南アフリカのプログラマティックの現状
(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)
プログラマティックが主流なものとして利用され長い期間が経っている。IABの最新の統計データによると、プログラマティックは特にモバイルの領域において成功を収めており、ヨーロッパにおけるディスプレイ広告の45%プログラマティックによって取引されている。それでは他の地域での様子はどうであろうか?ヨーロッパから南に向かい、アフリカ大陸の様子を知り新興市場の潜在性について見ていきたい。 |
例えば、南アフリカの例を取り上げてみたい。IAB南アフリカの統計によると、南アフリカのオーディエンスは非常に多い。43兆以上のインターネットブラウジングが2016年の8月だけでも記録されており、そのうちの2/3(64%)はモバイルからアクセスをしている。全体では、南アフリカのユーザーは海外へのアクセスを覗いても13億ものページビューを誇り、市場性は高い。
「南アフリカは近いうちに他の国際市場と肩を並べるでしょう。急速なペースで市場は拡大しています」とデジタルメディアの営業企業であるMark1社の営業部長であるJoe Steyn-Begley氏は述べている。新興市場として、教育とトレーニングの機会が欠如しており、まだデジタルメディアをパフォーマンスチャネルと考えている傾向はあるものの、多くのマーケターが存在する、と説明してくれた。
Mark1社は、キャンペーンの最適化だけでなく、広告支出の面においても積極的にプログラマティックの導入を推し進めている。独立したメディア営業企業としては、南アフリカは多くの国際アドテク企業が存在し、市場でソリューションを提供している。Lotame社、AppNexus社、TubeMogul社、AOL社などが主たるプレイヤーである。
Steyn-Begley氏によると、モバイルプログラマティックはアフリカでは「非常に大きい」とのことである。これはインターネットへのモバイルからのアクセスが非常に多い点に起因している。最近では、エージャンシートレーディングデスクが設立されたり、より多くのプログラマティックを利用するパブリッシャーが登場したりしている。
デジタル広告市場に多くのパブリッシャーがいる点においては、南アフリカはドイツ市場に類似しているように思える。最近になって、パブリッシャーのアライアンスであるSouthernXが組成され、パブリッシャーとパートナーがインベントリーを自動的に取引するためのマーケットプレイス環境が生まれつつある。
それでは南アフリカに十分なインベントリーはあるのだろうか?また、価格や広告主・パブリッシャーの関係性への影響はどうだろうか?「はい、インベントリーは十分すぎるほどに存在します。しかしながら、多くは(.comや.ukなどの)グローバルパブリッシャーに向かっており、ローカルのパブリッシャーは多くの売れない在庫を所有しています」とSteyn-Begleyは説明してくれた。ということは、多くのインプレッションは(特にゲームなどの)グローバルアプリやサイトと、僅かなローカルパブリッシャーにより構成されている。マーケターにとっては好ニュースで、価格は比較的廉価であり、広告主とパブリッシャー・メディアとの関係性は形成されている最中である。「ローカルパブリッシャーは、インベントリーを自動化チャネルへ、より廉価なCPMで解放しなくてはいけないというプレッシャーに晒されています」と彼は説明している。
「収益規模としては、市場はまだ比較的小規模です。まだ南アフリカ市場を見ているアドテク・マーケティング企業のアカウントマネージャーは数えるほどでしょう。しかしながら、現状支出額は急増しており、大きなエージェンシーグループがゆっくりながらも、エージェンシートレーディングデスクやプログラマティック部隊を開始させています。米国もこの市場の開拓には注目していることでしょう」とSteyn-Begley氏は説明してくれた。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。