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Oriel社によるアドブロック問題を解決するコンテンツ保護ソリューション

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

1/26にOriel Ventures社は、デスクトップ、モバイルに加えてISPのアドブロックを無効にするコンテンツ保護技術に関するサービスを開始したことをアナウンスした。パブリッシャーがアドブロッカーを利用するユーザーに再アプローチ出来るこのSaaSプラットフォームによるサービスは、ユーザー限定のトライアル期間において、40%の広告をブロックしているユーザーに対して、コンテンツアクセスを許可する代わりに広告を閲覧させることに成功した。

筆者が最初にOriel社のCEOであり共同創業者のAidan Joyce氏と会ったのは昨年、ちょうどOriel社のサービスが開始したばかりの時である。Joyce氏が見せてくれた技術は驚きに値するもので、私はExchangeWireにテストをすることを勧めた(テスト結果は、このコラムの後半に紹介する)。

aidan私は本日のリリースに先んじて、昨日Joyce氏と再会し、トライアルの結果について詳細を聞き出すことが出来た。

ExchangeWire: Oriel社のトライアルでは、40%のアドブロッカーを利用しているユーザーが、広告掲載されたコンテンツを閲覧する為に、ホワイトリスト登録を行ったかアドブロッカーを無効化したとの結果が得られました。デモグラフィックやコンテンツによって異なるトレンドが見られたのでしょうか?

Aidan Joyce氏: カテゴリーにおける違いが顕著でした。私達はゲーム、ニュース、テクノロジー等、それぞれの分野で最もインパクトの強いパブリッシャーとトライアルを行ってきました。例えば、ゲームにおいては40%のアドブロッカーの利用者がホワイトリスト対応をしたり、ブロッカーを無効化する等の結果を得ることができました。
テクノロジー分野においては30-33%程以上の数値が出ると、効果的な数字だと言えます。

「成功」を得る事が出来たのはパブリッシャーがユーモアを加味して表示させてくれたメッセージに依存する点が多く、その意味で彼らは非常に良い仕事をしてくれました。また、ローカル言語でメッセージを表示させる必要もありました。

コンテンツが非常に重要な意味を持つ点についても強調したいと思います。例えば、サイトが非常に人気を集める様になり、ユーザーがアカウントを作り、定期的に訪問するようになった場合には、ホワイトリスト化を通じて最大限のユーザーへのアプローチが得られたと言って良いと思います。

トライアル期間に、例えばいくつかの企業がForbesが行っているのと同様に、アドブロッカーを利用しているユーザーに対して、ブロッカーの無効化を呼びかけるアプローチをとっていました。そして、もしユーザーがアドブロッカーの無効化を行わない場合には、このコンテンツは広告モデルによって無償化されている為、広告が付与されるのが通常である旨を伝えていました。このようなアプローチに賛同しますか?

私達が認識したのは、アドブロッカーを利用しているユーザーは悪者ではなく、広告を嫌煙する傾向が強い人々であるという点です。

例えば、予め「私達のサイトをホワイトリストに登録してください。私たちのサイトは、広告によりサポートされているのです。ポップアップやフラッシュ広告、自動再生ビデオ等の類は行いません。私達のスポンサーからのごく適当な広告のみが掲載されます」といったメッセージを表示し、実際、これらは効果を得ることが出来ました。

私達がパブリッシャーに勧めているのは、アドブロッカーを利用しているユーザーに、継続して閲覧したい場合にはサイトに広告が掲載されるメッセージを配信するという点です。広告を配信する為に、私達はコンテンツ配信保護を行っており、ユーザーが望んだ場合のみ広告を閲覧できるようにしています。

多くのトライアルにて、メッセージを表示させることなく、広告をそのまま表示させるようなケースがありました。ただこの場合は、フィードバックがあまり多くないという結果となりました(下図参照)。興味深いことに、フォーラム等で、アドブロッカーが作動しないといった書き込みを見かける様になりました。

020916_1Source: Oriel

Joyce氏はプラットフォームからいくつかのスクリーンショットを見せてくれた。下の図において、「コンテンツアクセス管理」(アドブロッカーを利用しているユーザーに対し、サイトをホワイトリストに登録するか、アドブロッカーをオフにするといった作業を求める)を一ヶ月実施したパブリッシャーのデータが確認出来る。Joyce氏はこう述べる。「数字の上下はありますが、アドブロッカーを利用するユーザーに再接触が出来たのは、40%を少し下回る程度の割合でした。現在見ているデータはゲーム関連サイトのものです」。

020916_2Source: Oriel

Oriel社は、オーディエンスに関してのリアルタイム統計データをパブリッシャーに公開している。下のスクリーンショットは数百万のユーザーを抱えるパブリッシャーのデータである。Oriel社のサービスを通じて、オンラインユーザーの数やアドブロッカーの利用・未利用のユーザー数について確認することが出来る。先月から今日までの平均は17.33%であった。(注釈:開始日と終了日は全日のデータではない)。

020916_3Source: Oriel

モバイルのみをサポートしているサイトではアドブロッカーの効用は異なっている。下のスクリーンショットからモバイルサイトのデータが確認出来るが、例えばアジア地域において如何にアドブロッカーが効力を発揮しているかを確認することができる。23.23%のオーディエンスがアドブロッカーを利用しているのである。これらのデータを注意深く見てみると、アドブロッカーがビルトインされたUCブラウザーが主な原因であることが理解出来る。

020916_4Source: Oriel

Oriel社のCEO件共同創業者のJoyceは公式見解として「アドブロッカーは急成長しました。これは質の低い広告に対する消費者からの回答です。一方で、私たちのツールによって、パブリッシャーはアドブロッカーを無効化する事で即座に結果を見出すことが出来ます。私たちは、コンテンツ保護配信プラットフォームを通じて、例えば配信スピード、広告の選択、プライバシーへの懸念、ユーザーの安全性等の広告の問題点を修正していくことでユーザーのニーズをより考慮した配信サービスの機会提供を目指しています」。

ソフトウェアトライアルに興味のある方はhttps://oriel.io/まで

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。