米ルビコン・プロジェクトが期待する、日本市場におけるプログラマティックの可能性 <Q&A>
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on 2014年4月04日 in今年2月に日本市場参入を発表した業界大手SSP(Sell Side Platform)の米ルビコン・プロジェクト。同社は、フォーブスの2014年版「America’s Most Promising Companies」にも選出されている。ルビコン・プロジェクトの国際業務部長であるJay Stevens (ジェイ・スティーブンス)氏にいくつか質問を投げてみたところ、メールで回答をもらうことができた。なぜ今、日本の広告市場に注目が集まるのか。Q&A形式でご紹介する。
(ExchangeWire Japan編集部)
なぜ日本は自動取引広告の成長市場として期待されているのか。
2013年12月のeMarketerの調査結果によると、日本のインターネット広告市場規模は2014年に95億ドル、2017年には111億ドル規模で、中国に次いでアジアパシフィック地域では2番目に大きな市場となっています。
これまで日本の市場では、バイヤーとセラーは国内のアドネットワークが提供する広告取引、つまりインプレッション単位の効果的な売買ではなく、タグベースの小規模な広告取引という選択肢しかありませんでした。
オークション形式の自動取引やプライベートマーケットプレイスによって費用対効果を最大化できることに、広告主と媒体社双方が最近になって気づき始めました。取引コストを抑える分、日本が得意とする、より高価でクリエイティブなキャンペーンを設計し、実施することができるのです。
日本のパブリッシャーはプログラマティックを導入する準備ができているか。
ルビコン・プロジェクトは、既に日本でグラムメディアを含める複数のパブリッシャーと提携しています。自動取引広告に対するセラーの興味は明らかで、コツをつかむのも早いため、他の市場より短い期間で純広の自動化が進むと思われます。
主要なトレーディングデスクも、現地スタッフの採用強化など、導入への体制を整え始めています。他の市場でも見られますが、バイヤーが自動化への道を先導することで、セラーもその動きに追従する傾向があるのです。
例えば、数か月前に、電通はトレーディング・デスク・サービス「電通オーディエンスネットワーク」の提供を開始しました。このように電通イージスやその他国内の主要代理店が広告の自動化を進めており、従来のアドネットワーク活用モデルから社内のトレーディングデスクの設置という動きが見られ始めています。
日本は他の市場とどう異なるのか?ルビコン・プロジェクトのアプローチは?
以前、同僚のスチュアート・バートラムがExchangeWire のインタビューで話していますが、新しい市場に参入する際、私たちは人と技術を活かしたグローバルとローカル両方のアプローチを取り入れています。これは日本にも当てはまる戦略だと思います。
つまり、ローカルのバイヤーとセラーをしっかりサポートするスタッフを配置し、同時に技術投資を行っていきます。例えば日本では、ローカルDSPと提携するために必要不可欠となる国内データーセンタを構築しています。
日本参入を率いる池田智幸氏を適任だと考える理由は。
ルビコン・プロジェクトの日本支社代表に就任した池田“トミー”智幸氏が適任者であることは、彼のこれまでの経験が物語っています。直近はマリンソフトウェアの代表取締役を務め、その前はアドビ、オットージャパン、オーバーチュアやアクセンチュアに在職していました。
忘れがちですが、検索連動型広告も実質的には既に100%プログラマティックなのです。高い効率性やアドプションを得たサーチマーケティング(SEM)にディスプレイ広告が追い上げるために、池田氏が持つ、この分野での経験と独自の視点が生かされると思います。
池田氏は業界において尊敬され、日本のバイヤーとセラーからも高い信頼と権威を得ています。
(編集:三橋 ゆか里)
ABOUT 大山 忍
ExchangeWire Japan 編集長
米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。
2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。