デジタルプロモーション最前線!運用型広告で効果の最大化を目指す―第二回:LINE Ads Platformの“今”と“これから” |WireColumn
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on 2017年9月07日 inインターネット広告代理店のオプトが執筆する本連載では、運用型広告を活用する上で外せないメディアをピックアップし、活用のポイントを3回にわたり解説していきます。
二回目の今回は、国内の月間アクティブユーザー数6,800万人以上にも成長したLINEアプリの運用型広告についてです。
LINEを取り巻く環境と広告運用のポイント
いまやLINEアプリの月間アクティブユーザー数は、6,800万人以上にも上り、日本の総人口の半数以上(2人に1人)が利用していると言われています。LINEアプリはコミュニケーションツールとして日常的に活用されており、他のSNSアプリと比較しても主婦層や若年層など幅広いユーザーに利用されています *¹。
そのような中、2016年6月にLINEアプリ内での掲載が可能な運用型広告として、LINE社より「LINE Ads Platform」がリリースされました。ユーザーの多さと年齢層の広さというLINEアプリの配信面としての強みを持ち、その配信面で広告を出稿できることが最大の強みだと考えます。
主な掲載面は、LINEニュースやタイムラインですが、特にタイムラインの月間アクティブユーザー数は、全ユーザーの内、75%以上と言われております。また、全SNSの中でLINEのタイムラインのみ利用しているユーザーは全体の約18.3%とFacebookやTwitterなど他のSNSの3倍以上となり、幅広いユーザーへリーチが可能な広告媒体となります *²。
当社では、LINE Ads Platformがリリースされて以降、様々な業種の企業の運用を支援してきましたが、多くはダイレクトレスポンスで活用されるケースです。今回は、ダイレクトレスポンスを目的に、効果的に運用するための3つのポイントを紹介していきます。
①ユーザーの利用時間を狙った配信を行う:夕方からの配信拡大がキー
1つ目のポイントはユーザーの利用時間を加味して、適宜配信調整を行っていくことです。当社の運用実績をみると、夕方の17時ごろから伸び始めて20時~22時ごろに配信量がピークを迎える傾向にあります。ピークの始まりがユーザーの帰宅時間帯と重なっていることから、帰宅中、帰宅後のユーザーによるスマートフォン利用が活発になり、LINEアプリへの流入数が増加していることが影響していると考えられます。配信量の増加に伴い、クリック単価も急激に低下する傾向があるため、この時間帯に配信を集中させることがパフォーマンス最大化のカギとなってきます。
■入札手法別配信割合イメージ
しかし、LINE Ads Platformは機能の特性上、設定した日予算が時間ごとに均等配信される仕組み(自動入札の場合)で、時間帯ごとに配信の割合を設定できません。そのため、ユーザーが利用する(配信量がピークを迎える)時間帯に合わせて、手動での予算調整が必要となってきます。当社では、この調整が行えるよう、専属チームを組成し、運用を管理することで、広告効果の改善を行っています。また、今後のLINE Ads Platformのアップデートに合わせた更なるサポート体制の強化やツール開発なども順次進めています。
■手動入札VS自動入札(当社実績)
②動画フォーマットを攻略する
2つ目のポイントは、動画フォーマットを活用することです。LINE Ads Platformでは、静止画と動画の2つのフォーマットでの広告配信が可能です。動画広告はブランド目的というイメージがある方もいるかもしれませんが、LINE Ads Platformの動画広告では、レスポンス目的でも高い効果を発揮しています。業種・商材によっては、静止画と比べてCPAが30%程度に抑えられるなど、高い実績も出ています。
■静止画VS動画比較実績(当社実績)
動画フォーマットの高いパフォーマンスに大きく影響しているのは、下記の2つの静止画との違いです。
・クリエイティブ規定の違い
・入札形態とオークションロジックの違い
まず、「クリエイティブ規定」の違いから説明していきます。静止画の場合、テキストを画像の20%内に収めなければならないという規定があるのに対し、動画はその制限がなく、より自由な表現が可能となります。そのため、訴求内容や商品メリットをテキストで充分に盛り込むことができるため、商品を理解した上で広告をクリックし、ランディングページを訪れるユーザーが多く、静止画に比べてCVRが高く、CPAも安価に抑えやすい傾向があります。更にCVRが高いため、静止画対比でより高い入札単価を設定でき、配信の量・CVの量といった面でも優位性があります。
もう一つの違いである「入札形態」の違いですが、入札形態とオークションロジックとの兼ね合いにより配信量のコントロールのしやすさに差が生まれます。静止画の場合、CPC入札のためオークション時のeCPMが、「eCPM=CPC入札額×eCTR×1,000」で算出されますが、この場合、eCTRの変動により、日々最適なクリック単価が変動し、配信量のコントロールが入札額のみの調整では難しくなります。例えば、前日よりも高い入札額を設定したとしても、可視化されていないアドスコアなどその他の変数の低下によりeCTRが大きく低下し、配信量が大幅に減少してしまうことも少なくありません。しかし、動画は、CPM入札のため「eCPM=CPM入札額」で算出され、設定したインプレッション単価でそのままオークションに参加することができます。それゆえ、オークション時のeCPMをコントロールしやすく、安定して配信量を確保できるというメリットがあります。
とは言え動画もメリットだけではありません。広告がユーザーの目に触れたかどうかに関わらず課金がされてしまうため、無駄な広告費用が発生するというデメリットもあります。動画フォーマットを活用して、高い効果を発揮するためには、LINEのタイムラインとそのユーザーの特性を踏まえてクリエイティブの構成をおさえることも重要となります。
