デジタルプロモーション最前線!運用型広告で効果の最大化を目指す―第一回:ソーシャルメディア広告運用で押さえるべき2つのポイントとは |WireColumn
by ニュース
on 2017年8月10日 in運用型広告はSNSにおけるインフィード広告フォーマット拡大の影響もあり、同広告費は前年比118%に伸長しており(電通「2016年 日本の広告費」より)、デジタル活用をする上で、必要不可欠な広告手法となってきています。
インターネット広告代理店のオプトが執筆する本連載では、運用型広告を活用する上で外せないメディアをピックアップし、活用のポイントを3回にわたり解説していきます。
一回目の今回は、現在日本人の約7割が利用しているソーシャルメディア*¹です。「Facebook」「Twitter」「LINE」を中心に利用者が年々増加し、ユーザーと近い距離で接点を持てると、企業からも注目を集めています。
ソーシャルメディアの特徴と広告運用のポイント
ソーシャルメディアは、ユーザー同士、また企業とユーザーが直接コミュニケーションを取り合うことができるメディアです。
移動時間などの暇つぶし、または情報を探す手段など、利用シーンは多岐にわたります。日本では、2008年より提供開始されたTwitterを皮切りに、多くのソーシャルメディアが生まれ、いまでは10種類以上あるとも言われています。そして各メディアで特徴が分かれ、Twitterは匿名アカウントで日々の出来事や個人的な思いを投稿するユーザーが多く、Facebookは実名アカウントを生かしてビジネスで活用されるシーンが多いなど、利用者層や活用方法も様々です。
しかしどのメディアにおいても、新しい情報を求めるユーザーにより日々情報が発信され、タイムラインは常に更新され続けています。新鮮な情報をキャッチできる利点がある一方で、見られることなく情報が埋もれてしまうことも少なくありません。
また、ソーシャルメディアは、ユーザーが発信する情報により構成されるため、ユーザーが感じていることや考えていることが、そのままリアルにメディア内容として反映されています。ユーザーのリアルな反応を見ることができるのは、他メディアにない大きな特徴で、ソーシャルメディア広告で効果を生み出すためには、常にユーザーを起点としたコミュニケーションを取っていく必要があります。
ソーシャルメディアの広告運用では、広告効果を高めるために重要な2つのポイントがあります。
①コミュニケーションの新鮮さを意識する:クリエイティブに工夫を入れる
1つ目のポイントは、ユーザーとのコミュニケーションにおいて、新鮮さを意識することです。そのためには、広告運用する上で、「クリエイティブの大量生成」と「大量のクリエイティブを回す仕組み」を両立させることが必要となります。
プロモーション内容にもよりますが、当社の実績として、フリークエンシー5~8回を超えるとCTRが低下する傾向があります。つまり、一人のユーザーに対し、同じ広告を5~8回続けて見せると、飽きを感じさせてしまうのです。新しい情報を求めるユーザーの気持ちを掴み、広告を見てもらうためには、様々な表現のクリエイティブを大量に生成し、早いサイクルでクリエイティブを差し替えていく必要があります。
クリエイティブの効果(クリック率など)がどのタイミングで低下するかを見極め、適切なタイミングで「差し替える」ことが広告効果を高めることに繋がります。情報が埋もれやすいメディアだからこそ、「大量生成」と「差し替え」を行い、新鮮な情報でユーザーとコミュニケーションしていく必要があるのです。
②ユーザーニーズを捉える:ターゲットの精度を上げる
2つ目のポイントは、ユーザーの心理を読み解きニーズに合った情報を届けることです。
ソーシャルメディアは、投稿にユーザーのリアルな声が反映されています。それらの情報を活用し、「ユーザー心理を把握したターゲティング」を行うことで、広告効果は高まります。
ユーザーの投稿から、ユーザーの心理変化や考え、求めている情報を読み解き、ニーズに合ったクリエイティブを届ける必要がありますが、そのクリエイエティブを届けるにあたって、ターゲティングの精度を高めることは重要なポイントとなります。ターゲティングを行わなかった場合と、ターゲティングを行い適切なクリエイティブを掲出した場合とでは、CTRに1.3倍の差が出るほど効果に違いがあります。精緻なターゲティングを作るうえで、"ソーシャルメディア上でのユーザー投稿から如何にして心理状態を正確に捉えられるか"がカギになります。
ちなみに、ソーシャルメディアは、ユーザーのニーズに応えるため、UIを始め仕様変更が行われることが度々あります。広告配信での大きな変更として、2015年からFacebookやTwitterで動画フォーマットでの配信が可能になりました。静止画での配信時と比べて動画フォーマットを活用した方が広告効果が高いという実績も出ており、ソーシャルメディア広告における動画フォーマットの配信は、いまや基本となりつつあります。このようにメディアの変化に合わせた運用は必要ですが、お伝えした2つのポイントは基本的な重要ポイントとして押さえておいた方がよいでしょう。
ソーシャルメディア広告での効果的な運用手法
