×

デジタル広告とデータ活用-第4回 これからのデジタルマーケティングにおけるデータ活用の必要性と有効性[PR]

本稿では、第1回第2回のコラムで述べてきたデジタル広告とデータ活用のこれまでの経緯と現状の課題を踏まえ、AdRollからの4つの提案をご紹介する。これらの課題解決のためのソリューションは、多くの事業者も様々なアプローチにより提案している。

提案その1 フルファネルマーケティングの実践

image1購買ファネルに応じて、適切なターゲットに、適切なタイミングで、適切なメッセージを送ることの重要性は一般的なマーケティングの教条として知られていることである。大手広告主であれば、テレビCMなどのマスメディアとデジタルの施策を組み合わせるなどにより、様々なチャネルを用いて実施することが出来る。だがこれは大手広告主と同等の予算規模の広告主でない限り、真似のできることではない。

リターゲティング広告は一般的に、ラストクリックコンバージョンに特化した最適化を行う手法であるというイメージが強いが、AdRollはこのリターゲティング広告をフルファネルにおいて対応するべきアプローチとして提案している。

同社が提案するリターゲティングを活用したフルファネルマーケティングは、シンプルだ。

その考え方は、サイトを訪問するユーザーを、その行動(インテント情報)に応じて、ファネル上のどこにいるかをもとにセグメント化し、各セグメントに対して適切なタイミング・クリエイティブでメッセージを提供するというもの。ここで用いられるのは、今日の多くの広告主が使っているリターゲティング広告ただ一つである。

提案その2 データ活用の第一歩は、ユーザーインテントの把握

image003広告主が広告配信に活用できるデータとして、多くのマーケターが重視しているのは、性別や年齢などのデモグラフィック、位置情報、世帯収入などのユーザー属性データである。

しかし生活者の価値観や消費行動が多様化する中で、属性データだけでは、広告主のターゲットを補足しきれない状況になりつつある。

第1回のコラムで述べたように、近年普及が進むリターゲティング広告は、ユーザーのインテントデータを活用している。そしてAdRollは特にこのインテントデータを、コンバージョンの直前だけでなくフルファネルに渡って把握することを提案している。

提案その3 小さな実践から始めるアトリビューション分析

第2回のコラム第3回のイベントレポートを通して、マーケターがデジタルの施策において今後取り組むべきことは、ラストクリック依存からの脱却であること、その第一歩として、アトリビューション分析が有意義であることをお伝えしてきた。

アトリビューションの取り組みに関する優位性は、すっかりグローバルスタンダードとなり、また日本においても、その必要性は何年も前から議論されている。

だが国内ではまだアトリビューションは現在に至るまで普及しているとは言い難く、一部の大手広告主が利用しているにとどまっている。AdRollが実施した日・米・欧のマーケターを比較調査「State of the Industry Japan」のレポートによると、米国・欧州と比べると、日本のマーケターはアトリビューションに対する重要性は認めつつも、アトリビューションへの知識や実践が追い付いていない実態も明らかである。

AdRoll:リサーチ結果 日本のマーケターはまだ欧米に比べ実践ができていない

(参照:AdRoll “State of the Industry JAPAN”)

その理由は幾つか挙げられる。一つ目は、第三者配信アドサーバーから広告配信が可能なメディアが限定されていたこと。二つ目はアトリビューションを実行するための導入コストの問題、そして三つ目はアトリビューションを実行・運用管理できる人材が不足していることだ。

だが、アトリビューションを取り巻く環境は少し変わりつつあるようだ。

ヤフーが今年7月、アトリビューションに関するコラムを同社マーケティングソリューションカンパニーが運営するブログに投稿、Yahoo! JAPAN、同社広告プロダクトのブランドパネル、YDN、スポンサードサーチの広告を組み合わせた施策の効果をアトリビューションモデルで解説し、反響を呼んだ。

業界最大手プレイヤーがこのようにアトリビューションの啓蒙活動を始めたことの意義は大きい。

二つ目の課題として挙げた導入コストについて。これまでは第三者配信アドサーバーを活用する必要があった。第三者配信アドサーバーは、導入まで一定の工数が必要であることや、広告配信量に応じて従量課金されるなどの運用コストが発生することから、大手広告主以外にとっては敷居が高かったこと。そして三つ目の人材不足は、アトリビューションモデルの設計や導入後の運用を、外部のコンサルティング会社などに委ねるなどの必要もあり、やはり一定のコストが発生するため大手以外の広告主にとり、決して手軽に始められるものではなかった。

だがこれらも徐々に変わりつつある。現在一部のアドテク事業者が、アトリビューションをより低コストで手軽に利用できるものを提供し始めている。

例えばAdRollが今提案しているアトリビューショントラッキング方法がその一つに挙げられる。AdRollのプラットフォームでは、クリックやコンバージョン、ROI、Revenueなどの基本的な指標のほか、ビュースルーコンバージョンの計測もデフォルト設定で可能であり、AdRollを利用する全ての広告主が利用することが可能である。

アトリビューション分析は奥が深く、高度な分析をしていくときりがないが、まずはエントリーとしてこのようなツールを活用し、カジュアルにトライしてみることが、今後のノウハウや知見の蓄積につながるきっかけにつながるかもしれない。

参考資料:
パフォーマンスマーケターのためのリターゲティングガイド Part IガイドPart II

提案その4 自社保有のデータ(ファーストパーティ データ)を有効に活用する~ユーザーデータを共有するProspecting~

リターゲティング広告は、ファネルの各ステージのターゲットユーザーを補足し、適切なタイミングで適切なメッセージによるコミュニケーションを図ることが出来る手法である。だが、リターゲティングによる最適化配信は、サイト訪問者が母数であるという前提に縛られてしまっていることもまた事実である。すなわち、広告主とユーザーとが、一度接点を持つことが、リターゲティングを活用するための必要条件である。

大手広告主であれば、テレビCMなどのマスメディアの活用や大々的なPR活動により、新規ユーザーの大量流入を促し、サイト訪問ユーザーを継続的に補充することが出来る。だが、それ以外の広告主にとっては、その負担は決して小さくはない。

AdRollは、各々の広告主が保有する匿名化されたユーザーのインテントデータを共有し、各々の広告配信に活用することを、顧客獲得の進化系であるAdRoll Prospectingというサービスにより提案している。

Prospectingは、各広告主が事前承諾(オプトイン)のもとで自社の匿名化されたユーザーのインテントデータをAdRollが設置するIntentMapと呼ばれるデータプールに出し合い、この中からアクトアライクユーザーを探し出すことで潜在顧客データを創出し、ターゲティング配信を行うというもの。

このサービスは、グローバルで先行して提供されたが、最近は日本でも加速的に利用企業が増えてきている。今年6月のβサービス開始時点では1,000 社以上の広告主が参加、広告主は10 億件を超える匿名のユーザープロファイルに接続しており、以来データプールは日本を含むグローバル規模で急速に拡大している。このサービスを活用することで、広告主は自社サイトにはまだ訪問したことがない埋もれている潜在顧客を効率的に獲得し、既存顧客に結び付けるファネル上に上げることが可能となる。

以上、AdRollが広告主に対して提案する4つのことについて述べてきた。これらの取り組みの背景にあるのは、現在マーケターがデジタルマーケティングにおいて直面する課題である。

無論、その課題解決には様々なアプローチがあるが、これらを広告主の規模の大小を問わず、比較的気軽に一つのプラットフォーム上で、なじみのあるリターゲティングという手法ほぼひとつでトライアル出来るのがAdRollであるということは、記憶に留めておいてもよいかもしれない。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。