<動画フォーマットでのクリエイティブ構成のポイント>
Facebookの調査によるとモバイル上における Facebookのタイムラインでの平均スクロールスピードは1.7秒といわれており、ユーザーのアテンションを引き、短時間で商品メリットをいかに伝えるかが重要になります *³。特にLINE Ads Platformではその傾向が強く、長尺の動画よりも5秒~10秒以内の短尺動画の方がユーザーの反応率が高く、その中でも、最初に行動を促す訴求(例えば、期間限定など明確なメリット)を入れた構成のCTRが高い傾向にあります。
媒体にあったレスポンス効果の高い動画表現を検証するためには、本連載1回目でも解説したソーシャルメディア広告同様、たくさんのクリエイティブを制作し、検証を行っていく必要があります。そのためには、ツールを活用しながら大量のクリエイティブを生成し、広告のPDCAを素早く回せるような体制を整えていくことも重要です。(参考:インフィード動画自動生成ツール「dynagram」)
③素早いアップデート情報のキャッチとアカウント設計の再構築を繰り返す
3つ目のポイントは、状況の変化を素早くキャッチして、アカウントの組み直しを行っていくことです。これまでは機能の関係上、複雑な設計での配信が難しかったLINE Ads Platformですが、リリース以降約1年の間にアップデートが繰り返され、リリース当初に比べて、業種・商材の特性ごとのアカウント設計ができるようになってきています。例えば、特定の興味関心を持つユーザー群に絞ったターゲティング配信では、LINE内でのユーザーデータの蓄積によりターゲティング配信時の量・質ともにリリース当初に比べて格段に良くなっています。結果として高いパフォーマンスを出すことができるようになっています。
LINE Ads Platformは、機能や状況の変化が大きく、当たり前だった運用手法がある日突然変わるといったことも起きています。そのため、アップデート情報はもちろん実際に運用していく中での変化を素早くキャッチし、訴求商材に合わせたアカウント設計の組み直しを繰り返していくことが重要となります。
■興味・関心設定後改善例
もう1つのLINE運用型広告「Red」
ここまでLINEが提供しているLINE Ads Platformについて説明してきましたが、ここでLINEへの広告配信が可能なもう一つの媒体「Red」を説明します。
Redとは、FreakOutが開発したスマートフォン特化型のDSPです。2016年6月より、LINE Ads PlatformのRTB接続パートナーとしてLINEへの配信を開始しており、LINE Ads Platform以外で唯一LINEへの配信が可能なDSPです。
LINE Ads PlatformがLINE内での行動履歴データを元に配信している一方、Redでは、FreakOutが独自に保有する多種多様なセグメントデータを元にLINEへ配信しています。
また、機能面も充実しており、LINE Ads Platformにはないフリークエンシー設定や時間帯別配信割合の設定、配信面の除外設定が可能であり、細かな運用による効率改善を得意としています。そのため、データの豊富さを生かした高いターゲティング精度と運用レバーの多様さが最大の特徴となります。
同じ枠へ広告配信を行える2つの媒体ですが、このようにそれぞれ機能も異なるため、予算やKPIに応じて媒体の特性・強みを活かし、併用するのがおすすめです。
今後のLINE Ads Platform
現在、ダイレクトレスポンス目的での活用がメインとなっているLINE Ads Platformですが、7月以降、リーチ&フリークエンシーやブランドリフトサーベイなどブランディング向けの広告メニューが次々にリリースされるなど、ブランディング目的での活用も高まっていくでしょう。
また、CRMを含めた総合的なマーケティング施策を重視する企業の増加に伴い、LINE社は公式アカウントやビジネスコネクトのメニュー開発にも注力しています。デリバリーの注文や宅配便のお届け通知や再配達連絡などLINE経由で行えるようになるなど、各企業のビジネスコネクトの活用方法も多様化し、ユーザーの利便性も向上しています。コミュニケーションツールの域を超え、生活に欠かせないインフラとして、ユーザーの生活の中で益々その存在を大きくしていくでしょう。
現在、プロモーションの目的により活用用途が異なるLINE Ads Platformの広告配信とビジネスコネクトですが、それぞれの特性を活かしていくことで、消費者行動プロセスの中の「認知」⇒「行動促進」⇒「ロイヤル化」の流れをLINE内のコミュニケーションで完結させることも可能になってくるでしょう。当社では、LINE Ads Platformと、LINE公式アカウント、ビジネスコネクト配信ツール「TSUNAGARU」*⁴ などを相互活用したLINE面における一気通貫型のマーケティングに取り組んでおり、一貫したコミュニケーション設計の実現によって、企業・ユーザー双方にとってメリットを生み出せると考えています。
*¹:LINE 2016年4月-9月媒体資料(PDF)
*²:LINE Ads Platform 2017年7-9月(PDF)、Ads Platform 2017年7-9月_更新および変更点(PDF)
*³:Facebookスクロールスピード
*⁴:TSUNAGARU
ABOUT 宮沢 隆希
株式会社 オプト LINE 運用型広告コンサルタント
2015年オプト入社。レコメンド広告専任コンサルタントとして、アパレル企業を始め、人材・金融業界を中心に担当。
2016年からは、LINE運用型広告(LINE Ads Platform・Red)のメディア担当として、社内におけるメディア戦略立案、販売企画~運用設計の体系化を牽引。
現在は、同メディアのコンサルタントとして、企業のプロモーションのプランニング・運用も行っている。