「今後中小企業支援への注力を高めていく」-LINEの中小企業向け新規事業発表会
LINE株式会社は、9月12日、都内にて、中小規模の広告主を対象とした新規事業発表会を開催した。
基調講演を行った代表取締役社長CEOの出澤剛氏は、LINE公式アカウントがこれまで「大企業向けのマーケティングツール」との印象が持たれていたと振り返った上で、今後はSMB領域への注力度を高めていくと宣言。まずは飲食店を対象として、チャットボット、音声認識、光学文字認識、音声合成、画像認識などの技術を外部提供する「LINE BRAIN」を活用した顧客対応自動化ソリューションの実証実験や、独自の銀行事業などを通じて、中小企業の業務支援を行っていきたいとの抱負を語った。
執行役員広告ビジネス事業担当の池端由基氏は、コミュニケーションツールとして多数のユーザー同士を結び付けてきたLINEは今後「企業とユーザー」「地域とユーザー」をも繋げるツールになるべく開発を行っていくとの方針を表明した。
同氏によると、既に700を超える地方自治体がLINE公式アカウントを利用。推定居住地域に基づいた情報発信やAI機能を活用したチャット上の問い合わせ対応に加えて、千葉県市川市でLINEを通じた住民票申請の実証実験を実施中であると報告した。
また特定の場所周辺に存在するLINE公式アカウント保有店舗を探す「Local Search」機能や、8月に新たに提供を開始した「OpenChat(オープンチャット)」と連携し、ユーザー同士が匿名でお勧めのレストランなどについての情報交換を行うことを想定したサービスも提供予定だと紹介。こうした店舗型の事業向けソリューションを拡充していくと伝えた。
中小企業・店舗の課題解決を担う組織として新たに立ち上げられた「マーケットグロース事業部」事業部長の川代宣雄氏は、今後提供していく新たな機能として、ダウンロード数に応じた従量課金方式となる「LINE CPDスタンプ」や、LINE公式アカウントの友だち追加を促すことを目的にLP制作をせずとも訴求ができる「友だち追加広告(LAP)」、トーク画面上で商品を購入できる「チャットコマース機能」などについて説明。またこれまで代理店を介してのアカウント開設や審査などの複雑な手順を要していた運用型広告プラットフォーム「LINE Ads Platform(LAP)」においてセルフサーブ機能を用意し、オンライン上でのアカウント開設や配信設定、クレジットカード決済が2019年11月より可能になるとの見通しを伝えた。
広告事業本部 SPセールス事業部マネージャーの橋本久嗣氏は、スマートフォンに最適化したデジタルチラシサービスとなる「LINEチラシ」の概要を発表。購読率が著しく低下している新聞のチラシに代わって需要を取り込んでいきたいとの意気込みを語った。
ユーザーの興味関心や在住地域に応じた配信設定や、チラシのデータを端末や広告フォーマットに合わせて自動最適化できることに加えて、店頭の「LINE Beacon」を利用することで、来店計測や来店中のユーザーにメッセージ送信を行えることが特徴。一般的には、このBeaconを受信するためのアプリケーションをユーザーにダウンロードしてもらうことは容易ではない。しかし、LINE Beaconとの連携が可能なLINEであれば、既に多くのユーザーに受け入れられているため、このようなサービスを実現することができると述べた。
アプリプロモーションアプリマーケティングアプリ広告イベントレポート
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。