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顧客意思に応えるには、アルゴリズムの活用が人間よりも最適

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

マーケッターは消費者が本当に欲しいものを理解しているのであろうか?もし、理解していると思うならばその根拠は何であろうか?膨大な顧客データが存在する中で、ブランドは本当に消費者の意図を理解しているのだろうか?Intelligent Optimisations社のCEOであるTom Bowman氏は、ExchangeWireとのインタビューで、マーケッターが考えているよりも消費者の意思を理解することが複雑である点や、結局は消費者の理解が鍵となる点について説明してくれた。

もし私があなたに、意思とは人間のある態度を実行するための認知表現で、態度に移す前の事象である、と説明すれば、あなたは恐らく頭を搔きむしるでしょう。

実際に、これはマーケティングの世界で長い間使われてきたよく知られるコンセプトです。Ajzen氏とFishbein氏の共著「計画的行動理論」では、ターゲティングに用いられるべき行動の指針として最も有効なものは、意思であると記述されています。

業務を行ったり、商品を購入したり、ある場所を訪問したりといった消費者意思は、マーケティングメッセージが適切に届いたかを確かめる対象と考えているかもしれません。

何年もの間、マーケッターは消費者の意思を把握するために、いくつかの兆候を頼りにしてきました。現在では、ブランドは消費者意思をターゲットにするのにCRMを利用したアプローチを行っています。私たちは多くのデータを管理しており、それらを情報として活用し、消費者の次のアクションを予想するのに活用しています。

例えば、BMWは最良の顧客は新規ではなく既存顧客だと答えるかもしれません。BMW3シリーズの既存顧客がどのような人々であり、車両をどのくらい所有しているか等の情報を把握することは、5シリーズを薦めたり、新規の3シリーズを販売するのに役立つでしょう。

サードパーティのデータをDMP経由で購入すれば、容易に消費者像について考えを膨らますことができます。しかしながら、これはプログラマティック広告の半分を活用しているに過ぎません。

これらの決定は、過去の顧客の行動をベースとしたパンくずリストを元に予想されています。しかしながら、消費者が過去に行っていたことを、将来行う保証はありません。

BMWの顧客を知るために、単なる予想や顧客満足度調査に依存するだけでは、消費者がブランドを利用し続けるのか、さらに高価なモデルに移行するのかを知る上で十分ではありません。もしBWMのオーナーが「最高のドライブマシーン」を求めている一方で、その父親がより実践的なモデルを探しているとしたらどうでしょうか?

もしあなたが、過去の顧客データを活用していない場合は、顧客の喪失につながりかねません。しかしながら、消費者が新たな自動車を探している瞬間に、消費者の意思に答えることで、より良い結果に繋がる可能性があります。

仮にあなたの顧客がスーパーマーケットにいて、店内を歩き回って今晩の夕食パーティーのために商品を買い集めているとしましょう。もし、あなたが、スターウォーズのヨーダのように、消費者が欲しい商品を消費者の前に移動させることができるとしたらどうでしょう?

Tom Bowman氏、 Intelligent Optimisations社 CEO

Tom Bowman氏、
Intelligent Optimisations社 CEO

これが顧客の意思に沿ってサービスを提供するということです。これは多くのマーケッターにとって理解し難い点かもしれませんが、プログマティック広告を利用して、消費者の過去と直近の購買を知ることができれば、顧客意思を想定するだけでなく、顧客意思に応えるサービス提供が可能になります。

これらの行動を促す上で、アルゴリズムは人間よりも賢明です。多くの顧客データを集め、それらのデータから項目毎の重要度を操作しながら、レファレンスの関係性を探り、顧客の意思を推測していく仕事は、機械学習や人工知能がより効果的に動作する事柄です。

アイスクリームの広告が、気候が暑いときに反応が高い、というのは科学者を必要とする内容ではありません。しかしながら、(雨が降っている、顧客が家にいる、景観が悪いといった)多面的な環境と(日が照っている、イングランドがヨーロッパの大会で優勝する、顧客が公園にいるといった)他の環境の違いを正しく理解することは、多くの変動要素を含むため活用が難しい事柄です。

しかしながら、現在ブランドがこれらを活用する上で理解すべき基礎的な準備があります。

1. 異なる計測方法

プログラマティックの世界では、多くのマーケッターが、見込み客のデータを、リターゲティングでリーチすべきデータと組み合わせて活用しています。これを繰り返していても、あるターゲットから新たな顧客を検索するといった作業には結びつきません。意思の力を利用するためには、これら二つのデータの間に壁を作る必要があります。

2. 異なるプラットフォーム

意思をベースにした広告購入は異なる枠組みにより成り立っているため、異なるテクノロジープラットフォームが必要です。一つのやりかたを無理やり当てはめるのではなく、意思を基としたターゲティングに最適なテクノロジーを見つけ、他のやり方とは別に活用することです。

3. 異なる戦略

プログラマティックはもはや単一のサービスではありません。以前はオークションによる入札手段と単純に考えられていましたが、現状は複数の要素が組み合わさっています。プログラマティックは現在マーケティングファネルのトップに位置付けられます。意思の発見習慣をブランディング、見込み客の発掘、ターゲティングなどのそれぞれにおいて、最良の結果を得るためのサービスとして活用すべきです。

4. 需要のインサイトを把握する

意思を理解することは、黒魔術でありませんし、魔術そのものでもありません。プログラマティックの活用を通じて、消費者の行動を理解することは、科学的にトラッキング技術を用いて行うことができます。あなたの業務におけるパートナーに対しても、キャンペーンのパフォーマンスなどにおける科学的なアプローチを期待するべきでしょう。

消費者の意思は、マーケティングにおける「正しいメッセージを、正しい人に、正しいタイミングで」を達成するための鍵となります。もし、ある母親が午前2時にMumsnetを閲覧しているとしたら、商品のプロモーション情報をチェックアウトボタンともに彼女に見せたとしても効果は薄いかもしれません。彼女は恐らくデビットカードを手元に置いていないでしょう。この場合であれば、翌晩にでも彼女に再びアプローチをした方が効果的です。

結局のところ消費者が本当に欲しいものについて、気持ちを汲み取ることが重要になってきます。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。