広告動画比率50%超、Twitterインストリーム動画の現状と2019年事業の柱 [インタビュー]
成長を続けるTwitter広告に占める動画比率は既に50%を超えたという。2017年にローンチしたインストリーム動画の現状や今後の注力ポイントについて、Twitter Japan株式会社 上級執行役員 広告事業本部長 兼 日本・東アジア事業開発本部長の味澤将宏氏にお話を伺った。
(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)
テレビCMを使う広告主が牽引
―動画広告市場をどのように見ておられますか?
まだまだ伸びると思います。Twitterも2017年から2018年にかけて非常に売り上げを伸ばしていますが、その大きなソースは日本の大手広告主です。特にテレビをよく使っている広告主の伸びが大きいと感じます。テレビからのシフトということではないとは思いますが、生活者のタイムシェアが変わってきて、広告のアロケーションも追いついてこようとしているのではないかと思います。
その時使われるフォーマットが動画。スマートフォンで、我々などのプラットフォームを使っている時間は長いので、受け皿としては動画広告が伸びていると思いますね。
―貴社のインストリーム動画について教えてください。
Twitterのインストリーム動画には2つの種類があります。動画広告とスポンサーシップの広告です。インストリーム動画広告はカテゴリで、例えばニュースならいくつかのコンテンツパートナーのコンテンツの事前に、プレロール広告が表示されるものです。グローバルで200社程度、日本では数十社程度の提携先があります。
スポンサーシップは、先ほどのカテゴリバイとは異なり「このパートナーに表示したい」「このイベントに対して入れたい」という、テレビ広告でいう番組枠を買うようなイメージのものです。配信先はプレミアムなパートナーに限定されており、例えばJリーグの試合のハイライトシーンだけ広告を挿入することも出来ます。
出典:TwitterJapan資料
高視聴完了率が特徴
―去年のリリースの時点で両方のメニューがあったのでしょうか。
用意していました。ただし、広告配信先であるコンテンツパートナーが充実したのは今年からで、広告主も今年に入ってから非常に伸びました。例えば選抜野球のライブ配信の時には、トイレタリーメーカーの洗剤の広告を配信しました。汗と高校野球、という形でリンクさせています(笑) |
Twitterには、新しい情報を取りに来ているユーザーが多く、リアルタイムで情報を取りに来ているユーザーは動画コンテンツ自体をまず見たい。さらに関係性のある広告が入っていると、動画の視聴了率が非常に高いというメリットがあります。
例えば動画共有サイトなどの動画広告と比べて広告を受け入れる確率が非常に高いという調査結果が出ています。コンテンツと関連度が高い広告が入っており、動画広告自体も見たいという意向が高いユーザーが多く、よく見ていただいています。
他の大手プラットフォームの動画広告と比較しても、視聴完了率が非常に高いのです。
―配信先については、どのような特徴がありますか。
Twitterは、UGCに広告を挿入しません。我々が特別に契約したプレミアムコンテンツのみに広告を入れており、ブランドセーフティが担保されています。
個々のコンテンツパートナーとの契約もしており、さらにコンテンツ内容もレビューをしています。もしブランドセーフティにかかわるような内容が万が一入っていれば、契約解除措置を取らせていただくという厳しい態度で臨んでいます。
こうした特徴から、広告としてのパフォーマンスが高く、動画の視聴完了率は非常に高いのです。
コンテンツパートナーはマーケティングパートナー
―インストリーム動画のビジネス面についても教えてください。コンテンツパートナーとは、どのような関係性を築かれているのでしょうか?
