ニュース拾い読み:Unruly、APACにおける動画広告の将来に関するマニフェストを公表
ユニークなインテリジェンスを持つ動画広告プラットフォームのUnrulyが、来週から東京で開催されるAdvertising Week Asiaに先駆けて、興味深いコンテンツを公表した。(英語)
内容は、動画広告の将来に関するマニフェストであり、アジア太平洋版では、広告主が将来を見据えていかに動画広告を活用し、また、2016年には世界で410億ドルの損失をもたらすと予測される(アドビ/PageFair調べ)広告ブロックの普及に対応すべきかについて説いている。
マニフェストの作成は、同社がグローバルで実施した、3,200人の消費者を対象にした動画広告に関する調査を根拠の一つとしているとのことであり、「日本のインターネットユーザの94%が広告ブロックの利用を検討すると回答。」という調査結果が得られたとのこと。
この結果を踏まえ、マニフェストは7つの柱で構成され、なぜ広告ブロックが急速に普及しているのか、また、どうすれば広告主が問題解決の一翼を担えるのかについて述べている。
マニフェストは、下記の通り。
1.ゴールを設定し、目的を明確にすること
①キャンペーンのKPIは何なのか? ②これはブランドのミッションに結びついているか?を確認しましょう
2.ブランド本来の姿で表現しよう
当たり前の話に聞こえるが、ブランド本来のあり方を偽らないことは、消費者の信頼を得る重要な鍵
3.消費者と、感情のつながりを作ろう
消費者の感情に強く響くと、ブランドは記憶され、エンゲージメント、購入意向を始め、ブランドKPIやソーシャルKPIが高まる。消費者に、あなたのブランドに対して、どんな感情を抱いてもらいたいだろう?
4.パーソナルで、自分に関係あると思ってもらえるものに
ミレニアル世代の80%と、ジェネレーションX、ジェネレーションZは、自分が関心のある製品・サービスの広告であれば、広告が気にならないし、好ましいととらえる
5.シェアされやすい動画を作ろう
ソーシャルプラットフォームで、シェアされバイラルするような動画を作り、アーンドメディアを高め、広告ブロックされるのを回避する
6.ユーザ体験を尊重する
丁寧で、邪魔にならない広告フォーマットを使うことで、消費者が広告をシェアしたり、広告に様々なアクションをとるのを促す。非同期のページロードを使い、広告表示前にコンテンツが表示されるようにする
7.試行錯誤し、柔軟に学ぶ
テストを重ねて、最適なオーディエンスを探し、強いコンテンツを開発する。コンテンツをリアルイベントと連動させ、消費者の購入意思決定に影響を与える
アンルーリー日本代表取締役の香川晴代氏は、「調査結果から、広告業界が直面している大きな課題が見えてくる。動画広告は、テレビ広告に倣う形で、視聴体験を妨げるスタイルが主流になっているのが現状だが、消費者は一方的な広告が溢れていることに不満を持っているようである。広告主が消費者の声に目を向け、長期的な視点に立ち、消費者の体験を尊重した動画戦略を採用しなければ、広告ブロックソフトの普及が更に進むのでは。こうなると、業界は終わりに向かって進むことになるのではないか」と警鐘を鳴らす。
そしてその解決策として「丁寧で、邪魔にならない広告。」に取り組んでいくことを挙げる。すなわち、「ユーザ体験を損ねないページロードや広告フォーマット、また広告が観る価値のあるコンテンツであること。」が特に重要であるとのことだ。
その他、調査結果からは、日本の消費者の動画広告に関する意識としては、以下のような結果も得られたとのことだ。
・日本の消費者の約3分の2(62%)が、プレロール広告を強制視聴させられると不快に感じる。東南アジアの視聴者は、同45%で日本の視聴者よりも許容的である。
・日本の消費者の約4分の3(76%)、東南アジアの消費者の75%が、動画広告をミュートにすると回答。これは、世界平均の81%よりもやや低い。
・日本の消費者の3分の1が、広告に追いかけられるのは”便利である”と回答し、他国と比べ最も高い。一方、東南アジアでは28%で、世界の平均は更に低く、僅か20%である。
・日本の消費者の80%が、”広告が”嘘っぽく”見えるとブランドへの信頼を失うと回答し、これは世界平均の72%より高い。東南アジアでは、86%と他の地域に比べ最も高い。
・日本では、視聴者に動画広告を視聴する・しないの選択肢を渡すことが重要。日本の視聴者の50%が、選択肢を持ちたいと回答し、これは世界の平均62%よりもやや低い。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。