「広告運用担当者の時間を取り戻す」、The Trade Deskが広告運用を効率化する新技術を発表
グローバル大手DSPのThe Trade Deskは、6月26日、都内オフィスにて、広告配信設定作業の大幅な簡素化及び自動化を実現した新規広告プラットフォームを発表した。
「Next Wave」との名称が付けられた新規の広告プラットフォームは、3つの異なる機能で構成されている。
一つ目は、広告の配信先となるメディアの選定をほぼ自動的に行なう「The Trade Desk Planner」。この機能により、広告主がDMPやCDPに保有しているファーストパーティデータに基づく配信や国内及び国外の主要DMPとの連携を通じて収集したサードパーティーデータに基づく類似配信のメディア・プラン作成作業が大幅に効率化できるという。
二つ目は、広告キャンペーン設定を行うユーザー・インターフェースとなる「Megagon™」。The Trade Desk Plannerを通じて作成したメディア・プランと連携させることで、手動での入力作業を削減。また市場全体における該当する広告在庫に占める自社買い付けの割合を示す「RAM(Remaining Addressable Market)」や、入札金額設定の種類の数を示す「Expressiveness」を数値化及びグラフ化することで、運用担当者が直感的に運用業務を行うことを可能にした。
3つめは、人工知能を生かした予測エンジンとなるKoa™(コア)。ユーザー・インターフェース上で、運用担当者に対して、例えばメディア・プランに特定の配信先リストを追加するとCPCが10円下がる、といったアドバイスを提供する。またKoaを活用することで、一般的に運用広告において必要とされる試験運用の期間を大幅に短縮することができるという。
カントリー・マネージャーの新谷哲也氏は、このNext Waveについて、同社の「設立以来最も大きな意味を持つ新規プロダクト」であると説明。広告運用における高レベルの運用と工数・時間の削減が実現したと述べた。
新谷氏によると、Next Waveはインターネット広告業界におけるいくつかの大きな課題を解決する可能性がある。まずは、効率化及び自動化を図ることで、日々の運用業務に忙殺される運用担当者の時間を取り戻すこと。とりわけラジオ広告やテレビ広告でもプログラマティックな広告買い付けがいずれ本格的に開始されれば、運用業務の効率化はますます求められるようになる。
さらには広告主や広告代理店が保有するDMPやCDPに格納されたファーストパーティーデータとサードパーティーデータを効率的に活用できるようにしたことで、これまでオンライン広告業界全体が注力してきたリターゲティング施策以外のとりわけ購買ファネル上位の広告施策の実施を容易にするという狙いもあるという。同社はNext Waveを通じて、従来から取り組んできた広告会社に対するフルファネル及びオムニチャネルの広告施策支援を一層充実させていく考えを示している。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。