プログラマティックは購入メカニズムであり、メディアチャネルではない
(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)
プログラマティックによるオーディエンスを重視した戦略の実行における重要性が増すにつれ、正しいインフラの必要性について語られる様になっている。ExchangeWireは、Total Media社のプログラマティック部門統括に就任したばかりのDuane Thompson氏にプログラマティックがメディアエージェンシー環境で意味する点について話を聞いた。
Thompson氏は、プログラマティック、データテクノロジーを中心としたキャリアを築いており、ここ3年間はIDG UK社にて、サプライサイドに関する業務を行ってきた。彼はパブリッシャーのデータテクノロジーに関しての知見が深く、プランニングや広告購入に関しての貴重な財産となっている。
Total Media社のビジネス及びクライアントのポートフォリオ両面を管理する役割として、Thompson氏は購買メカニズムとしてのプログラマティックにおいて、テレビやOOH、音声といった他の分野にも機会が広がる可能性があることを主張している。
Thompson氏との会話から明らかになったのは、プログラマティックはディスプレイ広告購入のことを指し示すことが余りにも多い一方、プログラマティックが、今後他の全てのチャネルにおいて広がりを見せるかどうかは、エージェンシー次第であるという点だ。また、小規模なエージェンシーは、プランニングや購買のプロセスにおけるスピードや柔軟性において、変化の早い、現状のメディア環境に適応しやすい。「プログラマティックはメディアチャネルではなく、購買のメカニズムなのです。モバイル、動画、ゲーム、ネイティブだけでなくテレビやOOHなどのトラディショナルメディアまでを含んだものなのです」とThompson氏は述べている。その様な点から、プログラマティックチームの業務を自動的なディスプレイ型の購買機能だけに限定しないことである。それらは、全体の一部にしかすぎず、プログラマティックの環境をリードするというのは、全てのプログラマティックの機会を踏まえてサービスを提供することなのである。
エージェンシーの観点で言うと、プログラマティックは全体のエコシステムに応用できる貴重な行動データを提供している。Thompson氏によると、エージェンシー側から見て、戦略的に消費者がどのように考え、感じ、行動しているかを把握することが重要な場合、デモグラフィックデータ以上の情報が必要となり、プログラマティックがその問題を解決することが出来る。プログラマティック上で重要視する点は、ディスプレイキャンペーンの配信を担当するトレーディングチームだけでなく、チーム全体に共有されるべきである。
エージェンシーはプログラマティックに関して異なるアプローチを採用すべきだろうか?Thompson氏はその意見に肯定的だ。彼は独立系のエージェンシーで働く利点は、特有のスピードであると考えている。プログラマティックが、技術の進歩によってより多くのメディアチャネルを取り扱うになるにつれ、エージェンシーは準備を怠ることなく、メディアプランや購買が以前とは異なる点を理解する必要がある。
Investec社、Epson社、Fred Olsen社のような企業へサービスを提供する経験を経て、Thompson氏は自身のテクノロジーの専門性を活用し、企業のデジタル化のサポートを行う点に大変満足を覚えたようだ。「私たちのいるオンラインの世界において、クライアントは顧客インサイトに基づいたアプローチを求めており、その為にプログラマティックは必須です」。
これは、メディアエージェンシーが、プログラマティックの現状及び潜在能力を理解し、プログラマティックを長期的な視点を元にサービスをすると大きな結果に繋がるという実例である。スピード及び広い視点が鍵となる。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。