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マーケッターが2017年にプログラマティックバイイングについて知っておくべきこと

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

2016年はプログラマティックに携わるマーケッターにとり、いくつかの新たなトレンドが生まれた結果、機会と問題の両方を引き起こした。
データがプログラマティックを実施する上での試金石であり続ける一方で、多くのバイヤーがコモディティ化したサードパーティデータに依存しており、より効果的な活用方法を探る必要に迫られている。プログラマティッククリエイティブは2016年によく取り上げられることの多かったトピックであるが、実際のところテクノロジーはあるにも関わらず、大きな規模で活用されることはなかった。アドテクにおいては多くの新たなベンダーによるソリューションが登場したが、仲介者を介することでコストが割高になり、プログラマティックにおける売買の透明性が欠ける結果となってしまった。2016年が終わり、プログラマティック市場が2016年の1900億ドル市場から2020年には4200億ドル市場に増大すると考えられている。GetIntent社のCEO George Levin氏がExchagneWIreに、2017年の重要な大きなトレンドについて共有してくれた。

データ活用の改善

私たちはデータを活用することで、正しいオーディエンスに完璧なタイミングでリーチしようと努力を続けていますが、より優れた方法を模索する必要があります。マーケッターが、ファーストパーティデータを獲得し、ユーザを理解することは重要である一方で売手側も自分たちの所有するファーストパーティデータの活用を考え、(現在は全体のプログラマティックと支出の20%しか占めていない)ディールIDを活用したプライベートな取引を増やす努力が必要です。

しかしながら実際のところ、このワントゥワンのプログラマティック取引については今の所成功していません。これはバイヤーが、大抵の場合、パブリッシャーのインベントリ内でリーチしたいオーディエンスが存在する一方で、実際のキャンペーンになるとターゲットユーザーにリーチすることができず、キャンペーンの成果が得られず、時間と努力の無駄だと感じている点に理由があります。このプロセスを機能させるためには、パブリッシャーが、クッキーを利用したユーザIDデータだけでなく、サブスクリプション、e-commerceなどを包括したファーストパーティのDMPソリューションの提供に注力し続けられるかどうかに依存します。売り手側のDMPの継続的な開発は2017年も大きなトレンドとなるでしょう。そしてバイヤー側は、自社のデータをパブリッシャーのユーザと効果的に統制することで、PMPにおける成功を促進することができるでしょう。

プログラマティッククリエイティブについて知っておくこと

George Levin氏、GetIntent社 CEO

George Levin氏、GetIntent社 CEO

プログラマティッククリエイティブの将来性や、この技術によって、企業がデータやダイナミッククリエイティブを、個別ユーザやセグメント化されたユーザに、リアルタイムかつ拡張性の高い形で伝えることができるのかについて多くの議論がなされています。しかしながら、十分な実現段階には至っていないというのが現実です。テクノロジーとしては健在しており、それでは何がこの強力な新たな市場の成長を阻んでいるのでしょうか?一番の理由はエージェンシーレベルでよく見られる昔から存在する組織構造が支障になっているのだと感じます。クリエイティブとメディアは歴史的に独立して業務が行われており、クリエイティブは、キャンペーン実行時に最終商品がメディア企業に提供される以前に既にプロセスがスタートしてします。

また、クリエイティブとメディアチームが同じ組織配下にないことも決して珍しい話ではありません。プログラマティッククリエイティブが成功するためには、エージェンシーがクリエイティブ、データ、メディアプランニングの壁をなくし、現状のプロセスを覆し、関係者が初期段階から一緒に作業をするような環境の整備が必要です。これは大きなチャレンジではあるものの、得られる機会が非常に大きいため、私はこれを2017年のキートレンドの一つと考えています。この利点を享受したいと考えるマーケッターは、大きなプレッシャーを現在付き合いのあるエージェンシーに課して既存のアプローチを変更してもらうか、サイロが存在しないような新たなパートナーを探す必要があります。

なぜアドテク業務を内製すべきなのか

プログラマティック取引を容易にするDSPとSSPの二つの組織があり、それぞれにある程度の費用を計上しています。今日、私たちは様々な形で価値を提供するアドテクベンダーによる費用を追加的に計上しています。それぞれの中間業社がコストを増やすことで、取引に不透明性が増しています。この透明度の欠如はしばらく議論の対象となっていましたが、10月にThe Guardian社が、彼らのサイト上でのメディア売上1ドルに対して、0.3ドルしか収益を受け取っていないことを発表して以来、大きな問題になっています。逆にいえば、この発表によって、マーケッターは実際の支払いの30%のみがメディアコストである点を理解したのです。これは明確にサステイナブルな状況ではありません。それでは賢いマーケッターは何をするべきでしょうか?まず、いくつかの大きなマーケティング企業はメディアバイイングを内製化し、エージェンシーのメディアバイイングコストを削減しました。デジタルに関しての専門知識とインターネットで活用可能なファーストパーティデータを有する多くのデジタル企業が、このアプローチを選択したことに加えて、内製でアドテクソリューションを提供しようと考えています。これは次のような大きな利点があります。

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中間業社を割愛することでアドテク費用を割愛する

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パブリッシャーとの直接的な関係を築くことで透明性やコントロールを増大させる

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自社でデータ管理のソリューションを管理し、多くのサードパーティベンダーにデータを供給しないことでデータ漏えいを防ぐ

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マーケッターやエージェンシーは、ニーズに合わせた特定且つ差別化されたソリューションを持つようになる

マーケッターやエージェンシーがDSPを最初から立ち上げるには非常に多くの費用がかかるため、これらの行動は脅威に聞こえるかもしれません。そしてもちろん、社内にスペシャリストがいない場合に、テクノロジーカンパニーを目指すことに多くの疑念もあるかと思います。しかしながら、業界には多くの潜在的なパートナーが存在し、技術的な専門性、開発、メンテナンスの面から、コストを抑制し、スピードを上げるような体制作りをサポートしてくれるはずです。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。