LINE ビジネスコネクトとアプリDMPツールの連携により、オプトが実現を目指すOne to One マーケティングの今後 [インタビュー](前編)
オプトが提供する、スマートフォンにおけるCRMツールの定石となりつつあるLINE ビジネスコネクトの配信ツール「TSUNAGARU」と、アプリDMPツール「Spin App」の連携により、メールに変わるOne to Oneマーケティングが実現可能となる。
昨今変化がみられるアプリプロモーション需要のトレンドを踏まえて、LINE ビジネスコネクトとオプトのテクノロジーや企画提案力が掛け合わさると、どのようなことが出来るようになるのか。
LINE株式会社 コーポレートビジネスグループ マーケティングソリューションチーム マネージャー 林 祐太郎氏、株式会社オプト データテクノロジー推進部 チームマネージャー 伊藤 瑞樹氏、同 LINE戦略部 チームマネージャー 脇 僚平氏に聞いた。
(聞き手: ExchangeWire Japan 野下 智之)
―まず自己紹介をお願い致します。
林氏: LINEの法人事業を受け持つコーポレートビジネスグループで、LINE ビジネスコネクトを担当しております。
伊藤氏: 私はオプトで元々ディスプレイ広告を中心とした広告全体のコンサルタントをやっていました。直近はアプリ領域を主戦場におき、最適なアプリプロモーションの実現に向けたテクノロジー戦略を考え、自社プロダクトの企画やソリューションの仕入れを担当しております。
脇氏: オプトのソーシャルメディア事業部でFacebookやTwitterの広告、企業様のアカウントの支援などを担当していました。
昨年の秋からLINE戦略部という部署が立ち上がって、現在はそこのセールスのマネージャーをしております。LINEさんの広告メニューや、弊社のビジネスコネクト配信ツールの「TSUNAGARU」を販売して、企業様のLINEを活用したマーケティングのサポートをしております。
使われるアプリと使われないアプリに差
―まずアプリのプロモーション需要のここ数年間の変化について、皆さんの感じていらっしゃる点をお聞かせ下さい。
伊藤氏: まず需要者側である広告主の業種が変わってきた点です。以前はゲーム企業様がほとんどでしたが、EC系や実店舗を持つ小売業などの企業様も増えてきました。
また、プロモーションの手法についても変化が見られます。以前はインストール中心のプロモーションでしたが、ある海外の調査では、インストールの一週間後に85%のアプリが使われなくなっている、といった結果が出ています。アプリの数は増え続けていますが、ユーザーの時間は限られているので、使われるアプリと使われないアプリの差がはっきりしてきたなと感じます。
せっかくアプリをインストールしてもらっても、使われなければ意味がないので、継続的にアプリを使ってもらう為のリエンゲージメント施策を重要視するようになってきたと思います。
―媒体側も、同様に感じていらっしゃいますか?
林氏: そうですね。LINEの立場としては、2つの側面で支援できると思っています。
まず既にネイティブアプリを出されていて、そこを基盤に顧客にコンタクトを取ろうという時。先ほどオプトさんもおっしゃったように、ネイティブアプリのリテンション率を高めるような施策であったり、そもそものネイティブアプリのインストール数を増やすための広告というものがまずあります。
あとはそもそもネイティブアプリを出していなかったり、出していたとしてもそもそものインストール数だったりリテンション率が中々上がらないような場合です。この場合は、スマートフォン上でコンタクトを取る手段としてまずはLINE上で接点を持ってもらって、コミュニケーションを取っていただく。2つのご支援の方法があるかなと思っています。
また、弊社としてもコーポレートビジネスグループ内にアプリ専用のチームを作っております。そこで、アプリのお客様に関しては特別に、専属でプロモーションをお手伝いするという部門も、2013年ごろから立ち上げております。
インストールだけでなく、継続率まで追う傾向
―そういったアプリのプロモーション需要が増加している中で、代理店さんから提案される施策の目標設計の仕方などに何か変化はありますか?
