アプリ効果測定グローバルリーダーTUNE日本代表が語る、アプリプロモーションのトレンド [インタビュー]
急成長期を経て安定期に入りつつある日本のアプリプロモーション市場。効果測定ツールのグローバルリーダーは現状をどのように見ているのか。
2016年12月にTUNE社の日本地区代表に就任した岡田拡才氏に、詳しくお話を伺った。
(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)
― グローバルのアプリプロモーション市場の直近の特筆すべきトレンドや動向があればお聞かせください。
今年は、世界の成熟したアプリマーケットにおいて、いくつかのトレンドが見られると予測しております。まず最初に、モバイルアプリとウェブの境界線が曖昧になるようなアプリとウェブの融合が見られると考えております。マーケターはソーシャルネットワークやウェブサイトなどを含むさまざまなチャネルを通して、アプリを宣伝する独創的な方法を模索するでしょう。
また、広告在庫の供給不足が見受けられます。マーケターは継続して、よりモバイルアプリマーケティングに投資していくでしょう。しかし、スマートフォンの普及率は、モバイル広告の費用と同じくらい速く成長することはありません。したがって、マーケターたちは、質の高い広告在庫と高いLTVユーザーを競うことになります。
最後に、あらゆる規模の多数の小売業者がEコマースのアプリをリリースし、モバイルマーケティングに多くの投資をすることが予想されます。これらの小売業者は、オフラインビジネスとモバイルアプリの間にあるギャップを橋渡しする方法を探すでしょう。したがって、スマートフォンのユーザーデータと連携した位置情報のターゲティング技術に重点が置かれるでしょう。
― 日本についてはいかがでしょうか。2013年に貴社が参入されたころと現在とではどのような違いがありますか?またどのような課題があるのでしょうか?
2013年の日本は、CPIという指標を中心とした、より多くのユーザーを安く獲得するというアプリマーケティングのトレンドがあったと思います。現在は、アプリのリエンゲージメントキャンペーンの活性化、大手小売業界のモバイルファースト化といった大きな流れがあると考えています。
このような背景により、アプリ効果測定・分析を提供するツール会社である弊社の立場としては、新規ユーザーの正確な計測・分析・レポーティングに加えて、リエンゲージメントユーザーの計測・分析するためのテクノロジーが求められていると考えています。また、既存ユーザーの活性化を目的としたアプリ内マーケティングや、実店舗来訪ユーザーの店舗内計測など、幅広いテクノロジーも求められていくでしょう。
― アプリのマーケティングにおいて、今後求められているのはどのようなことでしょうか?
アプリマーケティングに活用するユーザーデータの公平性・透明性が求められると考えています。公平性とは取得したユーザーデータを欠けることなく半永久的に保持することです。透明性とは取得したユーザーデータを自社の保有するデータとして正確に管理や可視化ができることです。それらが求められる理由は、新規ユーザーの獲得だけでなく、リエンゲージメントやアプリ内マーケティングといった多岐にわたるマーケティング活動において、欠くことのない一貫したデータの活用が必要だからです。
また、新規ユーザー獲得、リエンゲージメント、アプリ内マーケティングまで、ユーザージャーニーにおける、入り口から深部までの一貫したマーケティングにおけるデータ活用が求められると考えますので、そのための分析ツール間の連携はポイントになると思います。
― アプリ効果測定ツールにおける現在の技術トレンドについてお聞かせください。
ひとつ前のご質問の回答と関連しますが、“アプリ効果計測ツール”の技術において、堅牢性のあるシステムをベースとした、公平性・透明性のあるデータ計測・分析を提供することが必要と考えます。
アプリをリリースし運用を継続していくということは、データが増えていく、ということを意味するかと思います。その膨大なユーザーデータを半永久的に保持し、正確に計測・分析し、マーケティングに活用することができるような技術を持ち合わせることが、現在および今後のアプリ効果計測ツールにおける技術トレンドとしてあると思います。
また、近年の市場トレンドであるリエンゲージメントキャンペーンの活性化に対しては、例えば、リエンゲージメントユーザーの継続率のレポートが生成できるなど、アプリ効果計測ツールに求められる技術もあると考えています。
― 様々なアプリ効果測定ツールがある中で、アプリマーケッターはどのようなポイントでツール選定を行うべきでしょうか。
現在、アプリマーケティングにおいて、「データの活用」が重要なポイントの1つであると考えています。昨年より、リエンゲージメントキャンペーンや、既存ユーザーの活性化のためのアプリ内マーケティングが増えてきています。そのような背景を踏まえると、マーケティングのベースとなるデータが、選定のポイントとして重要な項目だと思います。
-データの公平性や透明性
-データの半永久的な保持と分析のしやすさ(データの粒度)
-それらを支えるシステムの堅牢性
-お客様内の自社分析ツールと効果測定ツールとのデータ連携のしやすさ
機能面では、例えば、ROAS計測やリエンゲージメントユーザーの継続率のレポーティング、リターゲティングキャンペーン用のユーザセグメントの生成などが、ツールの機能として必要か思います。
― 貴社ツールの強み、ユニークポイントについてお聞かせください。
当社は、アプリのマーケティングに必要な多くのサービスを1つのSDKで提供できる「TUNE Marketing Console」というプラットフォームを提供しています。「TUNE Marketing Console」は、ROAS計測が可能な広告効果測定はもちろんのこと、アプリ内マーケティング・アプリストア分析・実店舗などでのストア内イベント計測といったアプリユーザーの入り口から深部まで一貫した計測・分析ソリューションです。
弊社はこの一貫したソリューションを提供することで、マーケターの方々の成功を手助けしたいと考えています。マーケターの方々が、これらの計測・分析データをマーケティングのフェーズ(広告新規獲得、アプリ内マーケティング、店舗内計測など)で、”共通のデータ”として閲覧・分析することで、より垣根のないマーケティング活動が可能になると考えています。
― 今回日本代表に就任されましたが、今後の日本におけるTUNEの展開をどのようにされていくのかを、お聞かせください。
TUNEという会社をより日本に”根付かせる”ことを目標に、大きく2つの展開を考えています。
1つ目は、日本でのローカルサポートの充実化です。マーケターの方々との長期的な関係を構築し、お客様の成功をご支援できるよう、サポート体制をより手厚くしていきたいと考えています。現在、ローカルサポートを充実させるために人材採用活動や育成に力を入れています。
2つ目は、マーケターの方々とのコミュニケーションの強化です。パートナー様と協力しながら、Webでの情報発信を強化したり、マーケターの方々が参加できるイベントなども積極的に実施する予定です。マーケターの方々へ常に最新の「TUNE Marketing Console」テクノロジーをお届けし、アプリマーケティングの成功をご支援させていただければと思っております。
当社は単なるアプリ効果計測ツールではなく、アプリ内マーケティング、実店舗のマーケティングまで含めた、一貫したソリューションを提供している会社です。日本のマーケターの皆様が求められていることが「TUNE Marketing Console」で実現できるよう真摯に取り組み、TUNEは日本に根付く会社である、と日本の皆様に認めていただけるよう、精進して参りたいと思います。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。