプライバシーマネジメントのサービスを共同で開始
電通デジタルは、英Arm社の日本法人であるトレジャーデータと共同で、企業のプライバシーマネジメントに関するサービスを提供開始した。
国内外における個人情報保護の重要性が高まる中、ウェブサイトの閲覧履歴を記録する「Cookie」だけでなくアプリや個人情報関連など様々な場面でのユーザーへの個人情報データの同意取得を行うほか、同意取得後のデータ利用停止請求権等への対応も含めた適正なプライバシーデータ保護を徹底し、積極的なデジタルトランスフォーメーションを推進する。
BitStarが企業のニュースをインフルエンサー目線で届ける動画広告ソリューションを開始
BitStarは、トレンド感度の高い動画クリエイターたちが独自の目線で届ける新しい動画ニュースメディア「CreatorsTV」(クリエイターズTV)の提供を開始した。
インフルエンサーをリポーターとして起用し、インフルエンサーネイティブに編集した「ソーシャルメディアに最適化した映像コンテンツ」を制作する。
同サービスは、BitStarと株式会社電通パブリックリレーションズとの共同開発ソリューションとなる。
ログリー、子育てビッグデータのコズレ社との協業を開始
ログリーは、ネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY lift」において、コズレが保有するCOZREマガジンの講読履歴データ(DMP)を活用することで、子育て層に向けた広告配信が可能となったことを発表した。
コズレマガジンの7年分の購読履歴データ(DMP)からユーザーの購買ニーズに対し、LOGLY liftで広告配信を実施し、効率的な販促/アクション創出に貢献する。また、子育て世帯層への広告配信により広告主の求めるユーザーに精度高くリーチすることが可能となる。
オトナルと朝日新聞社、『朝日新聞アルキキ』音声広告枠のプログラマティック販売を開始
オトナルと朝日新聞社は、8月27日より、『朝日新聞アルキキ』において、音声広告のプログラマティック販売を開始した。
ニュースコンテンツ再生後のエンドロールの音声広告枠に、広告買い付けシステムである各種DSP(Demand-Side Platform)からプログラマティックな広告買い付けが可能となる。
GumGum、DSP「MarketOne」と連携開始
GumGum Japanはプラットフォーム・ワンが提供する広告主向け広告配信プラットフォームとの接続が完了したことを発表した。
この接続により、広告主はGumGumのコンテキスト(文脈)ターゲティングや、ブランドセーフティ機能、独自のクリエイティブフォーマットを、ダイレクト・バイイングだけでなく、プログラマティック・バイイングでも幅広く活用することができるようになる。
【資本提携・買収】
Sansanは、ログミーを買収
名刺管理ソフト最大手のSansanは、ログミーを買収することを公表した。
ログミー社は、2013年8月に設立され、主なサービスとして、スピーチや対談、記者会見等を全文書き起こしてログ化し、その情報を多くの人に届けるメディアを運営。
イベント関連事業や広告関連事業における連携商品の開発、ログミーの記事データベースの価値向上に向けた取り組み等の実施を進めていく。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。