伊藤氏: インストールという「数」を追うだけではなく、ユーザーの「質」である継続率までみてプロモーションの評価をしましょうというご提案をしています。
また、その継続率をさらに高める施策のご提案までしています。継続率を高める施策に関しては、お客様ごとにかなりプロモーション設計が異なります。
脇氏: 例えば、初回起動から一週間以内に何回も利用するユーザーは、定期的に来訪してくれるロイヤルユーザーなのですが、初回起動から30日以上利用しようとしないユーザーはもう二度と来なくなってしまうので、後者にだけアプローチしましょうなど。アプリの特性やお客様の業種に合わせた設計は、結構異なるので、そこはオプトの強みとしてしっかりと取り組ませていただいております。
林氏: プランニングのところは正に、オプトさんのおっしゃったとおりです。ユーザーの離脱も7日間で離脱しているのか、30日間で離脱しているのか、課金しているのか課金していないのか、どのくらいアクティブなのかというところで、それぞれ違うところがありますので、それに対してLINEをどのように使ってコミュニケーションを取って行こうというところは、意識して提案しております。そこで、ビジネスコネクトという弊社のOne to Oneのコミュニケーションできる広告サービスを使ってアプローチしていこうというご提案を増やしております。
後は、Webからアプリへどう促すかという施策の試みも増加傾向が見られます。アプリ単体のゲームであれば、アプリしかなかったのが、Webを持っていてスマホの場合はまずライトにWebを触らせて、その後ロイヤルユーザーにさせるためにアプリに促すことが重要だったりします。これをどのタイミングでアプリに促すか、という課題はありますね。
―LINE ビジネスコネクトについて、ビジネスのボリュームや、LINE ビジネスコネクトのサービスとしての進展についてお聞かせ下さい。
林氏: サービス自体の構想は、2014年2月に発表いたしました。ですので、提供を開始してから現在で2年半弱になります。現在LINE ビジネスコネクトを導入されていらっしゃる企業アカウント数は90以上で、LINEの公式アカウント250件のうち、約5分の1に導入していただいています。
使われ方も様々ですし、お客様の業種も今日お話ししたようなアプリの方を主軸とされていたり、そういったところを顧客接点に持たれている会社様から、あとは業種としてもメーカーさんだったり小売さんだったり、EC事業者さんだったりいう形で、幅広いお客様に幅広い用途でお使いいただいています。
今日オプトさんとこのようにご一緒させていただいているのも、LINEの立場としては、ビジネスコネクトはメッセージングのAPIを提供して、LINEのプラットフォームと繋ぎこんだユーザーとOne to Oneでコミュニケーションを取っていただく仕組みだからなのです。弊社はAPIを提供しているだけで、APIの繋ぎこみだったりですとか、まさにアプリであればSDKの中にあるユーザデータであったりですとか、そういったものとどう繋いでコミュニケーションを取っていくかというところのデータも持っていなければ、そこの繋ぎこみもやりません。ですので、オプトさんのような、広告会社様とのパートナーシップを非常に重視して今までやってきております。
―LINE ビジネスコネクトは、基本的には公式アカウントをお持ちの企業さんが使えるサービスなのですね?
林氏: いえ。大きく2パターンありまして、公式アカウントのオプションとしてご使用いただく場合と、ビジネスコネクトのみでご使用いただく場合があります。
レガシーな企業にも導入実績
―なるほど。公式アカウントに対して5分の1とおっしゃいましたが、利用している企業さんの業種や業態などに特徴はあるのでしょうか。
脇氏: コンビニエンスストアチェーン様をはじめ、大手銀行様、大手宅配便会社様のような企業様にも導入実績が増えてきました。サービスローンチ当初は、ネット施策においていわゆる先進的な企業様が多かったのですが、今では、それまでネットの活用に積極的ではなかった、レガシーな企業様にもご利用いただいています。
オプトは、もともとデータ分析を強みにしている会社なので、ビジネスコネクトを実施している企業様にROIを求められる場合が多いです。
公式アカウントは大量のユーザーにリーチするための、いわゆるマスリーチ的に使う企業様が多かったと感じています。しかし、セグメント配信が可能なビジネスコネクトは、ユーザーごとにメッセージを出し分けられるので、そこで最適なメッセージを送ってROI効果までちゃんと求めるという企業様が増えてきている印象ですね。
―なるほど。ROIを求められる、やっぱりダイレクトレスポンスを元々重視されているような企業様ということですね。オプトさんの顧客では、業種などに特徴はないのでしょうか。
脇氏: LINE ビジネスコネクトを2014年に開始した頃は、通販やEC企業、コスメ業界の企業様が多かったのですが、最近はやはりアプリ事業者様などが増えてきているという印象です。
(後編に続く)
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。