インプレッションバイイングに伴うサードパーティフィーをパブリッシャーから徴収しない:Criteo社Marc Grabowski氏へのインタビュー
(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)
2017年5月、Criteoは、パブリッシャー向けの新しいヘッダービディングプラットフォーム、Criteo Direct Bidderの発売を発表した。グローバルサプライ及びビジネス開発のエグゼクティブバイスプレジデントであるMarc Grabowski氏は、新しいプラットフォームがどのように機能し、新しいプラットフォームを活用することで、如何により大きなパブリッシャー収益をもたらすかについてExchangeWireに語ってくれた。
― Criteo社の新しいヘッダービディングプラットフォームはどのように機能しますか?
Criteo Direct Bidderにより、Criteoはパブリッシャーから直接インプレッションを透過的にバイイングすることができます。
このソリューションは、収益を最大限に増やしたいデジタルパブリッシャーの広告担当者や営業担当の問題解決のためにデザインされています。パブリッシャーの広告枠をCriteo社の管理するユニークな需要に直接結びつけ、トップの入札単価に基づきインプレッションごとの透過的に配信を行い、パブリッシャーがこれらの入札単価の価値を維持できるようにしています。
すべての関係者にとって機会を提供できるようなエコシステムにおいて、パブリッシャーの在庫をCriteoのデマンドと直接的に結びつけることで、パブリッシャーはより高い収入を獲得し、透明性の向上、サードパーティフィーの廃止、柔軟な統合を行うことができます。また、当社の広告クライアントは、広告在庫へのより効果的なアクセスや効率的なメディア購入を果たすことができ、より高いキャンペーンパフォーマンスとROIを実現することができます。
― これは既存のヘッダービディングにおけるエコシステムとどのように適合されるのでしょうか?
大規模なプラットフォームプレイヤー、コンテンツの分散化、アドブロックの台頭により、パブリッシャーは収益化に苦しむようになっています。当初、サイト運営者の広告枠入札を合理化するために考えられたヘッダービディングソリューションは、依然として広告主やパブリッシャーの満足するシナリオとなっていません。
Criteo Direct Bidderは、パブリッシャーの在庫に直接的にクリーンなパイプを提供し、広告主にとってより良いオーディエンスリーチ、在庫確保、在庫品質の改善に寄与します。バイイングしたインプレッションに関して、サードパーティフィーをパブリッシャーから徴収することはありません。当社では、世界中に21000台以上のサーバーを保持し、入札レスポンスをできるだけ早く返すよう戦略的に配置されています。現在、1日に1200億件以上の入札リクエストを処理しています。
― CriteoがDirect Bidderで解決しようとしているヘッダービディングには、現在どのような問題がありますか?
ヘッダービディングの以前に、「ウォーターフォール」を通した在庫の管理は手作業で行われ、在庫は効率的に活用されていませんでした。Criteo Direct Bidderを活用することで、全てのインベントリがクリエイティブのユニークな需要に直接結びついているため、より管理が容易になり、購入したインプレッションの価値を十分に把握することができるようになっています。
相互に有益な形で、当社パートナーがアドテクスタックと統合できることが重要です。これが私たちの入札ソリューションが目指しているところです。当社の入札ソリューションを活用することで、テクノロジースタックを最適化することで収益を最大化し、優れたサービスをパートナーに還元できるようにします。
Criteo Direct Bidderは、他のサービスにはないパブリッシャーへのユニークなデマンドを提供する点において他社とは異なります。当サービスは、より多くのサプライ獲得を目指したソリューションです。
― Direct Bidderソリューションにより、Criteoのヘッダービディングテクノロジーに関するユーザ体験はどのように変化をするのでしょうか?
私たちの目的は、全てのデマンドに対して統合的なオークション環境を提供することで、ヘッダービディングはこれを実現するのに寄与します。具体的には、当社のプラットフォームを通じて、パブリッシャーはテクノロジースタックをコントロールすることで、デマンド間の競争の促進や効率の最適化を果たし、ユーザーエクスペリエンスを最適化することができます。
Criteo Direct Bidderは、15,000以上のグローバルクライアントからの大量かつ高品質のトラフィックへのアクセスを提供します。このソリューションは、Criteo社がバイイングするインプレッションの完全な価値をパブリッシャーが確保しながら、広告主にとって有益な収益環境を提供します。また、Direct Bidderは既に世界中の何百ものパブリッシャーに接続されており、大量のデマンドに直接アクセスし、15億米ドルの世界的な広告出費につながっています。規模感は当社にとって重要な点です。
― Direct Bidderを使用することで、パブリッシャーと広告主の両方にどのようなメリットがありますか?
既に広告バイイングにおけるパブリッシャーの収益を平均20〜40%上回り、広告主にとっても高い価値をもたらしています。Criteo Direct Bidderは、パブリッシャー、顧客、そして私たちの全てにとって有益です。現在Criteo社との業務関係のないパブリッシャーは、デマンドのより効率的な収益化、サードパーティフィーの廃止、直接購入による標準ディスプレイ広告やネイティブ広告によってよりビジネスの拡大を図ることが可能です。
― Direct BidderによるCriteo社へのビジネス上の影響について教えて下さい。
Criteoはヘッダービディングのパイオニアであり、パブリッシャーと広告主の両方にとって価値をさらに高める製品をリリースしています。私たちが新たなバイイングソリューションを提供することで、当社のクライアントは、メディア購入を効率化することが可能で、より高いキャンペーンパフォーマンスを達成できると考えています。
この機会の大きさを説明するのにIDCのメディア・エンターテイメント部門のバイスプレシデントKarsten Weide氏の発言を引用させてください。「ヘッダービディングは現在、米国と西ヨーロッパにおいて非常に重要になっています。IDCによれば、このセグメントの成長率は今年100%になると予想されています。パブリッシャーはヘッダービディングによるページパフォーマンスを考慮し、どの入札にヘッダーに含まれるかに厳密に注意を払う必要があります。パブリッシャーは、透明性、デマンドの明確化、テクノロジーの効率、より良いCPMを提供することができるパートナーを選択するでしょう。当社の次世代ヘッダービディングテクノロジーは、現在100社以上のパブリッシャーに接続されており、非常に有望なパフォーマンスを提供しています。」
このテクノロジーは、ビジネス、パートナー、顧客、そして業界の全ての面から、私たちにとって非常にエキサイティングな進化です。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。