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クライアント数2倍、収益4倍-AdRoll Australiaの事業責任者に聞く-オーストラリア市場での1年間の取り組み-

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今年3月に日本に参入したリターゲティンググローバル大手AdRollは、そのちょうど1年前、2014年3月にオーストラリアにオフィスを開設し、オーストラリア、ニュージーランド市場で事業拡大を進めてきた。

 

オーストラリア・ニュージーランドのデジタル広告市場の状況と、同社のこの1年の取り組みについて、AdRoll オーストラリア、ニュージーランドの事業責任者であるBen Sharp氏に聞いた。

(聞き手:ExchangeWire編集長:野下 智之)

 

 

 

 

 

―SharpさんのバックグラウンドとAdRoll での役割を教えてください。

私はAdRollのオーストラリア・ニュージーランドでの事業統括をしています。デジタルメディアに対して深い情熱を持ち、この分野において15年以上の経験があります。AdRollに加わる以前はAllure Media を設立し、Gizmodo、Business Insider、Popsugarなど人気サイトのオーストラリア版を世に送り出しました。

その前の10年間は、Yahoo! Australiaでのセールスマーケティングチームの構築やUKでの様々なスタートアップの設立に携わってきました。

プライベートではマイホームパパである一方、フィットネスジャンキーでもあります。妻や二人の息子と一緒に過ごしたり、トライアスロンのトレーニングをしたりする以外は、シドニー界隈でサイクリングしていることが多いです。

また、オーストラリアのチャリティー団体Tour de Cureのメンバーで、がんの研究、治療、予防の為の募金活動を行っています。

 

―AdRollの概要について教えてください。

AdRoll は世界で最も広く使われているリターゲティングのプラットフォームであり、現在世界中で20,000以上の広告主が利用しています。AdRollのプラットフォームは顧客データを活用し、プラットフォームやデバイス上であらゆる分野のビジネスが高パフォーマンスな広告キャンペーンを展開するのに役立っています。AdRoll は他にない透明性を実現し、Google、Facebook、Twitter、iAdやウェブなどの大規模な広告インベントリソースにリーチできます。本社はサンフランシスコ、支社がニューヨーク、ダブリン、ロンドン、シドニー、東京にあります。AdRollはFoundation Capital、Institutional Venture Partners、Northgate Capital、GlenMede、Accel Partners、Merus Capital、Peter Thielなどのトップの投資家によって支えられています。

 

 

―オーストラリアにオフィスを開設した背景と、オーストラリアでのミッションを教えてください。

オーストラリアで支社を開設する際、当社ではローカルクライアントが既に400社ほどに達していました。

収益とクライアント数の観点ではオーストラリアはAdRoll全体で当時3番目に大きな市場でした。米国のクライアントと同様のサポート体制をオーストラリアのクライアントに提供する為には、オーストラリアでの支社設立の重要性は以前から認識されていました。

オーストラリア支社を設立後、チームスタッフは30名近くになり、クライアント数は2倍以上、収益は4倍に増加しました。

 

当社にとりオーストラリア市場は戦略的に重要であり、高度に精通したクライアントがデジタルマーケティングの最前線にいることから、この市場をサポートできる事業体制をオーストラリアで立ち上げるのは理にかなったことでした。

 

―オーストラリア及びニュージーランド市場の可能性をどのように見ていますか?
この2つの国でのデジタル広告市場における現在のトレンドについてどう考えますか。

 

我々はオーストラリアとニュージーランドの市場には高い可能性を感じています。

IABが公表した最近の調査結果によると、オーストラリアのデジタル広告市場の総額は4,600万ドルで対前年比16%増、モバイル広告市場の総額は80億ドル、前年比118%増、オンラインビデオ広告に関しては総額23.7億ドル、前年比52%増といずれも高い成長率であることが明らかになりました。

クライアントのデジタル広告予算は、ディスプレイ広告、ソーシャル広告、モバイル広告を含むデジタルエコシステムの全エリアの中で、高いパフォーマンスを出せるチャネルや、AdRollを含む、高い結果をクライアントにもたらす事業者へと著しいシフトが進んでいます。

 

オーストラリアとニュージーランドではデジタル広告費用の継続的な成長を見込んでいます。現在、広告掲載において技術とクリエイティブをうまく融合しながら消費者にリーチする過程にあり、マーケターにとってお客様とのリーチ及びエンゲージメントを増やす大変良い機会となっています。

 

―どのような広告主をターゲットにしていますか?オーストラリアとニュージーランド市場での競合はどのような事業者ですか?

競争環境に関してはあまり意識しておらず、むしろオーストラリアのクライアントにいかにベストなリターゲティングソリューションを提供し続けられるかを重要視しています。AdRollは全マーケットセグメント (SMB, MM, Agency and Enterprise) を通して850のクライアントと取引しており、旅行、eコマース、自動車、教育など広範囲な分野のクライアントビジネスを進めています。

 

―競合他社と比較すると御社のサービスのキーとなる価値基準は何ですか?

AdRollには多数の差別化要因があり、多岐にわたるプロダクトを提案することが出来ます。AdRollがクライアントにお届けする6つの価値基準は以下の通りです。

・透明性-クリアでアクセス可能なレポート。

・管理性-アドバタイザーが広告の掲載箇所、顧客に対する予算額を決定することが可能です。

・市場をリードするパフォーマンス-素晴らしい成果を期待して戴けています。

・インベントリコントロール-全インベントリソースでの動作が可能です。

・クロスデバイスターゲティング広告-AdRollはウェブ、モバイル、ソーシャルをサポートしています。

・セルフサービス・マネージドサービスの選択-お客様自身で広告キャンペーンを実施するか、AdRollがお客様に代わって実施するかをご選択頂けるオプションを提供します。

 

―これらの国で事業を拡大するにあたり課題はありますか?

オーストラリアとニュージーランドは私達に素晴らしい機会を与えてくれましたし、今後もこの市場に投資し成長し続けたいと考えています。

 

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。