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ジールスが語る、チャットコマースのいまと未来[インタビュー]

本格的な普及が始まって4-5年を経てAIチャットボットは、マーケティング用途でも広がりを見せている。

チャットコマースの普及を進めているZeals取締役COO 遠藤竜太氏に、直近のチャットコマースの普及状況や同社の注力領域について、お話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下智之)

 

 

会話広告から、チャットコマースへ

―自己紹介をお願いします

Zealsへのジョインは今から約3年ほど前、ちょうど今の事業を始めたタイミングで、サービスの立ち上げから参画しています。現在はCOOとしてチャットコマース事業の統括をしています。

 

―貴社は以前“会話広告”を前面に訴求されていましたが、これを“チャットコマース”へとシフトをした理由をお聞かせください。

2019年9月、会話広告fanpからチャットコマースZealsへとリブランディングを実施し、「ネットにおもてなし革命を」のコンセプトを表に出したテレビCMも放映しました。

会話広告からチャットコマースへと名前を変えても、サービスの本質は変わっていません。

私たち企業と顧客間のインタラクティブなコミュニケーションを可能にするテクノロジーとしてチャットボットを活用することで、おもてなしの精神が詰まった接客体験をネット上で体現しています。

これまでのデジタルマーケティングが伝えることを主な目的とした一方通行の体験だったの対して、顧客のニーズやインサイトを最初に聞いてあげるヒアリングファーストなコミュニケーション体験を設計することで、極めて高いCVRを実現しています。

会話広告と呼んでいた時は、広告からチャットボットに繋げて接客体験を届けていましたが、広告に限らず、より幅広い方法でチャットボットを活用することで各企業様が抱える事業課題、マーケティング課題を解決できるようになってきたため、チャットコマースへとリブランディングをしました。

ジールスは単なるベンダー企業ではなく、各企業様のパートナー企業としてチャットコマースの提供をしています。チャットボットの活用のプロフェッショナルとして、お客様のビジネス拡大に貢献するソリューション提供をコミュニケーションテクノロジーとUXデザインの力で実現していきたいと考えています。

 

チャットコマース成功の鍵はUXライター

―貴社が提供されているようなチャットコマースは、現在世の中でどのくらい普及しているのでしょうか?

取り組みをさせて頂くお客様は必ず成功に導くというスタンスで仕事を受けているため、お客様の数も集中させて頂いているのですが、現在、大手企業様を中心に300社以上のお客様にチャットコマースを導入頂いています。

私たちがサービス提供を始めた当初はチャットボット活用したマーケティング活動自体が行われていなかったため、ここ3年、特にこの1年で急速に普及した市場だと思います。更に、このコロナ影響でさらにチャットコマースの需要は一気に増えています。

また、チャットコマースというと、通販企業様での活用が中心だと思われるのですが、人材、教育、不動産、金融、サロンなど幅広い業種でサービスをご利用頂いております。チャットは企業と顧客とのコミュニケーションで不可欠な存在になって来ているため、業種問わずに皆様にご利用頂いております。

ポイントになっているのはUXライターの存在です。

UXライターとは、今Amazon、Slack、WeWorkなどアメリカのテックジャイアントが力を入れて採用している新しい職種なのですが、弊社には国内最大規模の30名ほどのUXライターが在籍しています。

弊社は従業員の大半がAIチャットボット開発に従事するエンジニアで、エンジニリングが中心の会社ではありますが、専任のUXライターがお客様のチャットボットの設計から運用までをデザインしているから、お客様のビジネス拡大に繋がる成果を出すことにでき、これだけ多くの企業様にご利用頂けているのだと考えております。

 

プロモーション領域だけに留まらない大きな挑戦

―貴社のお取り組みは新規獲得プロモーションが中心だと思いますが、獲得後のカスタマーサポートは見ていないのでしょうか?

もちろん、考えています。既存顧客に対してもチャットを使った最適なコミュニケーションを取っていきたいという声もたくさん頂いており、実際にお取り組みも進めています。

チャットコマースを導入頂く時も、まずは新規獲得領域から一緒に目に見える成果を出す取り組みをさせて頂いて、そこからお客様の事業課題に応じてカスタマーサポートなどフルファネルのソリューション提供をさせて頂いております。

チャットボットは歴史が浅いこともあって、まだまだ市場的にも使いこなされてはいません。これからのマーケティングはチャットをハックできた企業が伸びていく時代になっていくと思っています。

カスタマーサポートなどのLTV向上の施策はキー領域の一つなので、お客様と共に革新的なユーザー体験をつくって、マーケットリーダーとしてこの市場をつくっていきたいと考えています。

 

―将来の展望についてお聞かせください

チャットコマースは海外では、“Conversation Commerce=会話型コマース”と呼ばれています。

会話型コマースはチャットだけにとどまらず、今後はスマートスピーカーやOMO(Online Merges with Offline)領域へ染み出していくと言われており、チャットコマースも同じだと考えています。
今後は通販などのオンライン体験だけでなく、オフラインの接客体験をデジタル化する接客DX(デジタルトランスフォーメーション)に挑戦していくことで、日本が世界に誇る「おもてなしの力」をデジタル化していきたいです。

アフターコロナのキーワードであるDX。私たちジールスはお客様と共に「接客・おもてなし」のデジタル化(DX)を推し進めることで、お客様のビジネスをさらに加速させるパートナーとしてこれからも挑戦を続けていきます。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。