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ユーザーの移動中のオンラインショッピング利用。いかにユーザーにリーチするか

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

今までにないほどの多くの人がスマートフォンでショッピングをするようになり、高額な白物家電など今までスマートフォン向けではないと考えられていた商品でさえも購入されるような変化が見られる。モバイル戦略は必須である一方、次世代の戦略はスマートフォンの次を見据える必要がある。KBH Digital社のCEOであるHarjit Badesha氏は、チャンスは屋外広告にあると考えており、いかにスマートフォンショッピングにおける大きな成長につなげるかについて考えを共有してくれた。

マーケターは、デジタルの成長について語るときに、その大きな潜在性に関する数字を利用することが多いですが、電話でショッピングを楽しむ人々に対して、デジタルをよく知るマーケターでさえもその機会を最大限に活用できていません。

IMRG Capgemini社によるeRetail売上インデックスによると、小売店の27%の売上がオンラインによるものです。この数値は今年、11%上昇し、e-commerceの売上は1260億ポンドにも至る見込みです。4Gの利用の広がりや、スマートフォンの活用により、どこからみても今後成長が見込まれる市場です。

簡単に言うと、消費者は全てのことをスマートフォンで完結することに慣れてきており、支払い情報の処理についてもより抵抗感がなくなってきています。

しかしながら、より驚きなのは同様のBarclays社によるリサーチ結果で、小売店側がこの消費者の変化への対応に反応が遅くて鈍い点です。68%の小売店はモバイル戦略の準備がされていないと回答しているだけでなく、70%の小売店が自社のサイトのモバイル対応ができていないのです。

小売店のマーケターにとって、これから数年のモバイルコマースの変化によって、消費者のターゲットやコミュニケーションに大きな変化が生まれるようになります。

21世紀の小売店のマーケターにとっての秘密兵器は屋外広告戦略です。この業界の多くのマーケターが、店頭近隣や電車経路等から屋外広告を活用して、消費者をターゲティングする術については非常に慣れ親しんでいると思います。現在、スマートフォンによる購買者の出現により、位置情報を軸とした広告テクノロジーの活用など業界の様相が変わってきています。

Harjit Badesha氏 KBH Digital社 CEO

Harjit Badesha氏
KBH Digital社 CEO

屋外広告とモバイルの、広告における関係性は深まってきています。モバイルは、何処にいようとも常に所持しているデバイスです。広告主は屋外広告を使って、モバイルでのアクションを促すことが可能です。このアクションのきっかけから、モバイルでの検索を促し購買へと続いていきます。

調査によると、非常に多くの人々が移動中に、甚大な時間を電話によるインターネット利用に費やしており、そこには購買活動も含まれます。Zapp社及びCEBR社の昨年の調査によると、全てのオンラインショッピングのうちの20%は、会社への通勤または帰宅途中に携帯電話もしくはタブレットから行なわれているとのことです。

所謂「通勤移動中のコマース」は、交通事業者の無料Wi-Fiサービスの提供増加によって増加しています。今後、安全性の高いWi-Fiサービスなどの登場により、より多くのユーザーが携帯電話からのショッピングを利用するようになるでしょう。

通勤移動者をターゲットにして、デジタルと屋外広告(及び帰宅後にユーザーが閲覧する広告)の組み合わせによって、メディアキャンペーンには様々な工夫を凝らすことができます。消費者に効果的な広告の閲覧を期待することは常に課題ですが、通勤中のユーザーをターゲットにする場合は、平均的な広告閲覧時と比べて邪魔が少ないため、環境は良好です。加えて、IABのリサーチによると、25%の消費者が屋外広告で閲覧した商品やサービスについて、定期的に携帯電話を使って情報を調べる傾向があります。

この点はKBH Digital社にとって知見のある分野です。当社は、電車移動中のユーザーに対して、当社のプラットフォーム及び移動中のWi-Fiとエンターテインメントポータルサービスにより広告、メディア、データにより、電車移動中のユーザーへのアクセス機会を提供するサービスに特化しています。ポータルについてはWi-Fiサービスを通じてニュースやエンターテインメントコンテンツを配信しています。

当社はEurostarのような交通事業者と協業し、電車内での広告、スポンサーシップ、コンテンツの提供及び、移動前後の電子メールやチケットなどを使ったコミュニケーションサポートを行っています。

Eurostarを毎年利用する1000万人を超える通勤及びレジャー顧客の両者におけるモバイルコマースは大きな可能性を秘めています。また、このサービスを通じて、非常に価値のあるファーストパーティ顧客データを獲得し、ユーザーが移動中のユーザー行動に関する貴重なデータベースを収集することができます。

当社の顧客は柔軟な方法で通勤顧客をターゲットすることができます。私たちは、私たちの自社サービス、プログラマティック(PMPs)、クラウドサービスなどを通じて顧客へのターゲティング機会を提供しています。

当社のような広告ソリューションは、屋外広告と連動し、広告メッセージをモバイルでの動画やディスプレイ広告と組み合わせることで、効果的にユーザーへの接触頻度を最大化することができます。ユーザーの情報及びブラウザー上の行動経路を把握し、移動時以外であっても、ユーザーへのリーチが可能になります。このサービスにより、クリエイティブにおけるメッセージ、フォーマット(例えば移動中のディスプレイ広告や、家庭での動画広告)、現在及び過去の位置情報、所持デバイス、インターネット閲覧時間などによるサービスの最適化をはかることができます。

このようなオーディエンスデータによって、メディアオーナーはより優れた消費者理解を行うことができ、広告主に対して、基本的なサードパーティのセグメントやプロフィールだけに頼らないオーディエンスの最適化機会を提供します。簡単に言うと、当社は今までの旧式なユーザープロフィールに頼ることなく、ユーザーの行動に基づく形でオーディエンス設定が行えるのです。

このような方法では、先進的な広告企業は、広告主に対して売上増加の提案が可能です。日付、時間、位置情報、ユーザー行動などのデータを元に、購買を含めたユーザーのデバイス上の次の動きを把握し戦略に組み込むのです。例えば、母の日の前日早朝に、電車のWi-Fi経由で、贈り物に関する広告を閲覧したユーザーには、翌日のフォローアップが効果的でしょう。もしくは、金曜日の夕方の帰宅途中のユーザーには、週末の小旅行の広告が受け入れられるでしょう。

重要なのは、屋外広告、交通広告及び、特に移動中の携帯電話は、テクノロジー及び消費者の生活習慣の変化により、消費者にリーチするのに最適な機会となっている点です。

当社は、この業界におけるマーケティング活動が今後数年で急激な成長を見せると考えています。賢明な小売業界のマーケターがより戦略的な活動を行い、より多くの利益を生むユーザーにリーチ出来るようになるでしょう。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。