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パブリッシャー:プログラマティックのサブセットとしてダイレクトセールスを検討しよう

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

パブリッシャーが、現在のようなダイナミックで競争の激しい分野でビジネスを展開するためには、革新的な考えが必要で、バイヤーのニーズを維持し続けることは容易なことではありません。ExchangeWireは、Intermarkets社のセールス・プログラマティック戦略部門VP Erik Requidan氏に、セラーとバイヤーの関係性の重要性や戦略を実行する上で必要なテクノロジーについて話を伺った。

プログラマティック時代において、パブリッシャーの役割が変化していることは明らかです。パブリッシャーは、主にバイヤーとの関係性において、エコシステムにおける自社の立場について新たな考えを持つ必要があります。

ここ数週間で私が出席した広告業界のイベントでは、パブリッシャーとバイヤーの間の関係をいかに進化させていくべきか、その関係性をどう変化させていくのか、そしてテクノロジーがそのような変化をどのように促進するのかについて多くの議論が行われました。同時に、多くのパブリッシャーが、売り上げの何パーセントが直接的なもので、何パーセントがプログラマティックによるものが理想的なのかなどという誤った質問をしていました。パブリッシャーは、適切なバランスをどのように取るべきかついて確信が持てていないことが明確でした。

革新的なオペレーターであれば、これが間違った質問であることを知っています。その理由は次の通りです。ダイレクトセールスには歴史的に多くの不利益、問題、欠陥があり、最適化の観点からは悪夢とも言えました。バイヤーは通常、一度に1つのブランドをバイイングしたいと考えています。一定のインプレッション数を必要とし、固定価格を求めています。パブリッシャーは、これらの取引を早期に確定しようと目指していましたが、バイヤーの個々のニーズに対応しようとすればするほど、対応により時間がかかるようになりました。確かに、料金に関する柔軟性、複数ブランドのバイイング、異なるKPIを最適化できるバイヤーを見つける方がより的確な行動と言えるでしょう。

プログラマティックの利点は、広告を販売する伝統的な方法からパブリッシャーを解放できる点です。昔ながらのダイレクトディールは、セラー、バイヤー、広告サーバー事業者の誰にも結果的に利益をもたらしませんでした。伝統的なダイレクトディールは、バイヤーが特定の業績予想に執着することを可能にし、それはセラーとの関係に緊張感を産みました。

データを重視した自動化による売買によって、結果的に全ての関係者は利益を受けることができました。ダイレクトディールで行われなかった多くのサービスを考えてみましょう。例えば、位置情報、デバイス、オペレーティングシステムなどの入札ストリームデータがあります。また、メトリクスと測定値は、非応答データとリアルタイムメトリックやリアルタイムデータの比較と同様に、すべて「結果として」の確認のみが可能でした。この状態を誰もが良いと思わないでしょう。

バイヤーとセラーの関係性を築く

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Erik Requidan氏、Intermarkets社 セールス・プログラマティック戦略部門VP

バイヤーとセラーの間に強い関係を構築することは、業界全体の目標になるはずで、我々はテクノロジーを利用してそれを促進することができます。これを「Programmatic Seller 5.0」と呼ぶ動きとして捉えた場合、これらはバイヤーがエクスチェンジをユーティリティとして活用するような、直接的なプログラマティック取引として考えることができます。私たちの目標は、プログラマティックによるダイレクトセールスを増加させるのではなく、直接的な取引を再定義することです。この方向への移行は、より優れたテクノロジーを利用して、プレミアムデマンドとプレミアムパブリッシャーをつなぐことを目的に、エクスチェンジも変化していく前提になります。

パブリッシャーは、バイヤーとの直接的な関係を構築し、バイヤーのニーズを自社の利益よりも優先的に考える必要があります。パブリッシャーは、バイイング者が実際に活用できるデータや、広告主の成功を手助け可能なデータを多く有しています。これらは comScoreの評価や、サイト及びネットワークの潜在性を理解するよりもはるかに意味があります。セラー側は、バイヤーが目標を達成するのを手助けする力を持っています。セラーはバイヤーが目標を達成するのをサポートできる力をもっており、これが対話のきっかけとなります。ダイレクトディールは通常二面性があるべきだと考えられます。しかしながら、多くの場合、パブリッシャーは、自社がどれだけ素晴らしいサービスを提供しているかばかりを語り、結果的にバイヤーが彼らに出会えてラッキーだったといった会話に陥りがちです。このようなスタートがなされた場合、関係性を築くのは難しいでしょう。双方の利益を考えることは、健康的で継続的であることが成功の鍵になります。

バイヤーには目標があり、パブリッシャーはその目標を理解して達成をサポートする必要があります。共通の目標には、コンバージョン、クリック、売上、ROI改善、及びクライアントやビジネスにとって重要なその他のアクションなどが考えられます。

テクノロジーとトレンドの理解が関係性の確保に必要

アドテクスタックが、よりバイヤーを中心とした状況に進化しているのは良い傾向です。初期のヘッダー統合は、パブリッシャーが収益と利益を最大化するのに機能していましたが、実際にはバイヤーに大きな利益をもたらし、パブリッシングパートナーとの直接的な関係を構築することが可能になりました。

ダイレクトディールは、業界のバイヤーとセラーの間のより密接な関係を構築するための重要なステップです。一方で、ダイレクトディールは進化しています。バイヤーは、広告を配信するスクリーンへのこだわりが以前よりもなくなりつつある一方で、アトリビューションへの関心を深めています。パブリッシャーには、バイヤーのリクエストをサポートするために、多くのツールが利用可能です。これらには、クローズドループによるレポートを作成するためのデータや分析などが含まれます。しかし、パブリッシャーはこれらのツールを活用し、バイヤーが自動処理でなくてもダイレクトディールをする方法を確立する必要があります。

透明性の確保は、改善関係の重要な要素でもあります。バイヤーは、広告が配信される場所だけでなく、バイイングのあらゆる側面(URL、価格、潜在的な結果、およびリスク)について透明性を要求しています。また、サーバー内のプライオリティ設定に関して、ダイレクトディールまたはプログラマティックのどちらであれ、広告がどこに配信されているのかを認識することは非常に重要です。これは、昔ながらのPMPが当初のコミットを反故し、バイヤーが欲求不満を感じた大きな理由です。これは、ヘッダーを通じたバイイングが増加するきっかけになりました。

プログラマティックでは8ドル10ドルの支出が発生するため、ダイレクトディールをプログラマティックのサブセットとして見る価値はあるでしょう。そうするためには、パブリッシャーがデータや自動化を活用して、バイヤー側のニーズを取り入れていることを意味します。また、パブリッシャーはより自社の利益ではなく、バイヤー側の事情により気を配る必要があります。結局のところ、エコシステムの確立により、全ての人に利益が還元されるでしょう。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。