コロナ禍で変わるインフルエンサー活動と企業ニーズ[インタビュー]
コロナウイルス感染拡大は、インフルエンサーマーケティング市場にも大きな影響を及ぼしている。その象徴ともいえるサービスをトレンダーズが「#おうち配信」という名称で提供を開始した。
同社でディレクション・インフルエンサーのキャスティングを担当する城井あす香氏に、サービスの概要や、コロナウイルスの感染拡大がインフルエンサーの活動や企業ニーズにどのような影響を与えたかについて、お話を伺った。
(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)
トレンドと活動制限の間で生まれた新サービス
-「#おうち配信」のサービス概要と提供開始の背景についてお聞かせください
インスタグラムのLIVE配信は以前から活用されていましたが、コロナウイルス感染拡大の影響も受け、ユーザー視聴数は拡大を続けるという現象が起こっております。
また一方で、仲の良いインフルエンサー同士によるコラボ配信も増えており、幅広い世代から人気を集めています。
企業のマーケティング活動やインフルエンサーの活躍の場に制限があるこのような状況下でインフルエンサー同士のつながりを活用して、ユーザーの方に商品理解を深めていただくことできればということを思いつき、「#おうち配信」というサービスの提供を開始しました。
-「#おうち配信」を利用する広告主はどのような企業を想定していますか?
既にインスタグラムに注力をしている美容、飲食系の企業などです。これらの企業からは既に多くのお問い合わせをいただいております。
インフルエンサー同士だけではなく、企業アカウントとインフルエンサーとのコラボを可能としています。両者での掛け合いも可能なところをメリットに感じていただけています。
―コラボ配信と、そうではない配信とを比較した時、コラボ配信のメリットはどのような点にあるのでしょうか?
仲が良いインフルエンサー同士が、和気あいあいと雑談をしながら商品紹介をしてもらうことにより、より自然にユーザーに商品理解をしてもらうことができるという点が挙げられます。
また、二人での配信は一人の時よりもコミュニケーションにも余裕ができます。インフルエンサーは、ユーザーからの投稿に対し余裕をもって、コメントを返すことができるようになります。
-配信時間はどのくらいを想定しているのでしょうか?
概ね30分から60分を想定しております。インフルエンサー同士が、雑談をしながら進行していくというのが、主なフローになります。
インフルエンサーマーケティングは4大プラットフォームに定着
-ここ最近のインフルエンサーマーケティングのトレンドについてお聞かせください
認知から購入までの施策を短いスパンで回すことへのニーズが高まっている中で、Twitterにおけるインフルエンサーの活用が増えています。また、TikTokで「#PR」を使ったキャンペーンを自由にできるようになりました。
Instagram、Twitter、YouTubeそしてTikTokの4大プラットフォームにおけるインフルエンサーマーケティングが定着しました。より分かりやすく訴求を行うために動画を活用した案件が増加しています。
企業側が重視するインフルエンサーマーケティングの効果指標にも変化がみられています。単なる「フォロワー数・エンゲージメント数」だけではなく、インサイト情報やインプレッション数、ユーザーへの購買意向アンケートなど、目的に合わせて多様な効果指標を活用されるようになりつつあります。
InstagramではストーリーのみではなくLIVE配信も活発に活用されており、ブランデッド広告など広告との連動も仕様が色々になったことにより、インフルエンサーのみではなくクリエイターとしてのニーズも高まりつつあります。
コロナ禍で生まれる新たな企業ニーズと商機
-コロナウイルスの感染拡大により、世の中が大きく変わりつつあります。インフルエンサーマーケティングにどのような影響が起こっていて、今後どのような変化が起こりそうでしょうか?
イベントや派遣が中止/延期となり、サンプリングやライブ配信などのオンラインで完結できる施策が増加しています。
また、タレントやアーティストなどのSNS開設が増加をしています。これまでSNSでのPRがNGだった事務所からも相談が来るようになりました。一方で、企業もこの動きに注目しており、起用ニーズが高まりつつあります。
-「#おうち配信」のビジネスを今後どのように拡大されていきたいとお考えでしょうか?
コラボ配信の需要が高まってきており、『インフルエンサー×インフルエンサー』はもちろん、『企業×インフルエンサー』のコラボも可能なので、コラボ配信を活用した施策を増やしていければと思っています。
企業側の声と、インフルエンサーの声との掛け合わせというのは、今までなかった新しいコンテンツですので、幅広く色々な企業にお使いいただければと思っております。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。