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海外ソーシャルメディア研究:第1回:Yahoo! JapanとLINEの『プラットフォーム』競争

デジタルマーケティングにおいて、もはや不可欠となりつつあるソーシャルメディア。
今後5回にわたり、株式会社オプトが、企業やユーザーのソーシャルメディアの活用動向を事例ではなく、データや統計情報に基づき、簡潔に解説していく。

転載元: 株式会社オプト コラム

LINEは3月24日(木)に事業戦略カンファレンス「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」を開催し、その中で『スマートポータル』構想を打ち出しました。単純に中身を要約すると、ヤマト運輸やピザハット、日本交通など様々な事業社と組み、モバイルとリアルライフを結合した便利なサービスを手広く提供するというものです。

Yahoo! Japanのポータルサイトではメール、ショッピング、ニュース、ホテル予約、ゲームなど生活に密着したサービスを総合的に提供しているので今後、LINEがYahoo!の大きな競合相手として台頭することが予想されます。

コミュニケーション領域ではYahoo!は自社で提供する「eメール」サービスに加え、LINEのライバルであるカカオジャパンに50%出資していたことから、LINEとは競合関係にありました。

ゲーム領域ではYahoo! はPC向けでYahoo!ゲームやYahoo!モバゲーがあり、LINEはNaver関連企業にHangameという企業があります。スマホ向けではYahoo!の親会社であるソフトバンクグループが傘下にガンホーやSupercellを擁し、一方でLINEはディズニーツムツムを自社アプリプラットフォーム上で提供しています。

概要

LINEがニュース機能を実装し、さらに『スマートポータル』としてアクセルを踏んだことでYahoo! Japanと重複するサービスがさらに増えたと言えます。両社の違いは利用ユーザー層です。

ユーザ属性

出典:Nielsen NetView家庭・職場PCアクセス 2016年1月Domain/アプリ除

Nielsen Mobile NetView(iOS・Androidアクセス) 2016年1月Application

Yahoo! のPCポータルサイトとLINEアプリという切り口で比較すると、Yahoo! は男性50歳以上のユーザーが最も多く(スマホを持っていない・慣れていない層と推測)、LINEアプリは女性21~29歳や30代の若年層寄りユーザーが主な利用者層となっていました。全体的にもYahoo! JapanのPCサイトユーザーは男性が61.5%となり、女性比率がやや少ないのに対し、LINEでは女性が53.5%となり、過半以上を占めていました。

続いてサービス規模についてPC、スマホサイト、アプリの3軸で両社を比較してみます。
サービス規模の比較
サービス規模の比較2

出典:Nielsen NetView家庭・職場PCアクセス 2016年1月Domain/アプリ除

Nielsen Mobile NetView(iOS・Androidアクセス)2016年1月Domain/アプリ除

Nielsen Mobile NetView(iOS・Androidアクセス)2016年1月Brand/アプリ含

PCサイトではYahoo!は他サイトを圧倒的に凌ぐポジションを持っていましたが、アプリ(ブラウザ含)ではLINEの後塵をはいしていました。

仮定的な話として、今後PCサイトの利用率が落ち、スマホサイト以上にアプリの利用比率が上がり続けるとすると、アプリとして存在感が大きいLINEがYahoo!サイトと『Topプラットフォーム』の座を激しく競うと考えられます。

ただ、LINEも盤石ではありません。今年1月に週刊誌で発覚したベッキーさんとゲス極の川谷氏のLINE流出事件以降、Snapchatという新手のコミュニケーションアプリのダウンロード順位が上昇しています。
201603251449_7

2016年1月1日~3月21日までのダウンロード順位 iOS 無償アプリ 日本

2016年1月1日~3月21日までのダウンロード順位 iOS 無償アプリ 日本

出典:SearchMan (https://searchman.com/ios/app/jp/447188370/en/snapchat-inc/snapchat/?d=iPhone)

アプリ分析のSearchManサイトによると今年1月1日に国内ダウンロード順位が194位であったのが、スキャンダル発覚後の1月9日には104位に急上昇し、その後上下を繰り返しながら徐々に順位を上げていき、3月18日には26位まで上昇しました。(注:上記は単なる1トレンドです。必ずしもスキャンダルが関係し、またLINEユーザーの一部が離脱、Snapchatに移ったという証拠ではないです。)

様々なトレンドの変化が見えてくる中、今夏前にNew Yorkと東京での上場を控えるLINE。そのまま大型上場で莫大な資金を得て、『No.1ポータル』の地位を確固たるものにしていくのか、注目が集まります。

こちらは余談ですが、日本のトップIT企業には多国籍企業が多く、経営者には海外経験豊富な方が相対的に多い印象を受けました。他業種と比較した訳ではないのでどの程度かは分かりませんが。

海外マーケティング部
浪川 ロドリーゴ

ABOUT 浪川 ロドリーゴ

浪川 ロドリーゴ

埼玉県川越市出身。ニューヨーク州立大オルバニ校卒、理学士。専攻はマーケティング・統計。2012年6月 株式会社オプト入社後、DMP(データ・マネージメント・プラットフォーム)や競合サイト解析ツールの開発に従事。TSUTAYA の POS データや xrost のパートナーデータを用いたビックデータ分析事業「インサイト」を牽引。希望が叶い、2015年4月より海外事業部に異動。直近では Snapchat 事業に取り組む。