進化を続けるデマンドサイド。クロススクリーンを扱うトレーディングデスクがこれからの代理店となる?
by Global Adtech on 2015年11月06日 in ニュース
DSPやトレーディングデスクといった言葉はすっかりお馴染みになりましたが、それらを取り巻く環境は、日々進化を続けています。
CMO向けのコラムの中で、そもそもDSPを利用する理由は、コストの削減、バイイングの効率化、そしてリアルタイムの最適化であるというのは、iProspectのAlistair Dent氏。DSPを選ぶ際に気をつけたいポイントとして、現在利用しているマーケティングプラットフォームとのインテグレーションの可否も挙げられていますが、それに加えてマーケターとして気になるのが「ブラックボックス化されたマージン」でしょう。
以前このブログでも、透明性を確保することで広告主の期待に応えているTubeMogul透明性を確保することで広告主の期待に応えているTubeMogulや、ムダな中間コストを削減する「プログラマティック・ダイレクト 3.0」というコンセプトをご紹介してきた通り、マーケターにとってのブラックボックスは少しずつオープンになってきています。
そんな中、「マージンおよび代理店フィーは高く見えるかもしれませんが、どのようにプログラマティック取引が行われているかを"分解"してみれば、納得がいきます。」と語るのは、米国小売大手J.C.ペニーのディスプレイ広告シニアマーケティングマネージャーであるRose Sumrall氏。
プログラマティック取引にかかる費用全体のうち、メディア、アドサーバー、広告詐欺対策、データプロバイダー、エージェンシートレーディングデスクのそれぞれに、どれだけの費用がかかっているかを理解しつつ、J.C.ペニーはプログラマティック取引に高い関心を持って取り組んでいます。
J.C.ペニーの代理店/トレーディングデスクであるAccuen(オムニコムグループ)のマーケティングディレクターJeffrey Matisoff氏も「代理店フィーやマージンは実際にメディアに払う広告費ではないものの、(DSP利用における費用構造をオープンにすることで)それらのフィーが必要であるということを広告主と確認しあうことができています」と、同じくAdExchangerにて伝えています。
データ自体は社内で保持しながら、プログラマティック取引の運用をトレーディングデスクに任せているJ.C.ペニー。入札戦略やターゲティングすべきセグメント、どのようなダイナミッククリエイティブをつくるのかといったプログラマティック取引の"戦略"を、メディア代理店が考える限界を踏まえた上で、J.C.ペニーは代理店への依頼を"運用"にのみ絞るべきかを検討しているようです。また、同社Sumrall氏は「トレーディングデスクがこれからの代理店になっていくでしょう」とコメントしています。
また、Vox、BuzzFeedといったデジタルメディアとのシナジーを期待し、投資を行ったNBCユニバーサルが、2015-16シーズンのアップフロントにおいて、同社のデジタルビジネスの10-15%をプログラマティック取引が占めていたことをAdExchangerにて明かしています。アップフロントに先立ち、"テレビとデジタルを併せたクロススクリーンでの広告枠"の50%へのコミットメントを期待していた同社ですが、直近のアップフロントではデジタルビジネスが50%の伸びを見せ、そのうちプログラマティック取引は40%を占めていたようです。
オンラインのディスプレイ広告効果を最大化するためのDSPと、その運用を行うトレーディングデスクという時代から、伝統メディアを含めたクロススクリーンにおけるリーチ強化という形で、デマンドサイドは進化を続けています。
参考:
What CMOs Need To Know About Demand Side Platforms (DSPs)
How JC Penney Extracts Transparency From Its Agency Trading Desk | AdExchanger
Programmatic Drives 10-15% of NBCUniversal’s Total Digital Upfront Business
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編集長 八田 浩(Hiroshi Hatta)氏 株式会社オプト 取締役
2004年株式会社オプト入社。電通との資本業務提携において 協業責任者として同社へ出向。
オプト帰任後、広告代理事業に加え、アドテク事業、動画事業、オムニチャネル事業のメディア/商品開発を担当。
2015年4月より現任。