契約内容はコンテンツパートナーによって異なりますが、基本はレベニューシェアです。
コンテンツパートナーにとって我々は、マーケティングパートナーでもあります。コンテンツパートナーのアカウントで動画を配信しているので、そこを広告でマネタイズするというのは、彼らにとっては、彼らのコンテンツが世の中に広がるという意味で、お互いに良くなっていくパートナーシップモデルでもあるわけです。
単にコンテンツを売るモデルというわけではない。この点において、グローバルにおいても日本においてもとてもよいパートナーシップと組ませていただいているものと、自負しています。
―パートナーはどういう基準で選定されているのでしょうか。
ニュース、エンタメ、スポーツの三つのカテゴリに注力しています。Twitterに合うフレッシュなコンテンツをお持ちかどうかという点を重視していますね。
インストリーム動画は広告、プロモビデオはコンテンツ
―それぞれで、広告主の層は異なるのでしょうか。
両方を出稿している広告主と、インストリーム動画のみの広告主とで分かれます。あまりTwitter自体をご自身のアカウントで運用しない広告主もいます。例えばファイナンス系や製薬会社など。この2つのカテゴリは顕著かもしれません。
これらの広告主は非常に大きい広告主で、Twitterのユーザー自体には非常に魅力を感じていただいていて、コンテンツをスポンサードして動画広告を出せるなら使いたいということですね。
―これまで何社くらいの広告主が、インストリーム動画を活用しているのでしょうか。
具体的な数はお伝えできませんが、かなりの数の広告主に使っていただいています。
―もともとタイムラインの中に流れるプロモビデオなどがあると思いますが、同じ広告主でどうやって使い分けていらっしゃるのでしょうか。
通常のいわゆるプロモツイートはやはり広告主のアカウントから広告を出しています。コンテンツ自体を所有している。それはご自分のアカウントの資産になり、フォロワーも増えていくということですね。自分のアカウントから出したツイートが拡散される形式です。
一方インストリーム動画は、他媒体のコンテンツパワーを借りてプレロール広告を配信できるので、コンテンツとの親和性が強ければ強いほど効果も高まります。
あるゲーム会社では、プロモツイートの出稿が多いのですが、この場合はTwitterのコンテンツとして非常にマッチした形でユーザーに受け入れられます。一方のインストリーム動画広告は、広告として認知されやすくなり、より広告らしいテレビCM的な広告効果があるとの調査結果も得ているようです。
動画比率は50%超
―Twitterの動画広告におけるインストリーム動画とそれ以外の動画広告の売上比率はどのくらいになるのでしょうか?
まず動画広告自体、Twitter広告売上の50%を超えています。これはグローバルでも国内でもそうです。具体的な比率は申し上げられませんが、インストリーム動画は一番伸び率が高く日本でも顕著に伸びています。しかし昨年に開始したばかりですので、現時点ですごく売上額が大きいわけではありません。
2019年はコンテンツと動画広告が柱
―今後の見通しについてお聞かせ下さい。
インストリーム動画の取り扱いは伸びていくでしょう。まずマーケットで一番伸びているカテゴリが動画広告です。このプロダクト単体のことではなく、インストリーム型の動画広告とモバイル向けの動画広告が非常に伸びつつあります。そこを伸ばしていくというのはまず戦略としてあります。 |
我々としてもいいコンテンツを出せる。そういう意味でコンテンツパートナーと我々で、Win-Winでいいコンテンツを作っていければと考えております。Twitterのインストリーム動画のメリットは、コンテンツプロバイダとのパートナーシップなので、新しいオポチュニティを作ることができるという点です。
2019年は、コンテンツビジネスと動画広告を一つの大きな柱にしたいですね。
我々としては2020年までを見越してプランを作っています。東京五輪に向けて世界的なモーメントができています。そのために、2020年に我々としてのピークを迎えられるようにしたいと考えています。コンテンツはその軸として、ユーザーグロース観点でも、広告ビジネスでも考えていきたいですね。
広告主に対しては、パートナーとして一緒にとりくませていただきたいと思います。ですので課題解決、ソリューションセリングができるような売り方をしていきたいです。トップ300社に対しては、そういった体制をとっていきます。そのようなサービスクオリティを保つため、業界の優秀な方にはどんどんTwitterに参画していただきたいですね。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。