オプトは、2012年よりソーシャルメディア専門部署を立ち上げ、多くの企業においてソーシャルメディアの広告運用を支援してきました。これまで培ってきた知見を元に、独自ツールの開発を始め、独自の運用スキームや手法を構築しています。ここからは、ソーシャルメディア広告を効果的に運用するためのコツとして、重要なポイント2点を紹介していきます。
まず、1つ目のポイントで解説しましたが、ソーシャルメディア広告の運用にあたっては、クリエイティブの大量生成とクリエイティブの差し替えが不可欠です。しかし、その対応を手動で行うには限界があり、そこで効果的なのがツールの活用となります。
現在、クリエイティブ(動画含む)を大量生成するためのツールは複数提供されていますが、当社では、クリエイティブ生成ツール「dynagram」(*図1)を開発し、自動で、瞬時に大量の動画広告の生成を行っています。クリエイティブを構成する要素(画像、テキスト)を複数掛け合わせ、複数パターンの動画を瞬時に生成します。動画広告のリッチな表現を活用しながら、常に新鮮なクリエイティブでユーザーとコミュニケーションをとることで、広告効果の改善を効率的に行っています。
【図1】
更に、大量のクリエイティブを最適なタイミングで差し替えるために、ソーシャルメディア広告運用ツール「Sprinklr(*²)」のルールエンジン機能を活用しています。 (*図2)
「Sprinklr」では、媒体毎にクリエイティブを4つのグル―プに分類し、クリエイティブの評価に必要な指標を設定することができます。「dynagram」で生成した大量のクリエイティブを分類し、それぞれのグループ毎に設定した指標の効果に合わせて、クリエイティブをリアルタイムで精査します。(*図3)この際、どのような軸でクリエイティブを分類するか、指標をどのように設定するかは非常に重要で、ここがきちんと分類・設定できないと、ツールを活用してもよいパフォーマンスを出すことはできません。
【図2】
【図3】
また、「Sprinklr」には、ユーザー投稿を分析する機能が付いており、2つ目のポイントであるターゲティング精度を向上させることができます。
例えば、Twitterでは、指定のキーワードを含むツイートをしているユーザーをターゲティングして配信することができますが、その指定したキーワードに対してネガティブな内容をツイートしているユーザーも配信対象に含まれるケースがあります。内容がネガティブだった場合、広告を配信しても購入などの効果が生まれず、ネガティブな感情を助長させてしまう恐れもあります。「Sprinklr」のユーザー投稿分析機能は、独自のロジックを用いて、ユーザーの投稿内容をポジティブなのか、ネガティブなのかを判別し、ポジティブな投稿をしているユーザーのみへの配信をすることができます(*図4)。さらに、投稿者のポジティブ・ネガティブ判別の結果に年代や性別を掛け合わせたり、Twitterのトレンドワードを収集して広告配信のターゲティングを行うことも可能です。また、ユーザーの投稿態度(頻度や拡散力など)データを抽出して配信することもできるため、波及力の強いユーザーをターゲティングし、そのユーザーのリツイートにより配信ボリュームを拡大させるなど、広告効果をより高めることも可能です。
【図4】
発展していくソーシャルメディア広告手法
広告効果を生み出すポイントとして、ユーザー投稿を分析しユーザーニーズを捉え、ユーザーの心理状態にあった新鮮な情報を適切に届けることであるとお伝えしてきましたが、ユーザーの投稿内容にも次々と変化がみられています。テキスト投稿だったものが画像投稿へ、そして動画投稿へと投稿手法は日々変化しています。InstagramやSnapchatといった画像や動画で投稿するメディアの利用者も増加し、広告配信のターゲットは増え続けています。そのような中、今後必要になってくるのは、ユーザー投稿画像の解析となります。現状、テキストのみで分析していることを、投稿された画像まで解析していくことで、よりユーザー心理の理解が深まり、クリエイティブで表現すべき内容も変わるはずです。ユーザー投稿画像の解析により、ユーザー心理をより正確に捉え、ユーザーにこれまでより共感してもらえるコミュニケーションを行っていくことが効果的なソーシャルメディア広告運用に繋がっていくはずです。
▼注釈
*¹:http://ictr.co.jp/report/20160816.html (ICT総研、SNS利用動向に関する調査)
*²:http://www.opt.ne.jp/news/pr/detail/id=3637
ABOUT 水野 竜嘉(みずの たつよし)
株式会社オプト
ソーシャルメディア広告コンサルタント
2015年オプト入社。マーケティングリサーチコンサルタントとして従事。
2016年からは、ソーシャルメディア広告のコンサルタントとしてプロモーションのプランニング・運用・分析を一気通貫して担当。
特に、ユーザー分析からのコミュニケーション設計を得意とし、アプリプロモーションにおいての知見も豊富。
Sprinklr社へ常駐経験を生かし、社内におけるソーシャルメディア広告運用における最先端事例の導入や体系化を牽引。