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アドテクの統合は始まったばかり:Sizmek社CEO Mark Grether氏へのインタビュー

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

2017年7月18日、Sizmek社は、Rocket Fuel社を145Mドルで買収合意に至ったことが発表された。 この買収は、2017年9月8日に完了し、Sizmek社は特定のテクノロジーにとらわれない立場となった。ExchangeWireはSizmek社のMark Grether CEOと、今回の買収が業界で何を意味するのか、そしてSizmek社が買収後のサービスプランについてインタビューした。

― Sizmek社は最近、145Mドルの取引で、AI予測マーケティングプラットフォームRocket Fuel社を買収しました。背景について教えてください。

Mark Grether氏: 当社の目的は、常にお客様に最高の広告ソリューションとサービスを提供することです。 Rocket Fuel社の買収により、当社は代理店やブランド向けに構築された世界最大の独立系のバイサイドのプラットフォームとなりました。当社は今後Sizmek社の持つデジタルメディアプランに対して、データ活用やクリエイティブ最適化のソリューションを、Rokect Fuel社の持つAIを活用したメディアエグゼキューションソリューションと組み合わせて提供していきます。また、キャンペーン、消費者、コンテキスト、クリエイティブ、費用などのキーとなる要素を全てグローバル規模で集約して提供していきます。

― Rocket Fuel社のテクノロジーとの統合によりSizmek社のソリューションはどのように変化していくのでしょうか?

この買収により、AIによる予測分析、データの有効化、クリエイティブ最適化、メディアエグゼキューションなどのテクノロジーが融合し、キャンペーンにおける真のパフォーマンス向上のためのサービスを提供できます。Sizmek社のクリエイティブ最適化とデータ活用ソリューションを、Rocket Fuel社の予測マーケティングプラットフォームと連携させることで、広告主に完全なるバイサイドソリューションが提供されます。 マーケティング担当者は、キャンペーンをリアルタイムで最適化し、メディアプラン全体でROIを最大限に高めることができます。

当社はグローバルで、2万人以上の広告主と3600社の代理店にサービスを提供し、70カ国以上で世界中の視聴者にアプローチすることができます。

― Sizmek社と他のアドテクプラットフォームとの違いはどのようなものでしょうか?

私たちは、全てのデータコンポーネントをメディアプラン全体から1か所に統合するユニークなソリューションを有しています。 これには、キャンペーン、消費者、コンテキスト、クリエイティブ、コストという5つの予測的マーケティングの要素が含まれます。この情報を使用して、クライアントはキャンペーンのパフォーマンスを最大限に引き出すために最適なメッセージ、時間、環境を正確に予測することができます。 AIによって、消費者理解とパフォーマンス改善を実施し、意思決定レイヤーを活用してメディアプランを最適化することで、それぞれのカスタマージャーニーについて理解を促進していきます。

当社のソリューションは、デマンドサイドプラットフォーム(DSP)に依存することなく、顧客が利用可能なパートナーを制限したり、データの見方に限界が生まれるなどのようなことはありません。強固でダイナミックなクリエイティブの最適化と予測的なAI機能により、高度にパーソナライズされた広告を配信し、最適なタイミングで適切な消費者にアプローチすることができます。

― Sizmek社がこの買収を通じて解決しようとしている業界の課題はどのようなものでしょうか?

量と速度 の両方において、より大きなデータを活用することです。 これは、人間が理解できる以上のボリュームとなっており、私たちはその課題を解決するためにAIが必要です。 今回の買収を通じてRocket Fuel社のAI技術を使用して、ビジネスの基盤となるデータを管理し、理解することができます。 使用可能なすべてのデータを一元的に表示することが重要で、データの中央集権化が必要となります。 完全なリアルタイムの消費者像を得ることで、データの奥にいる消費者を正しく把握し、業務の効率を向上させることができます。

Rocket Fuel社との統合は、当社をAIデータの革新の最前線に導き、業界での地位を確実なものにしてくれます。

― Sizmek社の技術によって、GoogleやFacebookなどの「ウォールドガーデン」による問題の改善にはどのように寄与しますか?

GoogleとFacebookによってメディアの大多数が構成されていますが、幅広いコンテンツやプラットフォームを通じて消費者との関係を成功させるために、代理店や企業には全てのメディアプランをカバーする総合的で独立した予測的なマーケティングプラットフォームが必要です。
当社のプラットフォームによってGoogleやFacebookを含む、異なるインベントリの事業者間のパフォーマンス最大化を実施することができるでしょう。

― 私たちは昨今、多くの統合例を目の当たりにしてきました。 アドテクノロジーは今後5年間でどのように変化し、進化していくとお考えですか?

アドテク産業の統合は始まったばかりです。 私たちは、ポイント的なソリューションの過剰化が進むにつれ、今後数年間で多くの変化を目にすることになるでしょう。 その企業が市場で適切な命題を持っているなら、おそらくビッグプレーヤーによって買収されることになるでしょう。そして、もしそうでなければ、投資熱の停滞によりこれらの企業は激減していくことでしょう。

今後業界は、Lumascapeのはるかに縮小されたバージョンになります。 しかし、小さなノイズを排除することで、すべての産業分野でより良い収入をもたらし、消費者にとってより大きな経験がもたらされるでしょう。

企業は生き残りのために適応し、投資を革新に変えていかなくてはなりません。 顧客はグローバルなソリューションを求めており、これは世界中でのサービス投資へとつながり、規模が重要な役割を果たすことになります。

アドテク企業は成長しており、当社はその最先端にいることを誇りに感じます。

― Sizmek社にとっての次のプランはどのようなものでしょうか?

時間の経過と共に、従来のTVからプログラマティックTV、オーバー・ザ・トップ・コンテンツ(OTT)、およびアドレス指定可能なTVに、ますます多くのテレビ予算が移行するでしょう。 これはSizmek社にとって大きなチャンスであり、当社は将来のテレビ業界のために、最良の選択肢を示すために投資を行なっていきます。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。