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米国モバイル広告支出額が2015年デジタル広告支出額の約半数に到達~eMarketer~

 

米国調査会社eMarketerが3月24日、米国のモバイル広告支出額予測を新たに公表した。

 

 

 

 

2015年のモバイル広告支出額は+50%、デスクトップPC広告とほぼ同水準

US Mobile Ad Spending,2013-2019

同社は2015年の米国モバイル広告支出額は前年成長率+50%で287億2000万ドルとなり、米国デジタル広告支出全体に占める構成比はおよそ半分の49%の割合に達すると見通している。

また、2019年には658億7000万ドルに成長、デジタル広告支出全体に占める割合は72.2%にまで拡大する。

 

 

US DigitalAd Spending by Device,2013-2019モバイル広告の支出額が二けた成長を続ける一方、デスクトップPC広告の支出額は今後緩やかな減少傾向となる。2017年に底を打った後は、250億ドル前後の水準で横ばいで推移するとなると予測している。

同社は予測の背景として、ユーザーのメディア消費行動がデスクトップからモバイルへのシフトを挙げている。

2014年時点の米国成人ユーザーのモバイルインターネット1日当たりの視聴時間は2時間51分、2013年と比較し32分の増加であったのに対し、デスクトップPCからの視聴時間は2時間12分、2013年から7分の減少となり、2014年にモバイルからの視聴時間がデスクトップPCを上回った。

 

 

モバイル広告フォーマット別予測、2015年にディスプレイ広告が検索連動型広告を上回る見通し

US Mobile Ad Spending by Format,2013-2019モバイル広告市場をフォーマット別でみると、ディスプレイ広告、検索連動型広告とも中期的に成長水準で予測されているものの、2015年にディスプレイ広告と検索連動型広告のシェアの入替えがあるとしており、2014年時点で最もシェアが高い検索連動型広告を、2015年にはディスプレイ広告が上回る。

同様の傾向は、日本でも既に見られる。

今年2月に公表されたCyberZのスマートフォン広告市場調査によると、2013年までは最大シェアであった検索連動型広告が、2014年にはその座をディスプレイ広告に譲っている。

 

eMarketerは、その他(クラシファイド広告、eメール、リードジェネレーション)のカテゴリに関しても高い成長水準で予測しており、2014年時点の9億6200万ドルから、2019年には33億2000万ドルに成長するとしている。

 

 

アプリ広告とWebブラウザ広告の支出額比率は3:1

US Mobile Ad Speniding , In-App vs Mobile WebeMarketerは今回初めてモバイル広告支出額をアプリ、Webブラウザ別、アプリインストール広告などのセグメントで予測を公表している。

同社によると、アプリ広告、Webブラウザ広告の支出比率は概ね3:1となっているとしており、2015年には、アプリ広告が207億9000万ドル、Webブラウザ広告が79億3000万ドルに達するとしている。

2015年~2016年は、アプリ広告、Webブラウザ広告のいずれも高い水準での成長を予測しているが、その要因としてアプリ広告は、ビデオ、リッチアド、ネイティブアド、Webブラウザ広告は、プログラマティック、クッキーを使ったターゲティング広告、クロスデバイスで配信される広告からの流入などを挙げている。

US Mobile App Install Ad Spendingまた、アプリインストール広告支出額に関しては、2014年時点でモバイル広告全体の8.7%にあたる16億7000万ドルとなり、2015年には+80%成長の30億ドルに達し、モバイル広告全体に占める割合も約1割に拡大するとしている。

なお、アプリインストール広告には検索連動型広告もあるが、現状では数値として算出出来るほどの規模には至っていない模様である。

 

 

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。