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透明性はビジネスモデルだ:Improve Digital社Aee-Ni Jaskolla氏へのインタビュー

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

Improve Digital社は先日新しいChief Product Officerを任命した。 Xasis社のヨーロッパにおける収益プラットフォームの担当の経歴を持ち、Improve Digital社に参加することになったデータの専門家でもあるAee-Ni Jaskolla氏は、 新たなポジション、プラットフォームの計画、アドテク業界における透明性の重要性についてExchangeWireに話をしてくれた。

― ExchangeWire: 新たな役職における役割を教えてください。

Aee-Ni Jaskolla氏: 私はCPOとして、プロダクトポートフォリオの全体の責任を負うと同時に、コンセプトから立ち上げ、最終的な契約までエンドtoエンドで管轄しています。顧客からのリクエストを、プロダクトチームと一緒になり、テクノロジー及び拡張性に長けたプラットフォームに作り上げるのが業務です。
プラットフォームの開発を通じて、顧客がAIの活用によって、インベントリを収益最大化に結びつけるためのサポートを行なっています。私たちは顧客及び業界の需要に応えて、より洗練され徹底した検証プロセスを通じて完全な透明性とインサイトを提供します。

― プロダクトの計画について共有していただけますか?

当社のプラットフォーム360 Polarisは、動画、ウェブ、モバイルのパブリッシャー向けの広告収益化プラットフォームです。 高度な機能を統合し、販売戦略がどのようなものであれ非常に優れた 透明性とデータ統合機能を備えたコンテンツプロバイダ向けのオールインワンソリューションです。 成功を収めテクノロジーのスピードの速さについていくためには、優れたテクノロジー、データ、優秀なスタッフが必要です。私の最初の目標は、優れたチーム製品をさらに開発を進め、商業サイドとエンジニアサイドの強力な橋渡しを行うことです。二つ目のゴールは、コンテンツプロバイダにとって品質の高いインサイトを活用し、収益を最大化するためのプラットフォームを機能拡張して開発することです。

―業界における透明性の問題はどのように解決されていくと思いますか?

写真

Aee-Ni Jaskolla氏、Improve Digital社
Chief Product Officer

第一に、テクノロジープロバイダーはビジネスモデルを透明にし、マージンを隠さないようにすべきです。 第二に、透明性とは取引が過去にどのように実施されたかをトラックしモニタリングすることによって、顧客に全てのインサイトを共有することを意味します。取引の詳細にアクセスできて初めて問題解決の方法を見つけ、取引を最適化する方法が見つけることができます。また、真の透明性は一つの専門性に焦点を当てたテクノロジーパートナーからのみ得ることができます。DSPとSSPテクノロジーを1つのソリューションに統合しているようなテクノロジー事業者の利益相反については常に議論がされている点ですが、デマンドサイドが支配的な立場になることが多々あります。これは、デマンド側の方が拡張的で利益生の高い取引の機会に恵まれているからです。

最後に、Ads.txtやGDPRのような法律改正などにおいてイニシアチブをとることが有益です。これらに関わることで、企業が複雑な契約やビジネス構造の恩恵に頼ってお金儲けをするのではなく、ビジネスの透明性を保ちながら収益をあげることができます。

―Improve Digital社はこの問題にどのように取り組んでいくのでしょうか?

透明性は私たちのDNAです。私たちは創業時からこの原則に基づいて行動し、それが全ての行動指針となっています。例えば、当社はコンテンツプロバイダとしての立場からのみ顧客へのサポートを行なっています。当社は顧客にインサイトやレポートを提供しますが、マージン体系を隠したりはいたしません。

― 貴社の考える次の大きな変化はどのようなものでしょうか?

データはアドテク業界にとって非常に重要なものです。私たちが注力するのは、オンラインやプログラマティック広告業界ができる限り効率的になるために尽力することです。アドテクエコシステムにおいて、収益を最適化するために分析作業を行う際に顧客データとAIは非常に重要な役割を占めます。

― あなたはプログラマティック業界で非常に多くの経験を積んでいますが、アドテクにおける女性の活躍に関して何かしらの変化を感じますか?

この業界は変化が速くリアルタイムであり、それは私が好きな点でもあります。エクスパートの人々や異なるパーソナリティの人々が多いダイナミックな環境です。この業界で先駆者としてあり続けるためには、環境の変化に対応し、正しい決断を正しいタイミングで決定し、最新の機会を逃さないようにすることが重要です。これは私が業務を始めてから変わることのない点ですが、一方で開発やイノベーションは物凄いスピードで変化をしています。テクノロジー業界の女性の現状に関してですが、状況は改善しているもののまだ様々な余地は残されています。私はヨーロッパ及びグローバルにおいて、アドテク業界にて女性がさらに活躍して欲しいと感じています。Improve Digital社は非常に良い例で男女比は1:1となっています。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。