透明性とエコシステム
2017年のデジタル広告業界、アドテク業界で話題になっていることを最も象徴するキーワードは、「透明性とエコシステム」というキーワードに収れんされるようだ。
「広告取引の」透明性については、年始より、アドフラウドやViewability、ブランドセーフティーなどの課題が集約されタ言葉としてクローズアップされているが、これらはいわば大きく創り上げられてきたデジタル広告業界のエコシステムの軋みである。この軋みは広告の売り手と買い手、そしてつなぎ手それぞれの立場により感じ方や考え方も多少異なっていたりもする。
広告の買い手と売り手、両者の方々に話をお聞きしていると、双方がコミュニケーションをすることが減ったような気がするとのこと。そしてどうやらそれは、アドテクが普及した時期とも被ってもいるということのようだ。このようなこともあり、最近では「広告の買い手と売り手の対話の場が必要だよね」という声も、日増しに増えているように思う。
デジタル広告業界のエコシステムが生まれてざっと20年、人に例えるともう大人だし、日本だけでも1兆円以上と大きくなった。「少し振り返って、皆で話し合って見直す必要があるよね。」ということなのであろうか。
もう少し視点を絞ると、近年ビデオ×プログラマティック、クロスデバイス、DMPやマーケティングダッシュボードなどのデータ流通の領域で、新しいエコシステムが次々と生まれているが、各事業者がどのような展望を描いているのかは注目すべきところである。データの流通は、企業の組織の在り方にも大きく影響する。
これらを踏まえつつも、日本における大きな節目とされる2020年に向け、デジタル広告はどこに向かっていくのか・・・。
英国ロンドン発のアドテクノロジー、マーケティングテクノロジー領域の専門メディア、ExchangeWireは、本年も10月3日に ATS(Ad Trading Summit) Tokyo を、ウェスティンホテル東京にて開催します。
ATSは、プログラマティック広告取引を主軸に、デジタルマーケティング業界がどのような発展を遂げているかに重点を置き、皆さまのマーケットに対する理解を深めていただける様々なコンテンツを提供する、アドテクノロジーのグローバルカンファレンスです。東京での開催は4回目です。
どうぞお見逃しなく。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。