ロックオンDSP事業参入か?15年9月期通気決算発表~売上前年比6%増と堅調、営業利益4割増に拡大~
広告効果測定ツール最大手のロックオンが、2015年9月期決算結果を公表した。
売上は14億3700万円で前年比6%増と堅調、営業利益は3億5000万円で前年比41%増と大きく伸ばした。
同社の事業プロパティーは、アドエビスの「マーケティングプラットフォーム事業」と、EC-CUBEの「商流プラットフォーム事業」とにわかれており、前者は売上9億1100万円(前年比3%増)、営業利益2億1400万円(前年比51%増)、後者は売上5億2600万円(前年比10%増)、営業利益1億3500万円(前年比27%増)、前者は営業利益増、後者は売上増にそれぞれより大きく寄与した。
同社は売上が安定的に積み上がる自らのビジネスモデルの特徴を「ストック型」と称している。それを裏付けるように、直近7-9月期の売上は3億9200万円となり、過去最高を更新した。
また、本決算資料では、これまでは累計としてのみ公表されていた、同社主力サービスであるアドエビスのアクティブアカウント数が1133件であることが公表された。
ちなみに直近で同社は累計件数7000件超と公表している。
参照:ロックオン 決算説明会資料
さて、本題の同社DSP事業への参入についてであるが、同じ決算資料で同社が掲げているマーケティングプラットフォーム事業構想について触れられている絵の右下に、DSP(予定)という記載がある。マーケティングプラットフォームとしてデータの収集、蓄積、分析機能を既に備えているアドエビスが、マーケティングチャネルの実行機能を拡張するのは、ある意味必然的な方向性である。
これに関して同社代表取締役社長の岩田進氏は、「既存のDSP市場には飽和感も出ているが、まだまだ行き渡っている状況ではないと見ている。当社としてもこの分野において価値提供は検討している。既に一部DSP事業者様と当社プラットフォームを接続したサービスの導入検証も進めていて、一定の成果を上げはじめている。」と述べている。
参照:ロックオン 決算説明会資料
DSP領域は、国内ではすでに20社以上が参入しているともいわれている。この混み合った領域で、デジタル広告、コマースの二つのプラットフォームを持つというユニークなポジションにいる同社がもしプロダクトをリリースした時、どような訴求をしていくのかは気になるところである。
これまでの同社プロダクトは、利用する広告主の規模の大小を問わず、またシンプルでわかりやすいものが多い。
コモディティ化が進みつつあるとはいえ、広告主にとってはいまだに少し残るDSP利用の敷居が完全に取り払らわれるためには、そろそろこの長年親しまれている、ゆるキャラの出番かもしれない。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。