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なぜ、入札データのエンリッチ化に注目すべきなのか

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

広告の繁栄はテクノロジーに依存している。市場に新たなテクノロジーが存在せず、産業のあり方を変えるようなことがなければ、それは広告とは言えない。現在、キャンペーンを成功させるためにデータは不可欠になっている。一方で、入札データのエンリッチ化という新たなコンセプトが生まれてきている。これは私たち全てが関心を持つべきテクノロジーである。Experian社のデジタルマーケティング及びメディアサービスのマネージングディレクターであるColin Grieves氏がExchangeWireに入札データのエンリッチ化の潜在性や、このソリューションが、企業の顧客との関係性に関して、効果、効率、正確性の上で大きな変化をもたらしてくれる点について語ってくれた。

多くの企業が、ロイヤルカスタマーであれ、見込み客であれ、ターゲットとの関係を改善するために、多くのデータを活用しています。例えば、ファッションアパレル小売のOtto社は、ブランド、価格、天気など200の顧客に関する情報を活用して、売り上げの予測を活用し、顧客獲得機会の喪失を防ぐようにしています。

データは、確実に価値のあるツールです。一方で、データによって誤った方向に導かれることなく、正しいデータを活用することが重要です。広告キャンペーンにおけるプログラマティックの活用が広がるにつれて、プロセスにおいて正しいデータが存在しなかったという言い訳は既にできません。現在の広告やデジタルキャンペーンは正しいデータと共に始まり、正しいデータが利用されていることは必須です。

データのクリーンアップ

正しいデータを所有するのと同様に、正しいテクノロジーとプロセスを元に活用する必要があります。これらのツールにアクセスすることは難しくなく、多くのソリューションが存在します。一方で、細分化されたデータの活用は問題を抱えています。特に、ディスプレイ広告におけるデータは他のマーケティング活動と連動されていないことが多くあります。

この点は広告業界の人々にとってはお馴染みの状況かもしれません。私たちが業務を行っている環境は非常に細分化されており、多くの業者が非常に大きな市場における小さなシェアを獲得しようと、激しい競争を実施しています。データを効果的に活用するという目標はもちろん達成可能ですが、全ての広告主及びマーケターが目指すべきところです。一方で、効率的なコネクティビティやインテグレーションの実施には多くの時間とリソースを必要とします。

当然ながら、バイヤーは賢くありたいと考えています。しかしながら、細分化された環境においては、データは必要な場所にあるとは限りません。その答えは入札データのエンリッチ化にあるかもしれません。データがアクセス可能で、拡張性が高く、正確なソリューションです。

このソリューションによって、拡張性が高く、リアルタイムで価値のあるデータをプログラマティックのエコシステムに組み込むことができます。ビッドエンリッチメントは、広告インベントリーに関する入札リクエストを受け取ると同時に、クリーンで高品質なサードパーティデータの情報を加えた後、市場で広告販売の機会を模索します。このプロセスは150ms内に実施されており、1秒間で数千回も実施されています。メディア購買において、このソリューションは非常に大きな利益をもたらし、消費者により意味があり、且つ適切なメッセージを品質の高いデータを通じて提供することができます。

このようなデータは、伝統チャネル及び、ソーシャルメディアの様な新たなデジタルチャネルの両方で、数千のブランドにおいて既に活用されています。Mosaicのようなオーディエンスセグメンテーションツールは業界スタンダートとなりつつあります。企業及び広告主は、正確且つアクションへの移行が可能な形で顧客を理解し、この二者が一緒になって意味のあるエンゲージメントを実現させます。

拡張性のあるインサイトの提供

入札データのエンリッチ化は広告主にとって複雑なものではありません。このソリューションは企業に、拡張性とリアルタイム性をサポートしながら、必要な全てのインサイトを提供します。これによって、広告主の成功において必須の情報を提供します。個々の消費者をより理解することができ、多くのチャネルを通じて、より適切なメッセージを消費者に届けることができます。常にネットを利用している、現在のクロスデバイス環境にいる消費者にとって、一つのチャネルやデバイスでのエンゲージメントは決して十分ではありません。全てのカスタマージャーニーにおいて一貫したメッセージが必要です。

入札データのエンリッチ化によって、マーケターは正しく消費者をターゲットすることが出来、消費者を電子メールやソーシャル、アドレスの付与が可能なテレビなどのマーケティングチャネルとリンクさせることが可能になります。これは、入札エコシステムやマーケティング全体において、大きな意味を持ちます。業界全体として、これほどまでに正確なソリューションを有したことはなく、将来的なマーケティングパフォーマンスの劇的な改善につながる可能性があります。広告、マーケティング業界に属する人なら誰しも喜ぶべき変化の可能性を秘めています。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。