国内デジタルマーケター推計人口は約2万人
ビデオリサーチインタラクティブ(VRI)、ビデオリサーチグループのDeltaValues、及びデジタルインファクトの3社は共同で、国内広告主2,000社と市場シェアの6割を占める広告会社を対象に、デジタルマーケターの人口推計結果を公表した。
今回3社が定義したデジタルマーケターとは、デジタル広告の出稿業務において媒体選定や予算配分に関わる業務従事者。VRIデータに基づく2017年のデジタル広告出稿額上位2,000社の広告主、そして、デジタル広告の流通総額の約6割のシェアを占める広告会社19社の所属者が推定の対象。
推計対象はあくまでも市場全体における特定範囲。だが、デジタルマーケターを対象とした人口推計調査結果が公表されるのは、恐らく国内初であろう。
2,000社の広告主企業と市場シェア6割を占める広告会社合計で約2万人
【図表1】広告主・広告会社のデジタルマーケター人口
出典:同社プレスリリース
調査結果によると、調査対象企業におけるデジタルマーケター人口総計は約20,030人で、うち広告主企業上位2,000社には約12,100人、市場シェア6割を占める広告会社19社には約7,930人が在籍。
そして、広告主企業2,000社の約12100人中、上位300社には全体の35%の約4,200人が属する。1社当たりの人数に換算すると、広告費上位300社の大手広告主では平均14人、それ以外の1,700社では平均5人。
一方、広告会社19社7,930人のうち、売上上位の大手広告会社7社(グループ、子会社も含む)には、全体の約8割にあたる約6,250人が在籍。大手1社(グループ)あたりの人数は平均900人弱と推定している。
意思決定者の割合は大手広告主で21%、大手広告会社で6%
【図表2】大手広告主・大手広告会社における意思決定者/業務担当者の割合
出典:同社プレスリリース
また、広告主企業上位300社、及び大手広告会社7社における、意思決定者/業務担当者及び、出稿目的別すなわち、ブランディング担当者/パフォーマンス担当者/ブランディングとパフォーマンス双方、の担当者の割合も公表。
まずは意思決定者/業務担当者について。
メディアの予算配分やデジタル広告出稿における媒体選定に関し社内での意思決定を承認する立場にある「意思決定者」は、広告主企業上位300社においてはデジタルマーケター全体の21%で約5人に1人。また、大手広告会社7社における「意思決定者」は、デジタルマーケター全体の6%で約17人に1人。
ブランディングに携わっているのは約7割
【図表3】大手広告主・大手広告会社のデジタル広告出稿目的別の従事者割合
出典:同社プレスリリース
次に、出稿目的別。ブランディング担当者/パフォーマンス担当者/ブランディングとパフォーマンス両方の担当者、それぞれの割合について。
広告主企業上位300社のデジタルマーケターのうち、5%がブランディングのみを担当、29%がダイレクトレスポンス中心のパフォーマンスのみを担当、そしてブランディングとパフォーマンス両方の担当が66%。
一方大手広告会社7社においては、ブランディングのみの担当が14%、パフォーマンスのみの担当が28%、両方の担当が58%という割合。
大手広告主・大手広告会社とも、専任と兼任といった濃度の違いはあるが、デジタルマーケターの約7割が何らかの形でブランディング目的のデジタル広告出稿に関わっていることになる。
この現状について、日本アドバタイザーズ協会 顧問、デルフィス常務取締役 土橋代幸氏は「デジタルマーケティングに取組み始めてから、広告主も広告会社も人員や体制を試行錯誤で進めてきているが、旧来のマーケティングとデジタルマーケティングの融合が進んでいる現状を表しているのだと思う。」とコメントを述べている。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。